食器と香りによる美しいアール・ド・ヴィーヴル。

PARIS DECO

店名がまだ決まらずにいて看板も出していないというのに、食器と花を飾ったウインドーの魅力に吸い寄せられて、通りがかりの人が店に入ってくる。店内の中央に大きなテーブル。そこには今にもこれからディナーが始まる! といった感じに、素敵にテーブル・セッティングがなされ、来店者は暖かく迎えられたような気分になる。

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左:タイプも産地も異なる陶器をうまくディスプレーしたウインドー。
右:テーブル・セッティングされた店内。中央の細長いテーブルは、ジョゼフィーヌの家族のウィークエンド・ハウスの庭に倒れた赤いヒマラヤ杉の巨木をスライスしたものだ。

 

「“Joie de Vivre(ジョワ ド ヴィーヴル/暮らしの喜び)”って名付けたかったのだけど、すでにこの名前のブティックが存在するので……。今のところ、住所の19, rue Clauzel とnous_paris(ヌー・パリ)をつなげたのが仮の店名よ。日常生活を美しく暮らそうというのが、この店の提案なの。アルチザナルによるアール・ド・ヴィーヴルね」

オーナーのひとり、ジョゼフィーヌ・ポンソルが説明する。場所はボボ地区9区。小さなブティックとレストランが軒並み続くアンリ・モニエ通りと、ローズ・ベーカリーが一番のりして有名にしたマルティーユ通りをつなぐ、控えめなクローゼル通りに彼女と友人のクレマンス・ベスが9月初旬に店を開いた。いつか一緒に店を持とう! 高校時代の仲良しのふたりが夢を叶えたのだ。

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左:ランチョンマットやテーブルクロスなど、リネン類もさまざまな国から。梯子の後方にAry Traysのプレート。手前の花柄は33ユーロ。
右:Eric Hibelotによるカップ&ソーサー(68ユーロ)と、ブルーの花器(120ユーロ)。

 

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左:ランジスの花市で選んだ季節の花を商品の花器にコーディネートして飾る。
右:ブルーの食器が多い。食べ物と合うし、オーナーのふたりともが好む色だからだという。

 

調香師のクレマンスによるオリジナル・ブランドParfum en Scène(パルファン・アン・セーヌ)のメゾン用の香りと、ジョゼフィーヌが買い付けを担当する食器とリネン類が、小さいけれど愛らしい店内を埋めている。砂岩を用いた陶器が和食器を思わせるのか、不思議な落ち着きを感じさせる雰囲気があるせいなのか、客の中には日本人のブティックかと思う人が少なくないとか。

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左:アイルランドのブランドのARRAN ST EASTによる砂岩製陶器。市場の野菜から色名をつけているそうだ。例えば上の濃いグレーはキャベツ色とか。カップ15ユーロ、ポット28ユーロ。
右:Parfum en Scène。キャンドル(18ユーロ〜)と、スプレー(26ユーロ)がある。キャンドル用の釣鐘状ガラス(22ユーロ)も販売。

 

フランス製に限らず、アイルランドや北欧の品も揃えている。共通するのは、職人たちの手から生まれる品ということだ。ジョゼフィーヌが出会った職人たちと、来年はオリジナル商品も開発させてゆく予定。例えばインドでみつけたコットンのリネン類、バスク地方のガラス……。ブティックのオープンに先駆けて、今年の1月にnous_parisというオンラインショップを彼女はスタートした。販売だけでなく、彼女が出会った情熱あふれる職人たちの紹介もしているので、覗いてみるといいだろう。

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ロイヤルコペンハーゲンのフローラのシリーズを使った、ジョゼフィーヌによるシックなセッティング。プレートは40ユーロ(22cm )、58ユーロ(27cm)。

 

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左:店内の左右の壁の棚に並ぶ食器やグラス。価格帯も幅広く、カップが7〜40ユーロ、皿が12〜100ユーロといった品揃えだ。
右:ボボ地区らしく、子供用のプレートやカップもいろいろ揃えてある。photos:Mariko OMURA

 

19, RUE CLAUZEL/nous_paris
19, rue Clauzel 75009 Paris
Tel.01 42 79 99 04
営)11:00~20:00(水〜土/12月は日曜の午後も営業の予定)
休)日・月・火(月火は予約のみ)
www.nousparis.com/fr/
http://parfumenscene.fr
大村真理子
Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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