齊藤工 活動寫眞館・弐拾陸 トム・ブラウン。
「齊藤工 活動寫眞館」について
俳優、斎藤工。そして、映画監督、齊藤工。表舞台であらゆる「人物」を演じ、裏方にまわり物語をクリエイトしていく。齊藤工がいま見つめるものとは、何か。彼自身がシャッターを切り、選び出す。モノクロームの世界に広がる、「生きた時間」を公開していきます。今回は、かねてより齊藤が注目していたというお笑い芸人、トム・ブラウンのふたりが登場。
梅雨明け目前の7月末、雨の予報に反して渋谷の街には光が差していた。
齊藤が“晴れ男”なので撮影の時だけ晴れるかもしれない、などと事前に話していたが、本当に天気が味方してくれたようだった。
最初に待ち合わせ場所に到着したのはトム・ブラウンの布川ひろき(写真左)。渋谷の公園や路地裏は、彼らを含む芸人仲間にとってはネタ練習の場所になるという。
布川はグレーに白い襟のポロシャツにジーンズ。みちお(写真右)は虎の柄のブルーのシャツに黒いパンツ姿で現れた。ステージでの衣装とは違うカジュアルでリラックスした服装の彼らは、柔らかく穏やかな雰囲気を纏っている。
齊藤が辺りを軽くロケハンした後、撮影がスタート。
ちょっと緊張した面持ちでカメラの前に立つふたり。自然と布川が左、みちおが右というステージと同じ立ち位置になっている。「逆だと気持ち悪いんです」と笑う。
何枚か撮った写真を齊藤がふたりに見せた。いつもとは違うイメージにふたりとも驚いたようだった。写真を撮る時はいつも変な顔ばかりしているから、と言う。カッコいい! 映画のワンシーンみたい、とスタッフたちも感心しながら覗き込む。写真、特にモノクロの写真には本当のその人が写る、と齊藤が彼らに伝える。
齊藤がトム・ブラウンに惹かれるようになったのは、放送作家であり齊藤が監督した『blank13』の原作者でもある、はしもとこうじに薦められて観たのがきっかけだったという。
「みちおさんがいろいろな人の要素を加えながら変身していく、未だかつて見たことのない角度のコントに面食らい、気が付くと虜になっていました。
今回の撮影はそんなおふたりの努力の汗が染み込んだ特別な場所で、華やかなおふたりではなく、幾度となく繰り返すネタ合わせ、無観客での戦いを挑んできた、普段見せない、見られないトム・ブラウンさんが撮れたのではないかと思っています」
そのトム・ブラウンが、9月に齊藤が主宰する「cinéma bird(移動映画館) in 北海道」に出演する。布川とみちおはともに北海道出身でもある。今回、モノクロ写真作品を創り出した齊藤とトム・ブラウンが、今度は同じステージに立ち、どんなものが生まれるのか。いずれここでもご報告したい。
お笑い芸人。ツッコミの布川ひろきとボケのみちおにより2009年に結成。ライブやテレビ、ラジオなどで活躍。『M-1グランプリ2018』のファイナリストとして注目を浴びる。ソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」CMに出演中。9月15日、「cinéma bird(移動映画館) in 北海道」に出演。
TAKUMI SAITOH
移動映画館「cinéma bird」主宰。監督作『blank13』(18年)が国内外の映画祭で8冠獲得。昨年末、パリ・ルーブル美術館でのアート展にて写真作品『守破離』が銅賞を受賞。NHK大河ドラマ「いだてん」に出演中。企画や主演を務める『MANRIKI』が11月29日に公開。企画・脚本・監督・撮影を手がける『COMPLY+-ANCE』が20年2月公開予定。主演映画『シン・ウルトラマン』が21年公開予定。www.b-b-h.jp/saitohtakumi