南仏プロヴァンスで猫さがし。

初夏のサント・ヴィクトワール山に登る。

私の南仏生活が始まったのは、去年の5月のことでした。スーツケース2個に、ものをパンパンに詰め込んで、マルセイユ空港に降り立った日がはるか昔のよう。

そういえば、そのスーツケースのうち一つは、到着したとき、デーンと破損して目の前に現れたんだったなあ。
こっちに来て初めてひとりでバスに乗ったときには、知らない街で突然降ろされて途方にくれたなあ。
なぜか必要だと思って持って来たヨガマットは、海とか公園でレジャーシートとしてしか使ってないなあ。

と、1年間を振り返ったり振り返らなかったりしながら、先日、山に登ってきました。

すぐ近くにあるのに、いつもただ眺めてばかりいた、サント・ヴィクトワール山へ。

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いくつかある登山コースのうち、私たちが選んだのは、一番初心者向けコースのように感じた、Imouchaの道。登山口は、麓のダム(ビモン湖)の脇にあり、この青い目印を追っていくと、頂上にたどり着きます。所要時間は、行きが2時間、帰りは1時間半。

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勝手に、標高は高尾山(599メートル)くらいだと思っていたのですが、サント・ヴィクトワール山の高さは、1,011メートル。セザンヌが描いたとおり、上の方はゴツゴツした岩だらけの山で、初めての登山としては、けっこうハードでした。それに、水やらお弁当やらおやつやら、(心配性ゆえ)けっこうな重装備で挑みましたから。

でも、アクティブなフランス人の友人たちは、けっこう気楽にこの山を登っているよう。この日も頂上付近で、一人でふらっと登りに来ていた友人と鉢合わせました。

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さらに、普通のスニーカーに、トートバッグを肩からかけて登っている女の子たちや、小さな赤ちゃんを背負い、犬を連れて登るカップル、信じられないけれど、山道を走って上り下りする強者たち。私は普通に登るだけでもぜーぜーはーはー。あとちょっと暑い日だったら、たぶんすぐバテて帰ってた。

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とは言うものの、初夏のサント・ヴィクトワールは、花が咲き、鳥がさえずり、暑過ぎず寒過ぎず、(山頂はけっこう強風で寒かったですが)ザ・ベストシーズン! という感じ。下山中なんて足腰はガクガクなのに、なんか満たされた気持ちになる、山登りって不思議ですね。すれ違う人たちと挨拶したり、道を譲り合ったりして。山が好きな人の気持ちが、なんとなくわかりました。

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小修道院。ここまで来れば、頂上はすぐそこ。

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山頂には、Croix de Provence(プロヴァンスの十字架)と、箱みたいな小屋が。

道中、こんなにかわいいチョコレート色の犬にも出会いましたよ。

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中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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