ディモレスタジオが手がけたプール付きホテルで眠りたい。
PARIS DECO
昨夏、大改装によって生まれ変わったHotel du Rond Point des Champs-Elysées(オテル・デュ・ロン・ポワン・デ・シャンゼリゼ)。シャンゼリゼ大通りに出るのも、フォーブル・サントノーレ通りに出るのも便利な場所で、モンテーニュ大通りにも近く、周囲には選ぶのに困るほどのレストランやカフェがあるという立地だ。1850年代に建築された建物で、19世紀末に持ち主となったマダム・ヴィレット=ヴィトンが1922年に拡張工事を行った時に、当時流行りのアールデコ・スタイルをファサードに取り入れた。
アールデコの外観が目をひくオテル・デュ・ロン・ポワン・デ・シャンゼリゼ。
1920年代の鉄の装飾もきれいに修復された。
上階の部屋の魅力は、このテラスとパリの眺め。
今回の改装が任されたのは、デザイン界で話題のイタリア人デュオ、DIMORESTUDIO(ディモレスタジオ)だ。エミリアーノ・サルチとブリット・モランのふたりはアールデコの外壁とエントランスの上に張り出すガラスのマルキーズ(庇)を美しく蘇らせ、アールデコの時代にインスパイアされた内装によるエレガントなブティックホテルを作り上げたのだ。カーテン、壁紙、照明器具などインテリアファンにはチェックポイントが多数ある。
ディモレスタジオが内装を手がけたパリ2つめのホテル。
各部屋でデザインの遊びが異なる。
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ちょっとばかりエロティックなモチーフが隠れている部屋もある。
36室とスイートからなるブティックホテル。4つ星ホテルだが、時期によっては手頃な価格で宿泊できる。
階段の絨毯、ラウンジの椅子にはレオパード柄が用いられている。これはパリで50年代に人気だった女性室内装飾家マドレーヌ・カスタンのスタイルからのインスピレーション。タイルが囲むアールデコ調の地下プールは、ストライプのソファでモダンに。ホテル内を歩くだけで、パリのさまざまな時代を旅する感覚が得られる内装が楽しいホテルだ。
レオパード模様の階段。もちろんホテルにはエレベーターがあるけれど……。
鏡とライトの扱いがゴージャスな1階。
13メートルのプール。ハマムも併設されている。
なおDaphné(ダフネ)と命名されたホテルのバーには、ちょっとしたエピソードが。この名は、ヒッチコック監督の映画で有名な『レベッカ』の原作を書いた英国女性作家ダフネ・デュ・モーリアに由来している。彼女はパリ滞在の際はこのホテルに宿泊し、女性と秘密の逢瀬を重ねていたらしい……ということから。
10, rue de Ponthieu
75008 Paris
www.paris-hotel-rondpoint-champselysees.com/en
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。