日本のデザインをはじめ、伝統的な技術を活かして各地でつくられている品々について、海外のデザイナーやアート関係者から質問を受ける機会がますます増えてきました。日本のクリエイションに関心をもってくれる方、詳しい方々が多くなっていること、とてもうれしい状況です。
きょうは「高岡」のお話を。富山県高岡市。江戸時代に遡る金属加工や漆芸をはじめ、伝統産業の街、ファクトリークラフトの街として有名ですね。クラフト + デザイン + 産業の街、です。

「madame FIGARO japon」の10月号(最新号の1つ前の号です)での「未来へはばたく、メイド・イン・ジャパン!」の記事でも、いま注目したいプロジェクトの紹介とあわせて、R&Wの一輪挿し、シマタニ昇龍工房の「すずがみ」など、高岡でつくられているものをご紹介させていただきました。
その高岡で私も楽しみにしていた企画が10月2日(木)からはじまります。今年で3回目となる「高岡クラフト市場街」。

会場は中心市街地30カ所以上。地元高岡の伝統産業でつくられた品々の展示や販売をはじめ、全国のクラフト作家の作品の紹介などなど、もりだくさん。国の重要伝統的建造物群保存地区となっている山町筋、金屋町など、散策するだけでも楽しい通りでの開催となるだけに、やはり見逃せません。


企画がいつも気になる市内の「芸文ギャラリー」ではこの時期、「結の美〜富山、祝いの手仕事展」が開幕。市内4カ所で開催される「作家のひきだし展」でも作家たちの力作に出会えます。
料理も忘れてはなりません。「クラフトの台所」では、料理とうつわの関係をたっぷり味わえます。市内ではさらに「高岡マルシェ」も予定されています。

「工芸都市高岡2014 クラフト展」も開催され、「工芸都市高岡2014 クラフトコンペティション」入賞作品の展示を名にできます。じつは私も審査員のひとりとして、高岡で7月に行われた審査にご一緒しました。
地元での開催前に、都内でコンペ結果を紹介する展示が催されていたので、そのことにもちょっとだけ触れておきましょう。銀座松屋 デザインフォーラムでの「TAKAOKA CRAFT COMPETITION AWARDS+」展で、優秀作品の紹介でした。地元高岡での今回の展示では入賞作品すべてを紹介。作品販売も本コンペの特色であり、楽しみです。
夏に市内でお会いした方は「毎年、クラフト展で気に入ったものを買うのを、楽しみにしているのよ!」と笑顔で語ってくれました。審査会を終えて夜、三谷龍二さんはじめ他の審査員の皆さんとうかがったワインバーでは、これまでのクラフト展で購入されたといううつわで、料理を出していただきました。この街の日常生活とクラフトとの楽しい関係が伝わってきました。

「工芸都市高岡2014 クラフト展」、昨年の展示の様子です。


銀座松屋の展示には伝統技術とデザインというイラストで、高岡で活躍する若手の紹介も。工芸を学んだ作家たちが工房を構えていたり、海外で学んだデザイナーが帰国後の拠点をここに設けたり、元気な若手作家が集まっています。


受賞作品から。ピーナッツのような形のものは耳かき! 5種類の木(ナラ、サクラ、チェリー、メープル、ウォールナット)を彫ってつくられています。鉄を編んだ軽やかなカゴも審査会場で気になった作品。
10月4日〜5日の午後には「まち歩きワークショップ」(申し込み制)も予定されています。スケジュールには、旧家の庭、お菓子つき休憩……といった文字も目にでき、何とも楽しそう。高岡駅集合でスタートする1泊2日「高岡クラフト市場町ツアー」(10月4日〜5日)は、若干名ではあるものの、これからの申し込みも可能とのことです。(申し込み方法は高岡クラフト市場街HPにあります)
私はほかに、高岡在住の作家とデザイナーがたちあげたスタジオ「uwaya」のオープンスタジオ(10月4日〜5日)訪問を楽しみにしているところです。


その場に訪れて初めて感じられる空気があります。その感触を私はいつも信じているのですが、とりわけクラフトファクトリーの匂いには、なんともいえない魅力があります。置かれている道具や素材、さらには作業に没頭されている皆さんの動きなど、独特の空気に満ちた高岡のものづくりの現場。その空気とともに、ゆったりとしたこの街の秋の風情を楽しめるまたとない機会です。
高岡クラフト市場街
10月2日(木)〜10月6日(月)
http://ichibamachi.jp/
(「まち歩きワークショップ」「高岡クラフト市場町ツアー」申し込み情報もこちらに)
問合せ:高岡クラフト市場街実行委員会(CREP4)
Tel/Fax:0766-54-6210
Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/series/design/post-1458.html