「信頼6箇条」ウィキペディア創業者が語る、信頼の育み方。
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する
「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。
データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
無名の人々が執筆する百科事典が、世界でもっとも参照される存在になると誰が予想しただろうか。ジミー・ウェールズはウィキペディア成功の理由をたったひとつの言葉で説明する。それは「信頼」だ。自分を、人生を、他者を信頼すること。それはどう育むものなのか。

1. 人に立ち返る
大きな組織を率いる人々にとって、これはおそらく最も直感に反する原則かもしれない。ジミー・ウェールズは、組織の規模がどれほど大きくなろうとも、信頼とは常に人間同士の問題であると言う。「信頼は人と人との間で築かれ、また失われもする」。実践においては次のような単純な行動が信頼を深める土台となる。曖昧な答えはしない、約束は守ること、筋は通すこと。この土台が揺らぐと誰もが疑り深くなり、損になることはしたくないと身を守りはじめ、集団のエネルギーは分散してしまう。
2. 相手の最善を前提にすること
信頼が個人間で築かれるのであれば、まず相手を信じる必要がある。この点についてジミー・ウェールズはきわめて楽観的だ。「人は見返りがなくても、互いにつながり協力することに喜びを感じる」と考えている。この考えに基づいた組織は、相手をはなから疑ってかかる組織よりも強固なチームを築きやすく、管理職も監視業務から解放される。
3. 明確な方向性を定めること
全く違う個人同士が集団として疲弊することなく協働するためには、明快な目標の共有が重要であるとジミー・ウェールズは説く。それは額縁に入れて飾っておく理想論ではなく、誰もが指示を仰ぐことなく自分で判断できるほど具体的な指針でなければならない。ジミー・ウェールズを導いた言葉は「Wikipediaは百科事典である」という、とても単純なものだった。しかし内部で生じた何千もの議論に決着をつけたのはこの一文だった。提案がここから外れたら退ける。「このような明確さがあれば、上層部になんでもかんでも通さずとも組織は成長できる」とジミー・ウェールズは言う。
4. エネルギーを循環させること
ジミー・ウェールズは「信頼が欲しいなら、まず信頼することだ」とストレートに言う。性善説を前提とするチームは好循環を生み、長期的に発展する。さらに礼節は経営において贅沢な添え物なのではなく、多様な人々が共に何かを築くための必要条件だと指摘する。最も健全な議論の場とは、参加者たちが「互いに友人であり、互いに礼儀正しく振る舞おうと皆で決めている」場なのだという。
5. 自らの使命に忠実であること
しかしこの結束も、管理職が本来担うべき役割や責任範囲から逸脱した瞬間にひびが入りうる。たとえ圧力を受けても自らの方針に忠実であり続けることは重要だ。「あなたには使命がある。それに守りなさい。」とジミー・ウェールズは語る。また、透明性と謙虚さは、表向きの完璧さを取り繕うよりも強い防御となる。自分の欠点や誤りを認めれば、無敵な振りをするよりも信頼を強めるのである。
6. 自分自身を信じること
ジミー・ウェールズがこの点を直接語ることはほとんどない。だが彼の著書では繰り返し述べられている。自信があれば人はより大胆に挑戦し、より良い決断を下し、疲弊しにくくなる。自信は内面や育ちだけから生まれるものではない。それは、自ら築く人間関係の質、使命の明確さ、自分はこれをやるべきなのだという覚悟、そしてそれを言葉にする重みによっても育まれる。「それは生きており、育てて成長させることのできるものだ」とジミー・ウェールズは自信について語る。彼の言葉はあらゆる組織に当てはまるだろう。
『The Seven Rules of Trust』
著者:ジミー・ウェールズ(2025年10月にCrown Currency and Bloomsburyより刊行)
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