連載【石井ゆかりの伝言コラム】第8回「七夕」&「日焼け」

石井ゆかりの伝言コラム

第8回「七夕」「日焼け」

夏は昼が長く、夜の時間は短くなりますが、なぜか「星の季節」というイメージがあります。プラネタリウムやキャンプでの星空など、夏のレクリエーションにはよく、星が絡みます。
その「入口」のようなイベントが「七夕」です。織姫と彦星、すなわちベガとアルタイルと天の川にまつわる伝説と、笹の葉に願い事を書いた短冊を結ぶ、というイベントは、この現代社会でもまだまだ、本当に多くの人に愛されています。駅やスーパーマーケットなどにも笹が飾られているのをよく見かけますし、私のWebサイトでも、ブログのコメント欄を利用して「短冊企画」を毎年やっています。「願い事」と「星」といえば、星占いだ!と いう親近感のようなものがあるんですね。

一方、仙台の七夕まつりのように、「短冊と星と」ではない「七夕」の楽しみ方は、たくさんあるようです。
私は今、京都に住んでいるのですが、七夕の夜、たらいに水を張ってそこに星を映し、その星を縫い針でさしていったそうです。そうすると「縫い物が上手になる」というのです。「織姫」伝説にちなんだものと聞きました。
水に映った星を縫い合わせていく、なんて、誰が考えたのかと思います。とてもロマンティックですし、儀式としても素晴らしく神秘的です。

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60年代、日本で「月影のナポリ」という曲がヒットしました。このイタリアの原曲のタイトルは『Tintarella di Luna』、Luna(ルナ)は「月」で、Tintarellaは「日焼け」の意味です。つまり、「日に焼ける」ではなく「月焼け・肌が月の光で焼ける」ということになります。
日焼けすれば肌は赤くなり、あるいは黒くなりますが、「月に焼ける」とどうなるのでしょうか。この原曲の歌詞によれば「白くなる」のです。そばかすや日焼けに悩んだ女の子が猫のように夜、屋根の上にのぼって、銀色に光る月の光で肌を焼くと、その肌はミルクのように白くなる、というわけです。
もちろん、現実にそんな現象が起こるわけではありませんが、恋する乙女が屋根の上で夜、肌に月の光をしみこませようとしている、というこのイマジネーションも、とてもロマンティックで、美しく思われます。

日光ならばジリジリと肌を焼いてきて、すぐにその「光」を感じ取れますが、星や月のあえかな光は、そうはいきません。肉眼にはまばゆく映ってもどうしても捕まえておけないその光を、昔の人々は、なんとか自分の身体で「受け取ろう」としてきたようです。「お月様を取って!」とせがむ幼子の姿は今も昔も変わりませんが、私たちは美しい光を見るとつい、いくつになっても無意識に「手を伸ばす」生き物なのかもしれません。
とはいえ、どこに行っても電灯の光があふれ、一日中スマートフォンの画面から発される光を見つめている私たちは、すでに「手の届かないところにある光に手を伸ばす」ことから、遠ざかってしまっている気もします。夢を追いかけることや憧れに心を焼くことを冷笑的に遠ざける現代社会ですが、それでも、七夕には多くの人が、微かな希望の光のほうへ、幼い子どものように、ただ純真に、手を伸ばしたい気持ちになるようです。

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Illustlation : SHOGO SEKINE

石井ゆかり

ライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆。『12星座シリーズ』(WAVE出版刊)は120万部を超えるベストセラーに。『3年の星占い2018-2020』(全12冊)(文響社刊)も発売中。主宰ウェブサイトは「筋トレ」http://st.sakura.ne.jp/~iyukari

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