フランスのプチ・スイス。

昨年から本格的に生活の拠点をパリに移し、さらに息子がこちらの保育園に通うようになってからというもの、日仏の文化の違いを肌で感じる機会もより増えました。

なかでも楽しいのは、フランスの食文化です。
例えば、給食。息子は現在、半日保育なので、保育園でランチを食べることは滅多にないのですが、ある日、園に貼り出されたランチメニューを何気なくチェックしてみると、「ビーツのエシャロットソース和え、lieu（タラ科の魚）のカレーソース、blette（和名はふだん草。小松菜のような葉っぱ）のミニファラフェル、ブルーチーズ、季節のフルーツ」とありました。ちなみにメニュー表には、ビオの食材、季節の食材、国産の食材を使っているところには、それぞれ印がついています。私が買ったことすらない食材のオンパレードで、見ているだけでも興味深いのですが、大人でも好き嫌いの分かれる、ちょっとクセのあるブルーチーズが保育園の給食に出てくることにも驚きました。フランスの保育園では、日本のように牛乳が出てくることがない代わりに、毎食チーズやヨーグルトで乳製品を摂取するのが基本のようです。

さて、乳製品といえば、多くの子供たちと同様に息子はヨーグルトが大好き。しかしながらある時期、いくらなんでもさすがに食べ過ぎなのではないか・・・と心配になるほど、食べても食べても欲しがっていたため、友人に相談してみたところ、「もっとずっしりと食べ応えのあるプチ・スイスに替えてみたらどうか」と教えてくれました。
「プチ・スイス」。私にとっては初めて聞いた単語でしたが、フランスでは、幼児のおやつの定番なのだそうです。すぐに近所のスーパーへ足を運び、棚を改めてよく見てみると、バターやチーズだけではない、酪農大国フランスならではの、乳製品のバリエーションの豊富さに目を見張りました。
一般的なスーパーであっても、ヨーグルト、フロマージュブラン、スキール、ギリシャヨーグルト、そしてプチ・スイスは必ずと言って良いほど棚に揃えています。また、それぞれにつき、さらに牛乳、山羊乳、羊乳の3種類のバリエーションがあります。

ちなみに、左からスキール、中央手前がプチ・スイス、中央奥がフロマージュブラン、右がヨーグルトです。
スキールは、チーズの一種として分類され、他の乳製品に比べて高蛋白・低脂肪であるため、最近注目されています。味や食感は、ギリシャヨーグルトに似ています。
フロマージュブランは、ヨーグルトに似た食感ですが、酸味がなく、さっぱりとしていて食べやすいフレッシュチーズ。私はいつも、グラノーラとフルーツと蜂蜜と一緒に食べています。

そして教えてもらった「プチ・スイス」は、フロマージュブランに脂肪分が加えられ、ヨーグルトと比べて小さな容器に入っていて、吸水紙に巻かれているのが特徴。ちなみに、側面から見える絵柄は容器に印刷されたものかと思っていたのですが、取り出してみたら容器自体は透明で、吸水紙の絵柄が透けて見えるデザインでした。
プチ・スイスはもともとあるブランドが出した商品の名称ですが、他ブランドのものでも「プチ・スイス」と呼ばれていて、もはや総称となっています。

プレーンのプチ・スイスに、自家製のルバーブのコンフィチュールを添えていただきます。ヨーグルトよりも脂肪分が高いのですが、より少ない量で満足感を得られるのか、息子はおかわりを欲しがることもなくなりました。スキールの方が、脂肪分が少なく健康に良さそうでもあるので、日替わりでスキールも出しています。

日本にはあってこちらにはない食材もたくさんあって、日本の味が恋しくなることも多々あるのですが、これをきっかけに、マルシェやスーパーで、フランスで初めて出会った新食材にチャレンジする機会が増えました。離乳食も終わってこれから新しい味覚の世界に飛び込んでいく息子にも、できるだけ様々な食体験をしてほしいと思っています。