attitude クリエイターの言葉

セリーヌとのコラボでも注目された画家の、黒い絵画。

インタビュー

ミニマムからポップまで幅広く、絵と向き合ってきた画家の原点とは。

アンドレ・ブッツァー|画家

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ドイツの現代アートを牽引する画家アンドレ・ブッツアーの個展。長年にわたって制作された、代表的なシリーズ『N-Paintings』にフォーカスをあてた内容。多様な制作手法と幅広い表現でこれまで彼が描いてきた作品のすべてのイメージの原点だという。『André Butzer』展は清春芸術村 光の美術館にて2021/1/24まで開催中。

「経歴を知らずに作品だけを見ると、僕を日本人だと思う人もいるようです。僕はドイツ人ですけど」と話す、画家のアンドレ・ブッツァー。現在、代表的なシリーズ『N-Paintings 』を集めた展覧会が北杜市の清春芸術村にて開催中。自身の出発点だと語る、黒いペインティングの数々が展示されている。

「2010年から17年の間に多くの黒いペインティングを描きましたが、正確に言うと、これらはただの黒やモノクロの絵画ではないんです。このシリーズは、これまでもこの先も僕のすべてのイメージの基盤であって、僕の絵の起源です」

ミニマムでありながら強い存在感を放つ彼の作品が、日本人アーティストのものだと勘違いされるのもわかる気がする。しかし「アートは決して明白ではない。真実は常に部分的に隠されているもの」と話すアンドレの作風は幅広い。この抽象的な『N-Paintings 』と相反する世界観だが、戯画化したポップでカラフルなキャラクターが主役のペインティングもよく知られている。セリーヌ2020年夏メンズコレクションでは、クリエイティブ&イメージディレクターのエディ・スリマンが、アンドレが描いたキャラクターのワンダラーをアクセントにしたバスケットやウォレットをデザインした。

「セリーヌとのコラボレーションは、僕の作品を扱うロンドンのディーラーに電話をくれたのが始まり。驚きましたね。僕は着古した服ばかりを身に着けているタイプなので」

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エディは僕の作品に、何かを見いだしてくれた。

ハイファッションとはおよそ縁のない世界に暮らしていたと思われるアンドレだが、このセリーヌからのオファーについて家族に話したところ、一気に現実味が増したようだ。

「妻や娘はもちろん、セリーヌについてよく知っていました。僕自身はファッションについて疎くて。でも彼らが僕の作品に何かを見いだしてくれたことはうれしかった」

幅広い作風から、このチャーミングなキャラクターをコラボレーションに選んだ理由は?

「それは神のみぞ知る。このアイデアがどこから生まれたのかわからない。それがアート的なアプローチなのだと思います」

今回の黒いペインティングなど、以前はドイツのスタジオ内で描いていたが、いまはカリフォルニアの屋外で描いているという。パームツリーに囲まれた自宅の庭で、鳥のさえずりに耳を傾けながら、彼はマイペースにアートと向き合い続けている。

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André Butzer/アンドレ・ブッツァー
1973年、ドイツ・シュツットガルト生まれ。ハンブルクのアカデミー・アイソトロップを卒業。ドイツやスウェーデン、ベルギー、上海など世界中で個展を開催している。現在は、家族とともにカリフォルニア在住。

*「フィガロジャポン」2021年2月号より抜粋

interview et texte : TOMOKO KAWAKAMI

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