
【篠原ともえ連載Vol.9】 "コスメのパッケージデザイン"をつくる
TOMOE SHINOHARA MAKING
いつかオリジナルパッケージのコスメをデザインしたい……! そんな私の願いが今年叶うことになりました。デザインできる喜びと同時に、期待にお応えしたい! という思いがあふれ、夢中で100枚以上の絵を描きました。
オファーをいただいたのは、創業135年の歴史を誇る桃谷順天館グループの明色化粧品から発売されている人気商品『モイストラボ BBクリーム』。老舗の化粧品メーカーさんでありながら、デイリーに使える商品も数多く出しており、今回パッケージデザインのご依頼があったBBクリームもそのひとつでした。最近は抽象画を鉛筆で描いていたので、何より悩んだのはモチーフでしたが、デザインの打ち合わせを重ねていくうちに、日常の中で触れる自然を線画で描きたい、そんなふうに思ったのです。
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私は2年前に服飾学校に通い直し、デザイン会社を夫と立ち上げ、大きなキャリアチェンジをしました。それからの日々はこれまでとは大きく変化し、平日は自転車や徒歩でオフィスへ向かい、作品作りや打ち合わせなど、ナレーションやテレビ出演以外の日はデスクワークをしている毎日。そんな新たな日常が私に気づかせてくれたこと、それは通勤中に目にする木々の色のうつり変わりや、耳に届く鳥たちの声でした。
今まで気に留めていなかったことが、すごく新鮮で楽しい!その気持ちを絵にしたいという思いから、パッケージのデザインは、生活の中で見つけた鳥や木をモチーフにすることにしました。商品コンセプトを踏まえながら、私らしいデザインにしたい。でもいざ描いてみると、思い通りに描けない……。うまくいかない……。なんて何度もめげそうになりながらも描き続けました。
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でも不思議ですね、ひたすら絵と向き合うと、いろんな鳥が描けるようになってきて、自分でも驚くような表現が浮かび上がってきました。学生の頃から使っているステッドラーの鉛筆で、様々な濃さを使い分け指にタコができるほど描いたのですが、我ながら独特で自由な鳥が生まれたなぁと思っています。
絵をみなさんにお披露目する日は緊張と嬉しさがこみ上げます。私がデザインをするときに大事にしていることは「自分が愛せるデザイン」であるということ。ずっと持っていたい、飾りたいと心から思えるものを創りたい。その気持ちと向き合い、私らしく、愛着のもてるイラストが出来上がりました。
今回のパッケージデザインに合わせ、絵を描いたり、衣装を作ったり、会社に行ったり……、そんな私の1週間の日常が垣間見えるオリジナルムービーも公開されています。楽しいことやインスピレーションは、実は何気ない日々の中にひそんでいる。私がそう感じたように、みなさんにも毎日の暮らしがちょっと明るくなるようなヒントが動画の中に隠れているかもしれません。詳しい商品情報とムービーはこちらの特設サイトで是非ご覧ください。また篠原デザインパッケージはAMAZONでもご購入いただけます。心を込めたデザインがどうかみなさまへ届きますように。
texte:TOMOE SHINOHARA