
オーストラリアの旅
Music Sketch
前回のP!NKのライヴがそうだったように、オーストラリアへ行ってきました。私が小学生の頃、我が家にホームステイしていた交換学生のダイアンや、そのファミリーに会いに向かったのです。本当はいろいろ抱えていることが落ち着いてからゆっくり行きたかったのですが、今年のGW前にダイアンの妹夫婦が観光で来日した際に案内したのがきっかけとなって、切望されスケジュールまで組んでくれたので、会いに行くことにしました。流れに乗ることも大切ですからね。これまで30数カ国行っているなかでなかなか目の向かなかったオーストラリアでしたが、飛ぶと近いし、時差は1時間だし、今は秋から冬に向かう季節で過ごしやすく、とても楽しかったです。
ダイアンの家は目覚めると羊が挨拶に来るような環境。
ダイアン夫妻の家から、彼女の娘とボーイフレンドが暮らすキャンベラの家、ご両親の住む家、妹夫婦のシドニーの一等地の家やゲストハウスなど、都市をはじめ、放牧された羊や牛、カンガルーやウンバットの多い草原地、そして海岸沿いに建つ別荘までを転々と泊まってまわったのですが、どこにでも動物がいて、特に信じられないくらい毎朝何種類もの鳥の歌声で目覚めます。私が生まれ育った東京の家も、近くの公園から鶯などいろいろな鳥が庭にさえずりにきていましたが、当然ながら比ではありません。
ニューサウスウエールズ州立美術館でランチ中に現れた鳥。
ランチ中に現れた鳥の中でも、特にレインボー・ロリキートの美しさには感嘆。
ロイヤル・ボタニックガーデンの頭上に見つけたコウモリの群れ。
特に50歳そこそこで夫婦でリタイアしてから、広大な土地を購入してガーデニングなどを楽しんでいるダイアンの家では、鳥の歌声を聴いているだけで、自然の音楽に浸れます。いわゆる音楽をかけずとも過ごしていられる至福の世界です。いつもだったら録音機材を旅先に持っていくのに忘れてしまい、なのでオーストラリアの鳥の鳴き声を集めたCDを購入してしまいました。今でもこのCDを聴いていると、朝陽がカーテン越しに部屋に射し込んでくる光景が目に浮かぶようです。
オーストラリアの鳥の声を集めたCD。一番印象的なのはクッカバラ。
ダイアン夫妻は今春は8週間のヨーロッパのクルージングに出かけているなど、本当に羨ましい生活を送っています。とはいえ現在は田舎暮らしで全く贅沢な生活を送っているわけではなく、しかし、もっと歳を取ったら、買い物などが便利な海岸地域に暮らしたいと、将来の住居までしっかり決めていました。
ダイアンのご両親は、リタイアした人が55歳から暮らせるassisted housingに暮らし、そこは家が21軒とコミュニティ・ハウスがあり、近くに医療機関や生活に欠かせない店が揃っています。ダイアンの父、ビルは77歳になりますが、15年以上かけて1928年のクライスラー製のクラシック・カーを1人で組み立てたり、ベッドやキッチン、シャワーやトイレも揃ったキャンピングカーを運転して、ご夫婦で8ヶ月ほどかけてオーストラリアを縦断したり......と、悠々自適な生活を送っていてとても素敵でした。オーストラリアの方が土地が余っているからでしょうか、断然日本よりも暮らしやすそうです。
どこでも見かけるレインボー・ロリキート。
その形からバード・オブ・パラダイスと呼ばれる花。
自分で組み立てたクラシックカーを運転するダイアンの父ビル。
ダイアンの娘サラのボーイフレンド(27歳)も、ダイアンの妹の息子(21歳)も大のクラシック・ロック・ファンで、ジミ・ヘンドリクスやレッド・ツェッペリンやピンク・フロイドが大好き。私が知っているオーストラリア人って、イギリス人と同じくらい国民を上げてみんな音楽が好きなような気がしましたが、それにしてもipodを見せてもらったら、私と同年代といっても過言でないほど70年代の音楽にハマッていたのでビックリ。一方、サラは5年前に日本に旅行したことがあるそうで、宇多田ヒカルの大ファンといい、あと宮崎駿作品や日本のホラー映画のDVDをかなり持っていていました。
そのサラが勧めてくれたオーストラリアのバンド、EVERMOREは、ちょうどP!NKのオープニングアクトとして見ることができました。CDショップの店頭にはメルボルン出身で、マーク・ロンソンのプロデュースで注目されているダニエル・メリウェザーなども並んでいましたが、私は日本で入手しにくそうなEVERMOREの新作とSarah Blaskoの新作を購入。本当はアボリジニの音楽も探していたのですが、テクノ系のBGMに合わせて演奏しているものが多くて、トラディショナルなものは見つからず、残念。
左がEVERMOREの新作。U2やコールドプレイの影響も一部感じさせるうえに、今回はドラマチックでコンセプト色とメッセージ性の強い独自のロックを聴かせる。右はシンガー・ソングライター、サラ・ブラスコの新作。スウェーデンのピーター・ビヨーン・アンド・ジョンのビヨーン・イットリングがプロデュースしていて、ファイストぽい部分もあり、個人的にはとても気に入っている1枚。
やはり今こうして振り返ってみると、鳥のさえずりや波の音がとても印象的に静かに耳の奥で響いています。
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ジョン・バトラーがオススメするボンダイビーチの波の音も美しい。
そもそもオーストラリアへ行こうと思った最初のきっかけは、私の姉がダイアンの後にオーストラリアに同じく高校生として留学し、帰国後いろいろな変化が見られたことから気になっていたのです。昨今、家族のルーツを調べている中で、一度は姉が留学していた学校を見てみたいと思ったのです。まだ姉が如月小春として、劇作家・脚本家として活動する前になるのですが......。亡き姉の当時の話を訊くということで、かなりセンチメンタルな旅になるかと思ったら、みんなが心から私を家族の一員として扱ってくれたので、本当に家族っていいな、と感激してしまいました。というか、ダイアンの両親が我が家に遊びに来た時って、私は本当にチビな子供でしたから、今でも末っ子のような扱いを受けていたのですが・・・・・・。
1970年代前半にオーストラリアに留学していた姉と、ダイアン姉妹の写真。ベルボトムのパンツをはいている姿が、もろ70年代ですね。
オーストラリアはいろいろな意味で過ごしやすそうだし、また近いうちに遊びに行くかもしれません。
*to be continued