「おとこのて」

【新連載】ラブリが綴る、「おとこのて」

「おとこのて」

モデルであり表現活動として執筆も行うラブリ。

この連載では、彼女が出合った「おとこのて」について綴ります。
さまざまな分野で活躍する「おとこのて」から聞こえてくる言葉に耳を傾けて。

hand01.jpg まずはプロローグから。

おとこのて。

あの人のて。

女はいつだっていつまでも

その手を繋いでいたかった。

女はいつだっていつまでも

その手を愛していたかった。

女が男の手を離す時、
そこには確かな理由がある。
離したくなかったはずの
その手を女が離す時、
女には確かな理由があった。
男にとって例えそれが
不確かな理由だとしても
女にとってそれは確かな理由であり、
その時もうすでに男の言葉が届くことはない。

おとこのて。

女はいつだってその手を愛おしく想い、

女はいつだってその手を信じている。

 

今日あなたと手を繋いでいても、
信じてるからこその不安
信じたいからこその不安。
その感情が言葉となり口の中で
まとまりなく彷徨っている。
いざ彷徨っている言葉達を
口の中から外に出すとなると
それはそれで難しく
言葉はため息に変わり、
ゆっくりと口から漏れては曖昧な表情をしてどこかに消えていった。

 

「言葉を声にしないと、
届かないことくらい分かっているの」

 

沈黙から声を読み取ってほしいと沈黙に期待をし、
ふとした時の伏し目の先に言葉を送り、
繋ぎ返したその手の中に
感情を残していた。
黙りたくて黙っているほど
女はわがままではなく、
無視をしたくて無視をするほど
女は強気でいられない。

ただただ
女は瞬間に気付いてほしいだけであり

ただただ
私の中を抱きしめてほしいだけだった。

 

女は全ての感情を
何層にも難しくさせてしまっている。
当然ながらそれに気付ける男の方が圧倒的に少ない。
ましてや男は 「よく分からない女だ」
と誤解に誤解を重ねて男の中で理解する。
誤解に誤解が重なっていることを当然知っている女は寂しさを感じていた。
そんな寂しさを男は知るはずもなく、
女の顔に「仕方ない」というため息を
遠くから吹きかけてしまうのだった。



手を繋いでいても女は奥の方で寂しかった。

繋ぎたいのではなく、
男から繋いでほしいだけだった。

 

女の手をしっかりと繋ぎ
男が一歩前を歩いては
しつこいくらいに振り向いて
女の顔を確認してほしいだけで

大切にされているという実感
ただただ感じたいだけだった。

しっかりと繋いでくれいている限り
女が手を離すことは絶対にない。
(本当は絶対なんてないのだけれど)

繋いでくれているその手から伝わる温度には、言葉以上の言葉が存在している。
気付いてほしかったはずの、あの事やこの事。その全てが一瞬でどうでもよくなってしまうほど、しっかりと繋いでくれている男の手の中には答えがある。

女にとって「確かな」「不確かな」理由なんてものは、結局の所意味はなく理由という形にして理由にしたいだけなのだから。

しっかりと’’手を繋いでくれているか‘’ でしかない。

しっかりと‘’手を繋いでくれていない‘’と判断ししてしまった時、


「不確かな」というその言葉自体が、不確かで曖昧な理由は

「確かなもの」として女の中で明確な理由となってしまう。

 

その時にはもうすでに
なにもかもが間に合わず、

女は手を繋ぎながらもその手を忘れる準備をしあれほどまでに繋いでいたかったその手を簡単に離す。

それほどまでにしっかりと繋がれた男の手にはしっかりと抱きしめられていると確認できる強さと広さがある。

おとこのて。

男の手をいつだって

女達は愛おしく思う。

 

男は女のように
爪や指先で語られるものではない。

その手で何を選択して
その手で何を失って

大切だったはずの女の手を
どうやって繋いできたのか。

男の手には、
その手の中には全てが物語っている。

私達は単なるフェチという簡単な言葉の中で男の手に惹かれているのではなく、その男の手から‘’聞こえてくる‘’言葉に、意志に、無意識に心惹かれているのかもしれない。

そんな「おとこのて」の言葉。

連載が始まります。お楽しみに

白濱イズミ

モデルとしてメディアで活躍する一方、彼女の中から生まれる独自の言葉を作品にし、詩集やエッセイ、写真、音楽、ジュエリーなど、形を変えて“表現”の幅を広げている。@loveli_official

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