
ピクシー・ロットって誰 !?
Music Sketch
今、イギリスで2枚のシングル(「MAMA DO」と「BOYS AND GIRLS」)が共に全英チャート第1位に輝き、9月14日に発売になったデビュー・アルバム『TURN IT UP』もアルバムチャート初登場第6位と、大人気のピクシー・ロット。実はこの夏、日本に初来日していてインタヴューしているので、その時の様子をお伝えしましょう。
屈託のない笑顔が魅力。最初に自分で買ったレコードはスパイスガールズだそう。
今年18歳になったピクシー・ロット(本名はヴィクトリア・ロット)は、5歳からダンスを習い、11歳の時に奨学生に選ばれてナオミ・キャンベルの出身校でもあるItalia Conti Academy of Theatre Artsに入学。在学中からBBC1で放送された『サウンド・オブ・ミュージック』に出演するなど、ミュージカルやTV番組などで活躍。しかし、14歳の時に雑誌に掲載されていた"次世代のPOP DIVA求む!"というオーディションの広告を見つけ、16歳以上21歳以下という年齢制限にウソをついて応募し、ブラック・アイド・ピーズと同じマネージメント会社と契約できることに。その後、学業と並行しながらレッスンに励み、待望のデビューとなったそうです。
デビュー曲「MAMA DO」を発表した頃は、その音楽から"ダフィーmeetsリリー・アレン"と呼ばれたこともありました。彼女自身はソウル・ミュージックが大好きだそうで、その理由として、「アレサ・フランクリンやマライア・キャリーなど、ソウルフルなシンガーを聴いて育ったから、それが一番好きなヴォーカルスタイルなんだと思う。ソウルシンガーの"歌わずにはいられない、ソウルから伝わってくる想い"があるからこそ、自分もそのようなシンガーになりたい」と、話します。
この日は朝から取材で、私の取材は夜が近づいた時間帯とあって、疲れたのか、やや顔が腫れぼったくなってきたような。でも最後まで、楽しくインタヴューに答えてくれました。
LA、NY、アトランタ、ロンドン、そしてデンマークまで飛んで曲作りやレコーディングに取り組んだというアルバムには、60年代を想起するようなバラードから軽快なダンス・ビート溢れるパーティ・ソングまで、実にバラエティに富んだ曲が集まりました。レディ・ガガとのコラボレーションで新たに脚光を浴びているレッド・ワンや、ナタリー・インブルーリアの名曲「トーン」を書いたフィル・ソナリーも参加。もちろんピクシーもほとんどの曲作りに参加して、積極的に自分の意見を出していったそうです。14歳の時に書いた「HOLD ME IN YOUR ARMS」のようなラヴソングから、この世の中の仕組みにうんざりしている思いをぶつけた「THE WAY THE WORLD WORKS」のようなナンバーまで全12曲収録されています。
「幅広い層の人に聴いてもらえるよう、アルバムにはアップテンポで楽しい曲とシリアスで大人っぽい、エモーショナルなバラードの両方を取り入れたいと思ったの。若い人向きの曲も、少し上の世代の人も楽しめる曲もね。アルバムを聴いていて、同じような曲が続くとがっかりしちゃうから、そんな作品にはしたくなかった。このアルバムの曲はどれも違ったテイストで、どの曲もすごく好き。そして、多くの人が共感できるような作品にしたかったのよ」
ちょっと考え込むピクシー。幼い頃からのニックネームがピクシー(妖精)だったように、ちょっとした表情にも愛らしさが見られます。
昨今のイギリスの音楽シーンを見ると、コリーヌ・ベイリー・レイ、エイミー・ワインハウス、アデル、ダフィーのように、アメリカでも高く評価されている女性アーティストの活躍が目に付きますが、ピクシーもそのあたりを意識しているのでしょうか。自分らしい音作りについて訊いてみました。
「う~ん、そうね。ソウルフルな要素は取り入れたいと以前から思っていて、でも例えばダフィーのようなレトロで60年代そのままのサウンドにはしたくなかった。(60年代から受けた影響は)残しつつ、でもカレントでコンテンポラリーなサウンドにしたかった。自分自身がまだ若いんだからシンセとかを入れて、モダンな作りにして、二つの時代のサウンドのフュージョンをしたかったの」
デビュー・アルバム『TURN IT UP』。「ボリュームもヴァイヴも上げて聴いてほしい」という願いを込めたそう。
もちろんファッションも大好きで、好きなブランドについても語ってくれました。
「ハイストリート系のショップではTOPSHOPとURBAN OUTFITTERS。でも、ロンドンのブリック・レーンで売っているようなヴィンテージも大好き。それからD&G、MULBERRYや MOSCHINO、CHANELやARMANI等の老舗ブランドも好き」
そして、自分の音楽と好きな洋服に共通する点として、「昔のものの良さ加えて自分らしさを出しているの」と説明します。ファッション・アイコンとして名前が挙がったのは、次の通り。
「ブリジット・バルドーのヘア・メークがクールだと思う。好きなものを自由に着て、変わった服を着こなせちゃう人が好き。シエナ・ミラーがイーディ・セジウィック役で主演する『Factory Girl』に出てくるファッションも大好き」
ブックレットの中身にはセクシー・ショットが満載!?
日本は、アメリカでのデビューのタイミングに合わせて来年2月頃にデビューする予定だそう。とても18歳とは思えない深みのあるヴォーカルに、思わず笑みがこぼれてきそうな明るさを持ったサウンド。逆に18歳など思わず聴いた方が、すんなり楽しめるかもしれません。アイドルと呼んでもおかしくないルックス&年齢なのに、よりアーティスティックな世界を目指しているピクシー・ロットの今後に注目です。
*to be continued