話題の新星、藤野詩音が地元・松山で映画デビュー!
インタビュー
ロシアと愛媛県松山市を舞台に、史実に基づいて描かれた悲恋の物語『ソローキンの見た桜』。映画の冒頭で、凄惨な日露戦争のシーンに続いて映し出されるのは、現代の松山市の風景。ロシア人墓地に、瑞々しくも凛とした少女の声が響きわたる。
『ソローキンの見た桜』での藤野詩音出演シーンの撮影風景。
かつてこの場所で起こったことを、同年代のこどもたちに説明する地元の学校の生徒会長。彼女の言葉は、観客をも物語の世界へと案内する役割を担っていた。この生徒会長を演じたのは、自身も松山市出身の女優・藤野詩音だ。
これが映画初出演となる藤野は、『ソローキンの見た桜』が全国公開に先駆けて「愛媛国際映画祭」で上映された3月15日、共演の阿部純子やイッセー尾形らとともにレッドカーペットに登場した。初めての映画出演で感じたことは? 女優としての夢は? 藤野詩音にインタビュー。
初めての出演作で、レッドカーペットに参加。
3月15日に開催された「愛媛国際映画祭」レッドカーペットにて、『ソローキンの見た桜』キャスト・スタッフがレッドカーペットに登場。左から、井上奈々、藤野詩音、イッセー尾形、阿部純子、宇田恵菜、井上雅貴監督。
−−レッドカーペット、お疲れさまでした! 映画デビュー作で、ご自身の地元の松山市でのレッドカーペットを終えて、感想はいかがですか。
映画に出演するのも初めてですし、その作品でレッドカーペットを歩けるなんて、私はラッキーだなと思いました。
−−阿部純子さんや斎藤工さんなど、映画界の先輩と仕事をしてどんなことを感じましたか。
阿部さんも斎藤さんも、お会いした時にオーラを放っていて、そしてとても優しくて紳士的で、すごく印象的でした。
−−『ソローキンの見た桜』での最初のセリフを話すのが、藤野さん演じる生徒会長でした。セリフを言う時に意識したことはありますか。
松山の捕虜収容所で、ロシア兵に起こった悲しい出来事を思いながら、セリフがあまりわざとらしくならないように心がけました。
−−藤野さんが演じた生徒会長は、どんな女の子だと思いますか。
真面目で、自信があり、みんなに平等に接して、明るくて……そんなイメージです。
松山市の捕虜収容所で亡くなったロシア兵がたくさんいたこと、墓石がロシアの方角である北に向かって建てられていること……藤野演じる生徒会長が、同年代の少年少女たちに伝えるシーン。
−−完成した『ソローキンの見た桜』を観て、どう感じましたか。
私の地元の松山で、こんなに切なくもあり、愛おしくてキュンキュンする部分もある、素敵な映画が作られたことをすごく誇りに思います。私にとっていままででいちばん好きだった映画よりも、もっと好きだなって思えた映画です。そんなに大好きな映画に自分が出演できたことをうれしく思います。
−−ちなみにこの映画を観る前にいちばん好きだった映画は?
『坂道のアポロン』(2018年)という作品です。私、特技がピアノで、その映画はピアノを題材にした映画なので、すごく好きでした。
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映画は、感情を豊かにしてくれる存在。
初めての映画撮影に緊張していたという藤野だが、生き生きとした姿を披露した。
−−撮影中、心に残っているエピソードがあれば教えてください。
実は撮影が、私の学校のテスト直後だったんです。暑い日でしたが、春公開の映画なので、長袖の制服を着ていました。初めての映画ということもあって緊張していたせいか、軽い熱中症になってしまったんです。その時に、そばにいてくださった阿部純子さんや山本陽子さんが、優しく声をかけてくださったのがすごく印象に残っています。
−−故郷である愛媛県は、この映画のなかでどんなふうに生かされていたと思いますか。
松山の桜とか、松山城とか、美しい風景が生かされていると思いました。もっと深いところまで見ると、ロシア兵にも優しく接していたというところから、松山人は昔から優しい人たちだったんだなあって感じて、そんな松山人の優しさが生かされていたと思います。
−−レスリー・キー氏のような著名フォトグラファーともすでにお仕事をされています。ファッション撮影やモードの世界にも興味がありますか?
すごく興味があります! 自分の個性も出しながらも、その服に合った表情を出すというのは、演技と同じだと思っています。演技することが好きなので、やっぱり興味があります。
レスリー・キー氏が撮り下ろした、藤野詩音のポートレート。 © LESLIE KEE
−−藤野さんにとって映画とは?
映画は、私の感情を豊かにしてくれる存在だと思っています。映画を観て泣いたり、笑ったり、怒ったり……女優になりたいって思えるほど、感情を豊かにしてくれた存在です。
−−将来やってみたいこと、挑戦してみたいことは?
私のいちばんの夢は、みんなに愛される女優になることです。もっと小さなやりたいことでいえば、ひとり暮らしをしてみたいです!
2004年愛媛県生まれ。6歳からモデルとして活躍。フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作「ココア」(19年)などのテレビドラマや広告キャンペーンに出演。『ソローキンの見た桜』で映画デビューを果たす。
『ソローキンの見た桜』
●監督・脚本・編集/井上雅貴
●出演/阿部純子、ロデオン・ガリュチェンコ、山本陽子(特別出演)、アレクサンドル・ドモガロフ、斎藤工、イッセー尾形
●2019年、日本・ロシア映画
●配給:KADOKAWA
●3月16日より愛媛県先行公開、3月22日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開
https://sorokin-movie.com
©2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
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