齊藤工 活動寫眞館・拾 内田すずめ。
「齊藤工 活動寫眞館」について
俳優、斎藤工。そして、映画監督、齊藤工。表舞台であらゆる「男」を演じ、裏方にまわり物語をクリエイトしていく。齊藤工がいま見つめるものとは、何か。彼自身がシャッターを切り、選び出す。モノクロームの世界に広がる、「生きた時間」を公開していきます。
10回目。今回初めて、画家を撮影することになった。
2018年4月20日発売のフィガロジャポン6月号のゲストは、内田すずめ。「アトリエまでお越しください」と、とある3月に我々を誘ってくれた。
「いつもはもっと多くの画材が散乱しています」と話す内田。春を感じさせる柔らかな光が差し込むアトリエには、大きなイーゼルがひとつ。床にはオイルパステルや油絵の具や岩絵の具が無造作に置かれている。
どのように佇むべきか少し悩む内田に齊藤はひとこと。
「ただそこに居ていただくだけで、大丈夫です」
アトリエの出窓にそっと寄りかかるだけ。それだけで静かに内田の表情が変化していく。
ヨウジヤマモト オム2018年春夏コレクションで内田の作品が起用されている。この自画像が大きくプリントされたガウンもそのひとつ。内田が通過した過去の姿と現在の姿が、交差する。
「内田さんの作品は、確りと絶望と向き合った希望だと私は思います。希望的観測が嘘臭くなるいまの世にすり減りながらも、己の根源と向き合い算出し見る者が"鏡"を見る様な作品に、時間が経つのを忘れます」
撮影を終えたところで、玄関にいた鳩が気になり、再び撮影へ。
「いまは2羽飼っています。日中は日光浴をしているんです」
籠から解き放たれた鳩はすぐに内田の手元へ。まったく動じずに、静かに佇む。本誌で掲載されている写真は、この鳩とのポートレート。しなやかで躍動感あるひとりと一羽の姿を、ぜひ見て欲しい。
画家。自画像を多く描くことや、“絶望”と“希望”が呼応するかのような世界観、作風で知られる。ヨウジヤマモト オムの2018年春夏コレクションで作品をプリントしたルックを発表。作品や個展情報はホームページまで。http://suzumeu.tokyo
TAKUMI SAITOH
移動映画館プロジェクト「cinéma bird」主宰。映画監督作に『半分ノ世界』(2015年・国際エミー賞ノミネート)。国内外の映画祭にて作品賞、監督賞、俳優賞等、現在6冠を獲得した初長編監督作『blank13』が現在一部地域にて公開中。www.b-b-h.jp/actor/saitohtakumi
ヨウジヤマモト プレスルーム tel:03-5463-1500
stylisme : SUZUKI MICHIE, coiffure et maquillage : NAO KOBAYASHI(BEAUTRIUM)