
対談あれこれ
Music Sketch
2月から3月にかけて、立て続けに対談の司会というお仕事をいただきました。
最初はシンガー・ソングライターであるRie fuさんとリリー・フランキーさんの対談。
Rie fuさんは知り合って5年以上になるし、アトリエにも遊びに行かせていただいたほど親しく、リリーさんも以前取材でお会いしていて、とても気を遣う方であり、よく喋って下さる方なので、緊張することなく楽しい時間となりました。ただ、Rie fuさんとリリー・フランキーさんが共演した曲「Stay with me~恋愛なんてヒマつぶし~」のヴィデオ撮影後の夜遅い時間に対談を行なったのですが、その場所がホラー映画『呪怨』や『着信アリ』の撮影場所にも使われている元病院だったために、怖かったですね......。写真を撮るのも忘れました(苦笑)。21時頃にその建物に入った時点で、なんともいえないムワ~とした重苦しい雰囲気に包まれ、咳が止まらなくなったくらいですから。でも、対談はリリーさんによる"大河ドラマの裏話"など絶対に記事に書けないような話を中心に進められ、予定時間をオーヴァーして終了。全体の内容はmixiのRie fuさんのサイトに書かれているようです。
FIGARO最新号に掲載している山崎ナオコーラさん×石川直樹さんの対談。
続いてはFIGARO本誌での対談。
月刊化された最新号に掲載されている山崎ナオコーラさんと写真家・石川直樹さんによるものです。5月20日発売号から山崎ナオコーラさんによる連載小説がスタートするので、その前に自己紹介的に山崎さんと、山崎さんからのリクエストによって挿絵ならぬ写真を掲載することになった石川さんにご登場いただくことになりました。担当者Iさんと私は、1月30日に東京都写真美術館で行なわれていた、石川さん、山崎さん、そして前田司郎さん(作家・劇作家)の3人による対談を事前に聞きに行っていたし、山崎さんはFIGAROの本特集でも取材させていただいたばかり、もちろん両氏の著書も熟読していったのですが......、いろいろと勉強になりました。連載小説のイントロダクションといっても対談の時点で小説の内容を明かすわけにもいかないし、また、対談内容は興味深かったものの、ごく限られた文字数にまとめるとなると、むずかしく。そして、執筆業をされている両氏は文章に対するこだわりも強いので、表現の仕方が校正の時点で変わってきたり......。でも、ご多忙中にもかかわらず両氏のこだわりとご尽力によって、最終的に読み応えのある内容になったのでは、と思っています。ふぅ~っ。ぜひ読んでみてくださいね。
こんなふうに鏡の前で試行錯誤しながら、2人が一緒に映る撮影を......。
そして、少女漫画界のパイオニアである萩尾望都さんと、作家であり、"ブルボン小林"の名前でマンガ批評も書いている長嶋有さんの対談。
このお話をいただいた時は、「どうして私に!?」と思うほどビックリし、まずは萩尾先生とあって大変恐縮したのですが、こんな機会は滅多にないと思って即請けさせて頂きました。それから急遽、学生時代に読んでいた名作の数々を読み直したり、少女漫画に詳しい友人から"絶対に読むべき作品"を教えてもらって読みました。とにかくその作品量といったら、40年以上第一線で活躍されてきているのですから、膨大です。私は実は取材準備をする時間がとても好きで、こういう時でないとなかなか集中して読破できないので、萩尾作品も長嶋作品も可能な限り読んでいったのですが、対談はそれらの誕生秘話を聞くだけではなく、非常に非常に興味深いものとなりました。
萩尾望都さん×長嶋有さんの、18p、1万6000字にわたる対談記事。
対談の司会というのは、当然ながら掲げられたテーマに沿って対話を進めるための指揮者であり、双方から興味のある話を引き出す任務があるのですが、何といっても当事者同士の会話が盛り上がることも重要であり、双方に満足してもらうことが大切だと思います。この日の対談を演奏会に喩えるなら、萩尾望都さんの人生を垣間見る貴重なエピソードからSF話、現在まで......、長嶋さんの鋭いコメントというアンサンブルを交えながら、萩尾望都という世界観を捉えた贅沢なシンフォニーになったのではないでしょうか。対談後、お食事までご一緒することになり、個人的な質問もさせていただき、貴重な時間を過ごすことができました。
『文藝別冊 萩尾望都』(河出書房新社) 5月12日発売。
こちらは文芸誌とあって字数の幅に余裕があり、1万6000字余りにわたって対談をまとめてみました。漫画家であるのに、「場面」よりも「ひとこと」にこだわる萩尾望都さん、小説家であるのに、「ひとこと」よりも「場面」にこだわる長嶋有さん。漫画ファンならずとも、興味をもって読んでもらえると思います。これまで特集されることをずっと断ってきたという萩尾さんですが、担当編集者の情熱に打たれて、初めて許可を出されたそう。お誕生日の5月12日に『文藝別冊 萩尾望都』が発売になります。対談以外に、ご本人やご家族の貴重なインタヴューも掲載しているそうなので、ファンの方は是非楽しみにしていてください。
*to be continued