20+21世紀のアートとデザインに、子どもも喜ぶパリ。

PARIS DECO

パリ、アート、デザインの頭文字をとったPADというフェアが毎年チュイルリー公園で開催される。今年は3月22日~26日の5日間だった。週末は家族連れが多く、小学生くらいの子どもが親と一緒になってインテリアを語り合っている様子が見られた。こんな幼い頃から、世界各地の素晴らしいクリエイティヴィティに触れていれば、さぞ美意識も研ぎ澄まされることだろうな……と感心! 21回目の今回、自然や動物をテーマにした作品の展示が少なくなかったので、子どもたちも大いに楽しめたことだろう。

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Galerie Antonine Catzéflisで見かけたClémentine de Chabaneixによる陶の動物。ポエティックでかわいい!!

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左:マレ地区にあるCarpentersのスタンドにて。オランダのStudio Driftのランプは、本物のタンポポがLEDの豆電球を繊細に囲んでいる。
右:壁にかかったカラフルな花のパネル。よく見ると、中で蝶々が動いていたりする。

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左:ロバの耳? インテリアにファンタジーを。右:Jean-David Bottella では、フランソワ=グザヴィエ・ラランヌによる羊たちが群れをなしていた。

いや子どもに限らない。アートやデザインに造詣のあまり深くない大人でも 、退屈知らずの会場だったので少し紹介しよう。 コンテンポラリー作品、あるいはミッドセンチュリーやアールヌーヴォーといったヴィンテージなど時代はさまざま、セラミックやガラス、ウッドなど素材もさまざま。絵画もあればジュエリーもあって……フランスが主だが、イギリス、ポルトガルなどヨーロッパの他の国も含めた68の参加ギャラリーの多様な提案が面白く、つい次々と見て回ってしまう。ヴァンドーム広場に軒を連ねるジュエラーのアンティークを扱うスタンドでは、“指差してため息”という客が多い中で、これいただくわ! と購入する女性の姿も。会場内にはシャンパンのRuinard が協賛するレストランも設けられ、今回、ここのインテリアが任されたのは目下人気独占中のインテリア・デザイナー、サラ・ラヴォワンヌだった。

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左:8区のGalerie Lumièreのスタンドで見かけたのは、イタリアの50年代の丸い鏡。周囲に彫られたモチーフが人魚というのはとても珍しい。
右:ベルギーのGalerie Le Beauは籐の50年代の家具を展示。右に見えるのは1947年ごろのPaolo Buffaによる食器戸棚。

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スタンド全体が淡い色調でまとめられ、独特なフォルムの椅子が魅力的だったパリ8区のギャラリーMouvements Modernesのスタンド。photos:Mariko OMURA

なお、PADにはポンピドゥー・センターのキュレーターであるマリ=ロール・ジューセを委員長に頂く審査員会がある。メンバーは建築家、コレクター、室内装飾家など。会場スタンド賞、20世紀のデザイン賞、コンテンポラリー・デザイン賞が授けられた合計4名は以下の通りである。これらはアート&デザインについてのちょっと上級者向きかも。なお、次回のPAD はロンドンのバークレー・スクエアにて、10月2日〜8日まで開催される。

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左:スタンド賞受賞はプリミティブアートのGalerie Flak  右:20世紀のデザイン賞受賞はErnest Boiceauによる干支のカーペット(1930年)

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コンテンポラリー・デザイン賞の受賞は2名。Galerie Clara Screminiで展示されたLaura de Santillana(左)とGalerie Alexandre Guillemaindで展示されたRoWin’ Atelierのコレクション

大村真理子 Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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