女性のためのスノッブ・ホテル。泊まってみたい!!
PARIS DECO
地下鉄エティエンヌ・マルセル駅からすぐ近く、サン・ドゥニ通りに建つ小さなブティック・ホテル。これが12月にオープンしたばかりの、24室からなるスノッブ・ホテルだ。4つ星ホテルではあるが、1泊200ユーロ前後という手頃な価格である。
内装を担当したのは 室内建築を専門とするDesjeux Delaye。ダフネ・デジュウとドロテ・ドゥレイユによる女性デュオのオフィスだ。旅するパリジェンヌからインスパイアされ、ふたりはレトロ・タッチを生かしたエレガントながら気取りのないカジュアルな内装をホテル内に作り上げた。


左:Desjeux Delayeのふたり。左がドロテ、右がダフネ。彼女たちはスノッブ・ホテルの近くにあるハンサム・ホテルの内装も手がけた。
右:フラミンゴで覆われた階段。photos:Nicolas Anetson


左:1階、ロビーの奥にはテーブルと椅子を配した細長いスペースが広がる。photo:Nicolas Anetson
右:ウィリアム・モリスの壁紙を使ったアールヌーヴォー風のミニ・サロンがある。photo:Mariko Omura
異国情緒を常に求めるパリジェンヌがイメージである。廊下の壁にフラミンゴが舞い、客室にはクジャクの羽を想起させる壁紙。そしてベッドの後方には植物と水鳥の景色が広がって、とパリにいることを忘れさせる。
ふたりはちょっとした遊びも、ホテルのあちこちに散りばめている。1階のロビーフロアにはヤシの樹の壁紙の前に本物の鉢植えのグリーンを置き、客室のサイドテーブルの脚先を“スティレット”と称して極めて細くデザインしてみたり、そうかと思うとベッドのヘッドボードが驚くほど巨大だったり……。部屋タイプにしても、Desinvolte(無遠慮な)room、Imertinnete(無礼な)room、Sophistiquée(洗練された)room、Mondaine(上流社会の)room、Deluxe Snob(デラックス・スノッブ)roomといった呼び方をしていて楽しい。
通りに面したホテルの扉に描かれたゴールドのロゴは、どことなく1920年代のアールデコ風である。アメリカの禁酒法時代下のナイトクラブ? という感じで、ドアの向こうにはジャズが流れていそう。時代の旅も待っているホテルだ。
客室例。photo:Nicolas Anetson


各フロアーの廊下を飾る鏡を使ったポートレート。photos:Mariko OMURA


左:ヤシが茂る(?)ロビー。右:バスルームは機能的なアールデコ・スタイルでまとめられている。photos:Nicolas Anetson


左:客室の衣装ロッカーは多孔のメタル扉が軽さを演出。これも彼女たちのデザインだ。
右:ホテルのエントランス。
photos:Nicolas Anetson
パリ支局長 東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。