「齊藤工 活動寫眞館」について

齊藤工 活動寫眞館・拾漆 シシド・カフカ。

「齊藤工 活動寫眞館」について

俳優、斎藤工。そして、映画監督、齊藤工。表舞台であらゆる「人物」を演じ、裏方にまわり物語をクリエイトしていく。齊藤工がいま見つめるものとは、何か。彼自身がシャッターを切り、選び出す。モノクロームの世界に広がる、「生きた時間」を公開していきます。今回はドラムボーカリストであり、アルゼンチン発のリズムイベントを主宰したばかりのシシド・カフカを撮影。

ふたりが初めて出会ったのは、シシド・カフカのデビュー前。毎週土曜日にはラジオ局のベイエフエムでそれぞれパーソナリティを務める番組が続けて放送され、齊藤が主演するテレビドラマの主題歌をシシドが担当したこともある。これまでにたびたび接点があったものの、この日は数年ぶりの再会だったという。

「カフカさんが歩み続けている“轍”が揺るぎなく圧倒的なのは、やるべきことを“見つけた人”の清々しさなのだと思います」

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齊藤がそう表現するシシドは撮影当日、自身のルーツであるアルゼンチン発のブランドで、ずっと愛用しているトラマンドのジャケットと、JTのパンツを纏って現れた。緑のある静かな場所が好きという彼女の撮影は、渋谷の氷川神社で始まった。

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齊藤が写すモノクロームの世界では夜のようにも見える漆黒の木陰に、トレードマークである黒い服を着たシシドが佇む。フィガロジャポン1月号86ページに掲載したのは、ふとカメラを見た瞳が印象的な、モノクロームの豊かな階調を閉じ込めた一枚。

そのカットを撮影後、シシドと齊藤、スタッフたちは氷川神社に参拝し、さらに撮影を続けた。柔らかな木漏れ日が差す場所で、「光を浴びてください」という齊藤の言葉にシシドがすっと光の中に入る。まばゆい光を通してまっすぐこちらを見る凛とした眼差しをとらえた写真を見て、シシド自身もいままでに見たことのない表情だと驚く。

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彼女のヘアメイクを担当するNATSU.氏は、現場で誰よりも背が高いことの多いシシドが、彼女よりも長身の齊藤と並んで歩く後ろ姿を感慨深そうに見つめていた。

齊藤は連載のタイトル「活動寫眞館」について、シシドに伝える。写真を映画と同じようにとらえており、かつて映画が“活動寫眞”と呼ばれていたのに由来していること。映画にキャスティングしたいと思う人物を撮っていること。十分によい写真が撮れたと語っていた齊藤だが、彼女を主演に迎えた“活動寫眞”をさらに別のロケーションでも撮影することにした。

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シシドはデビュー前、深夜にワインバーでのアルバイトを終えてから、目黒川の桜並木を通り、歩いて帰ったことがあるという。その目黒川に架かる橋を彼女はゆっくりと歩き、齊藤が歩調を合わせながら撮影していく。お互いの速度を気遣いつつ、ふたりの間に自然にカメラがあるようだ。自身も写真を得意とするシシドが、撮影する齊藤を見ながら、この光景を撮りたいです、と微笑んだ。

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工事現場の前に立つと、シシドの華奢な指が、楽器をつまびくようにリズミカルにフェンスに触れる。

彼女はこの撮影の前日、長年温め続けていた、自ら主宰するリズムイベント『el tempo』を実現させた。まだ誰も観たことのない、そしてその場にいる者しか体感できない即興のライブ。舞台上のミュージシャンたちも観客も、皆が彼女に熱い視線を注ぐ中、指揮者であるシシドの指が繰り出すサインは、まるで会場中に魔法をかけるように多彩なリズムを生み、そしてときには自らも奏者としてリズムを奏でた。煌めくような彼女の笑顔を、大きな拍手が包み込んだ。

フィガロジャポン1月号87ページに載せたカットを見ながら、木の枝がみんなシシドに向かって伸びているようだと齊藤が言った。

「数年越しの想いと努力を結実させた前日のライブもそうですが、カフカさんにはナウシカに王蟲の触角が集まる場面みたいに、さまざまな人や才能が引き寄せられている気がしました」

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音楽と映画。それぞれのフィールドにしっかりと足を着けながら、ときに互いの世界を自由に行き来するシシドと齊藤。言葉も国境さえも超えて、心を震わせるような体験を皆と共有したいと願って走り続けている。そんなふたりの表現者たちがつかの間、穏やかな光と戯れながら深呼吸をしているように見えた。

シシド・カフカ KAVKA SHISHIDO
メキシコ出身。ドラムボーカルのスタイルで2012年「愛する覚悟」でCDデビュー。ミュージシャンとしてフェスへの出演のほか、女優、モデルなど多方面で活躍中。18年春にアルゼンチンへ留学してハンドサインを学び、10月にリズムイベント『el tempo』を主宰した。12月29日(土)、『カウントダウンジャパン18/19』に出演予定。
www.shishido-kavka.com
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TAKUMI SAITOH
移動映画館プロジェクト「cinéma bird」主宰。監督作『blank13』(18年)が国内外の映画祭で8冠獲得。12月13日〜16までパリ・ルーヴルで開催されるアート展『SALON DES BEAUX ARTS 2018』に学展のゲストアーティストとして参加、写真作品を発表。企画・プロデュース・主演を務める『万力』が19年に公開予定。www.b-b-h.jp/actor/saitohtakumi

*ベイエフエム(bayfm)にて、毎週土曜日に齊藤工とシシド・カフカがパーソナリティを務める番組が放送中。
斎藤工「TAKUMIZM」土曜日23時30分〜24時
シシド・カフカ「土曜の夜にはカラスが鳴く」土曜日24時〜24時30分

coiffure et maquillage : NATSU.

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