ルーヴル・ピエモンは立地、価格、内装よしの新ホテル。
PARIS DECO
ルーヴル美術館の近くにあり、ルーヴル・ピエモンテと呼ばれがちなホテル、ルーヴル・ピエモン。ここは1940年代にピエモン夫妻が開いたホテルである。いずれにしてもイニシャルがLP であることに変わりはなく、リシュリュー通りに面したホテルは、LPと書かれた看板を目指せばすぐにみつかる。もともと同名のホテルだったが、今秋、半年の改装工事を終えてブティック・ホテルとして、リニューアルオープンした。20室のこのプチ・ホテル、知っておいて悪くないのは3つの理由ゆえだ。
客室例。photo:Nicolas Anetson
朝食ルーム。奥に見えるのは、パレ・ロワイヤルに沿ったモンポンシエ通りだ。photo:Nicolas Anetson
1つめ。なんといっても立地がよい。パリの中心部にあるということはもちろんだが、和食屋ストリートのサンタンヌ通りもすぐ近く。正面玄関はリシュリュー通り側にあるが、裏手のドアから出れば目の前はパレ・ロワイヤル。観光と食事には事欠かない、というホテルである。地下鉄駅は1番線と7番線のパレ・ロワイヤル駅。オペラ座も徒歩圏内だ。
2つめは、デジュウ ドゥレイユという二人の女性ユニットによるデザイン。彼女たちはパレ・ロワイヤルの有名なダニエル・ビュランのストライプの柱から得たアイデアで、内装をまとめた。ストライプをジェオメトリックにあしらったファブリックやカーペットは、とてもスタイリッシュ。20室のテーマカラーは、フランボワーズあるいはブルーあるいはカーキの3色だ。彼女たちが手がけた他のホテルでも同様だが、インテリア・デザインに使われている素材にはチープ感がゼロ。ベッドサイドのランプ、バスルームの鏡、壁のモノクロ写真などのセレクションも良く、自宅で寛いでいるようなリラックス気分が室内で味わえる。1階の朝食用スペースには書棚とソファを配したリビング・スペースもあるので、読書をしたり、ミーティングをしたり……。
パリの中心部にありながら、客室はとても静か。二人がデザインした衣装戸棚は、鏡の扉がスライドする仕組みだ。photo:Nicolas Anetson
バスルームの扉にガラスが使われているので開放感がある。テラゾの床、石の洗面台に鏡の丸みが表情をつけているバスルーム(photo:Nicolas Anetson)。
ベッドのヘッドボードやカーテンの布のグラフィックプリントとランプのメタルが、ハーモニーを奏でる客室。
フロントもホテルというより、アパルトマン風にまとめられている。photo:Nicolas Anetson
パリの中心でデザインも洒落ていて、となるとルームレートもけっこう高いのではと思いきや、ロー・シーズンなら150ユーロから。一人旅デビューに悪くないホテルかもしれない。
最上階の部屋からは、パレ・ロワイヤルの眺めが。滅多に目にすることのできない光景が広がる。photo:Nicolas Anetson
ドロテ・ドゥレイユ(右)とダフネ・デジューの二人組。パリ市内のプチ・ホテルのリニューアルを多く手がけ、細部へのこだわり、高級感を感じさせる素材使い、遊びのあるデザインで成功させている。photo:Nicolas Anetson
22, rue de Richelieu
75001 Paris
tel:01 42 96 44 50
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。