注目の超大作『フューリー』がまもなく公開! 主演&製作総指揮を務めたブラッド・ピットにインタビュー。
インタビュー
第二次世界大戦末期。最後の抵抗を繰り広げるドイツ軍に、"フューリー"(=激しい怒り)と命名された戦車で立ち向かった米軍兵士5人。彼らは敵の精鋭部隊300人をたった5人で迎え撃つという、絶望的なミッションに身を投じていく――。『プラトーン』、『プライベート・ライアン』、『戦場のピアニスト』に続く、10年に一度の戦争映画の傑作とも言われる作品の脚本に惚れ込み、主演と製作総指揮を務めたブラッド・ピットにインタビュー。本作への想いや撮影時のエピソードを聞いた。
――本作では脚本に惹かれ、出演に加えてプロデュースも担当することになったそうですね。
ブラッド・ピット(以下、B):「まずプロデュースについてだが、僕はそれほど重要な役割は果たしていないんだ。今回は演技に専念し、役づくりに入魂する必要があった。この映画は惨たらしさという土壌の中で、人間性を見出す話だ。自分では戦争は体験していないが、人間経験を積むことで真実を見る目が養われるのではないかな。美化されない真実が大切であると感じるようになった。この映画が見るものに問いかけるのは、睡眠もとれず困憊した状態で、戦争の悲惨さに直面し、罪ない人や仲間が無残に殺されるのを目の当たりにしたとき、それが人間の心にどんな影響を及ぼすのか、そしてそれを人はどう生き延びるのか、ということなんだ。そこにはヒロイズムがあるのか。この映画では、戦車部隊というマイクロな世界が描かれる。大戦も終わりに近づいたころ、長年連れ添った5人だが1人の隊員を失い、新しい隊員が加入する。戦争も終盤で、経験のある隊員はみつからず新隊員は全く経験のない若者だった。この無垢な若者に、僕の役は父親的な気持ちから戦争のむごさを教え込もうとするんだ。荒々しく教え込むことで、ほかの隊員が危険にさらされることを阻止しようとするわけだ」
――それが、あなたが今回演じた"ウォーダディー"ですね。彼のキャラクターについてもう少し詳しく教えてください。
B:「乗組員たちの命を預かっている車長であり、責任者であり、戦車のオペレーション全般を見るし、また皆の士気を高めなければならない。また小隊の司令官でもあるので他の4両の戦車にも指令を出さなければならず、交戦する際のナビゲーションも戦略的に考えていかなくてはならない。敵との距離も図り、どこに脅威が潜むかも見定めなければならない。全てが彼の判断に委ねられるんだ。だから隊員たちの信頼を勝ち得なければならないし、自分自身でも確信がなければならない。皆の生死は彼の判断ひとつにかかってくるからね」
――『イングロリアス・バスターズ』でも兵士を演じていましたが、今回の役で異なる点は?
B:「あの作品は非常にスタイルを意識した、話題性を狙ったものだった。観て楽しい映画だ。この映画は全く違う。共通点は、軍服を着ているという点くらいだよ。非常に真実に正確で、真剣に準備もし、実際に第二次世界大戦時に戦場で戦った兵士にも会い、話も聞いた。リサーチにも力を入れたんだ」
――実際に兵士たちと話してみて、いかがでしたか?
B:「退役軍人の方々と話ができて、彼らは今はもう90才を過ぎているが、ノルマンディー上陸作戦やバルジの戦いの体験談を聞かせてくれた。頭の下がる思いだった。彼らやその家族が払った犠牲に対し、本当に理解が深まった。第二次大戦に限らず、それまでの戦争もそれ以降の戦争も、軍人たちやその家族は多大なる犠牲を払っていると感じたよ」
――その他、撮影前にはどんな準備をしましたか?
B:「いろいろと研究したよ。歴史を調べ、肉体的なトレーニングをこなした。リーダーシップや戦車についても学んだ。本当に戦争に行ったようなものだ。私たちは、実際に戦車を動かすことができるようになったからね。砲撃のやり方は分からないが、戦車を稼働させることはできるよ」
――ブートキャンプにも参加されたそうですね。
B:「1週間ほどブートキャンプへの参加を課せられた。実際に訓練している兵士たちからしてみたらほんの一瞬だと思うんだけどね。僕らの体験は観光程度の優しさだったろう。それでも毎朝5時起床の本格的なトレーニングだった。フィジカルトレーニングを2時間、その後に講義、労働、障害物トレーニングなどが夕方まで続く。飯は冷たいし、雨の中で寝たり、夜中に起きて見張り役をやったりもした。とにかく全力投球だった。訓練は皆を追い込み、戦場がどんな感じだったのか少しでも実体験できるように組み立てられていたし、最悪の状況の中でも士気を奮い立たせるようにも出来ていて、なかなか面白かった。また、チーム内で序列が構築され、皆が一丸となって苦難を乗り越えられるように仕組まれていた。苦難といっても本物の兵士たちが日々感じている苦難とは比べようもないだろう。訓練のおかげで固い絆ができたし、心構えもでき、達成感も感じた。それがスクリーンに滲み出ていると思うよ。父親として子供を育てるうえで役に立つことも多く学んだ。チームでもお互いの弱点も分かるようになったので、補完し合えるようになった。みんなが大好きになったよ」
――実際に戦車を運転してみて、どう感じましたか?
B:「戦車の乗組員はひとつの機械として機能しなければならない。つまり乗組員たちはお互いの役割をちゃんと分かっていなくてはならず、1人がやられたら他の人がすぐに代わりを務められるようにしなければならない。ほんの小さな失敗でも、全員にとって命取りなんだ」
――この作品は仲間の絆がとても丁寧に描かれた作品ですね。
B:「その辺が、この話の誰にでも共感できる点ではないかな。家族を持っている人ならだれでも共感できると思うよ。家族というのは、どこの家庭でも愛や絆や、不満や怒りや思いやり、協力、落胆など、様々な要因で結ばれていると思うから」
――デヴィッド・エアー監督は、リアルな映像作りにこだわっておられたそうですね。
B:「彼のこだわりは相当なものだ。おかげで素晴らしい経験になったよ」
――最後に、映画公開に際して心境はいかがですか?
B:「本作には満足している。理屈抜きで心に響く経験をした。こうして映画を披露することができてうれしい。労力をつぎ込んだ結果だ」
『フューリー』
製作総指揮:ブラッド・ピット
脚本・監督:デヴィッド・エアー
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル
配給:KADOKAWA
©Norman Licensing, LLC 2014
11月28日(金)TOHOシネマズ日劇他全国超拡大ロードショー
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