
The Whoの来日公演&映画
Music Sketch
時間が経ってしまったが、ブリティッシュ・ロックを語るに欠かせないThe Whoの11月の来日公演は本当に素晴らしかったです。熱狂的なファンである友人とあちこちからチケットを購入し、最終的に最終日のかなり前の方の席をゲット。しかし席に関係なく、超満員の日本武道館のファンは満足していたと思います。オリジナル・メンバーは4人中2人しか生存していませんが、ピノ・パラディーノ(ベース)、ザック・スターキー(ドラムス)という現役バリバリのサポート・リズム隊に触発されてか、ロジャー・ダルトリー(ヴォーカル)、ピート・タウンゼント(ギター)もとても60歳を過ぎているとは思えない熱演ぶり。
ロジャーは最初の3曲は朗々と歌っていて、フランク・シナトラ化したかと思いましたが、中盤から、特にアンコールでの『TOMMY』からの楽曲の嵐は感動しました。私は最初に買った彼らのアルバムは何故か『四重人格』なのですが、思い出深いのは大学時代に友人と観たリヴァイヴァル上映だった映画『TOMMY』。それゆえ、当時の記憶がイントロから一瞬にして甦り、あの頃浸かっていたエモーションを体感できて、凄く嬉しかったですね。
2004年に横浜で見たライヴの方がいい意味で荒っぽくThe Whoらしかったものの、今回は真っ向勝負の大熱演で、違う感動を得ました。リンゴ・スターの息子であり、オアシスのサポート・メンバーとしても活躍し、実はThe Whoの亡きキース・ムーンがドラムスの師匠だったというザックも完璧な演奏だったのですが、素晴らしかったゆえに、正直やはりオリジナル・メンバーで見たいとも思ってしまいました。
そんな時に、タイミングよくThe Whoのドキュメンタリー映画『ザ・フー:アメイジング・ジャーニー』を見ることができました。現在、オリジナルメンバーによるラスト・ライヴ(1977年)の模様を撮影した『ザ・フー:ライヴ・アット・キルバーン』と併せて上映しています。現在ザ・ローリング・ストーンズの『シャイン・ア・ライト』も話題を集めていますが、18台のカメラを使ってマーティン・スコセッシ監督が現在のストーンズのライヴ映像を迫力満点に収めたこの作品に比べ(過去のインタヴュー映像なども少し挿入されている)、The Whoの方は完全に過去から現在までを網羅しています。
写真左からピート、キース、ロジャー、ジョン・エントウィッスル(ベース)
家族やスタッフの証言も含めた個々のメンバーのキャラクターの紹介はもとより、ファッションを含めた時代背景も紹介され、モッズ族の象徴としての存在や、もちろん「マイ・ジェネレーション」の大ヒット、『TOMMY』でのロック・オペラの確立といった音楽的な流れもしっかり描いていて、非常に見応えがあります。スティングやノエル・ギャラガー(オアシス)、エッジ(U2)もThe Whoへの思いを熱く語っています。
メタリカの映画『メタリカ:真実の瞬間』もそうでしたが、知られざるエピソード満載で、The Whoを知らない人でも、もしくはロックに興味のない人でも、個性の強い人たちを描いていることもあり、一気に最後まで観ることができるドキュメンタリー映画になっていると思いました。もちろん貴重な映像も多く、ファンにはたまらないと思います。是非ご覧になっていただきたい映画です。余談ながら、私は変人ぶりが有名だった頃のキース・ムーンしか知らなかったので、若かりし頃の美形ぶりにはビックリしました。
*to be continued*
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