2023年に通い詰めた、私のパリ散歩アドレス。前編

こんにちは、鈴木桃子です。パリに移住して1年が経過し、新しいアドレスの開拓よりも、居心地の良いアドレスに何度も足を運ぶことが増えてきました。今回は、私が2023年に何度も足を運んだアドレスをご紹介。

●Atelier Brancusi

ポンピドゥセンターの横にあるコンスタンティン・ブランクーシの小さな美術館。ルーマニア出身、1904年からパリで彫刻家の道を歩み始めたブランクーシ。静謐さを漂わせるミニマルで有機的な彫刻は、年月を超えて、いまの私たちの気分にマッチするなと感じます。ガラス天井からの光の入り方で見え方も異なり、なんとなく足を運んでしまう場所。2024年3月30日からは、アーティゾン美術館でブランクーシの初の展覧会が開催されるそうで、来年はより注目を浴びそうな予感です。

●Maison Européenne de la Photographie

職業柄もあり、写真が大好きなので、マレにあるヨーロッパ写真美術館（通称MEP）は展示ごとに通いました。クラシックな内観も素敵で、気分が上がります。大好きなヴィジュアル本が大量に並ぶ、併設ライブラリーとブックショップは何時間でもいられる場所。今年良かった展示は、Rachel Fleminger HudsonとViviane Sassenです。

Rachel Fleminger Hudson（左）は97年生まれ、イギリスのセントマ出身のフォトグラファーで、2022年度のディオールフォトグラフィーの受賞者。80年代、90年代のちょっぴり懐かしさも感じさせるテイストが若い感性でエネルギッシュにアップデートされていて、とても良かったです。Viviane Sassen（右）は、名だたるファッション誌で活躍し続けるオランダ人フォトグラファー。写真、コラージュ、絵画、映像など、30年にわたる創作が紹介され、圧巻でした。2024年のKYOTOGRAPHIEでもViviane Sassenの展示が予定されているそうなので、来年は日本でも話題になりそうです。

●Yvon Lambert

これまた、大好きなヴィジュアル本のブックショップなのですが、定期的に訪れて新作をチェックしていました。歴史があるブックショップギャラリーで、先代は故クリストとジャンヌ＝クロード（左）と仲が良く、ここでよく展示も行っていたとか。今年は、フィガロジャポンでも登場してくれたCoco Capitán（中央）の展示&サイン会もあり、東京ぶりに再会できてとても嬉しかったです。ミラノの有名アーティストNathalie Du Pasquier（右）の展示もあったり、定期的に錚々たるアーティストの展示が行われています。

●LEMAIRE

今年マレで拡大移転したルメールは、日本から友人や知り合いが来るたびに一緒に訪レました。美意識が詰まった洗練された空間は、訪れる度に背筋が伸びる気持ち。ガラス張りの天井や窓から自然光が差し込み、淡い色合いでまとめられたナチュラルな雰囲気が心地よく、ジュエリーのディスプレイひとつを取っても、その独創的なアイデアにハッとさせられます。シーズンごとのコレクションに関連したアートの展示も見応えあり。

●BnF

昨年改修された国立図書館は、とにかく圧巻の内装。ヨーロッパ最古の公共図書館のひとつだそうです。訪れるだけで気分が上がるので、モチベーションアップのために仕事をしにふらりと訪れることもありました。オペラ地区にあり、誰でも自由に入れるのが嬉しい。

●Em Archives

たくさんデザイナーは暮らしているのに、販売しているショップがなかなかないのがパリの謎。服を買いたいと思うと、自ずとメゾンもしくはヴィンテージの二択を迫られます。昨年オープンしたこの店は、ジル・サンダーやエルメスをはじめ、状態の良いヴィンテージがたくさんセレクトされています。パリで活躍してくれる、シックで洗練された着回しやすいヴィンテージが比較的手頃な価格で手に入るので、よくお世話になりました。

後編は、食アドレスをご紹介します。