ISETAN MITSUKOSHI DESIGN WEEK 2013の特別コラボ企画「ふしとカケラ」について、深澤直人・皆川明の両氏にインタビュー。

インタビュー

プロダクトデザイナーの深澤直人さんが広島の家具メーカー・マルニ木工のためにデザインした椅子HIROSHIMA(ヒロシマ)。今回、通常とは異なる木材に、minä perhonenのデザイナー皆川明さんによるテキスタイルを座面に張った限定モデルが、ISETAN MITSUKOSHI DESIGN WEEK 2013のメイン企画として制作。「ふしとカケラ」と名づけられた、この特別コラボレーション企画について、深澤直人・皆川明の両氏に制作過程のインサイドストーリーを伺った。

fushitokakera131023main01.jpg特別なファブリックが張られた限定モデルのHIROSHIMA アームチェア。余り布を使ったパッチワークのモデル(左)に、座面が擦れて織り込まれている別の色が出てくるモデル(右)が発売された。肘掛けなどに木材の"フシ"が見える。ともにビーチ材。

"世界の定番"を目指したマルニ木工のHIROSHIMAアームチェアは、国内だけでなく海外でも人気が高い椅子。通常は均質な風合いの木材が使用されるが、今回は成長する過程でどうしても生じる"フシ"のある木を敢えて使った。一般的にフシのある木はあまり好まれず、家具に用いられることも少ないのだが......。

――なぜ、フシのある木材を敢えて用いたのでしょうか。

深澤:「最初はキレイで完璧な木材を使った家具を求めていましたが、次第にフシのある家具も悪くないと思うようになり、そこに他と違う価値を見出したんです。そもそもフシは木が生きてきた証であり、木の個性が表れた部分ですから」

「2011年に伊勢丹で、フシのある木材を用いたHIROSHIMAを発表したところ、他にない一点モノの家具を手に入れたいという方が多く、大変好評でした。今回はそれに続く新たな試みとして、皆川明さんと何か一緒に考えよう、ということで企画がスタートしました」

ファッションデザイナーの皆川明さんにとって、深澤直人さんは以前から尊敬するデザイナー。今回は念願叶っての、初コラボレーションとなった。そして生まれたのがminä perhonenのテキスタイルを使い、HIROSHIMAの座面にパッチワークを施した布地を張った限定モデル。2003年から2014年までの秋冬コレクションに実際に使われた布地のなかで、裁断した際に生じた余り布が用いられる。このコラボレーションでは余り布を"カケラ"と表現し、企画名は「ふしとカケラ」と名づけられた。

fushitokakera131023main02.jpgプロダクトデザイナーの深澤直人さん(左)と、minä perhonenのデザイナー皆川明さん(右)。

――初めてご一緒にお仕事をされたわけですが、お互いの印象はいかがでしたか。

皆川:「HIROSHIMAは、2008年に発表された展示会で初めて目にしました。真横から撮った写真が印象的で、いつかこの椅子を使って何かできたらと、その頃から思っていました。深澤さんは、とても厳しい目をもってモノづくりをされている方。日常に溶け込むデザインでありながら、そこに誰も思いつかなかった魅力を体現されています」

深澤:「皆川さんとは以前から、プライベートでお付き合いはあるのですが、とても厳しい人です。自分の考えている世界をピュアに表現したい、と思い続けている方で、そのクリエイションを尊敬しています」

fushitokakera131023main03.jpgHIROSHIMA アームチェア(張座)piece, ウォールナット。テーブル上のバッグは、座面の形をベースにパッチワークを施したkakera bag。

――今回、パッチワークの座面をHIROSHIMAに用いることになった経緯は。

皆川:「最初からパッチワークを使うという、お題があったわけではありません。フシのある木材は、金子みすゞの詩の一節「みんなちがって、みんないい」のように個性では、と。余り布で座面をパッチワークにすれば、一脚ずつ異なる椅子の個性が、更に豊かになると思いました」

「今回使ったのは、愛着もあり捨てられずに取っておいた、洋服にはならない大きさの余り布。丁寧に織られ、刺繍が施されたものがあったり、とても手間暇をかけて仕上げられています」

「布地の配置は、森のなかの落ち葉のイメージ。なんとなく落ちている感じで、作為的な雰囲気を避け、ちょっと感覚的に選びました。座面に使うことから、擦れに耐えうる材質であることも考慮しています」

「また座面と同じ形の、ひと回り小さいサイズのバッグを作ってみました。持ち手の革は、椅子に使用される木材の色味に合わせています」

――完成品をご覧になって、ご感想はいかがでしょうか。

深澤:「今回は、もともと設計図があったわけではなく、自然とこちらの方向に流れて行きました。これまでのふたりのさまざまな経験が積み重なった結果。計算していたら、けっしてこうはならなかったのでは。いいモノができたのではないでしょうか」

今回のHIROSHIMAの限定モデルは、見て美しいだけでなく、裏にいくつもの素敵な物語がある、心に残る椅子といえる。この特別コラボレーション企画を通して、プロダクトデザインの新たな潮流を感じてみてはいかがでしょうか。

ISETAN MITSUKOSHI DESIGN WEEK 2013「HAND MADE BY / FOR ME」
「ふしとカケラ」MARUNI COLLECTION HIROSHIMA with minä perhonen』

会期:10月23日(水)~11月5日(火)
会場:伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越
※「ふしとカケラ」は、伊勢丹新宿店 本館1F=ザ・ステージにて10月29日(火)までの開催。
●問い合わせ先:伊勢丹新宿店(大代表)Tel.03-3352-1111
www.isetan.co.jp/icm2/jsp/store/shinjuku

photos & texte:JOE SUZUKI

RELATED CONTENTS

BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      WHAT'S NEW

      LATEST BLOG

      FIGARO Japon

      FIGARO Japon

      madameFIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。

      フィガロジャポン madame FIGARO.jp Error Page - 404

      Page Not FoundWe Couldn't Find That Page

      このページはご利用いただけません。
      リンクに問題があるか、ページが削除された可能性があります。

      Magazine

      FIGARO Japon

      About Us

      • Twitter
      • instagram
      • facebook
      • LINE
      • Youtube
      • Pinterest
      • madameFIGARO
      • Newsweek
      • Pen
      • CONTENT STUDIO
      • 書籍
      • 大人の名古屋
      • CE MEDIA HOUSE

      掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

      COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.