アフリカの布がヴィンテージ家具に似合うパリの暮らし。

PARIS DECO

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CSAO(サオ)のアーティスティック・ディレクター
オンディーヌ・サグリオ

6月に紹介したマレ地区にあるブティックCSAO(サオ)。このブティックで見つけられるセネガルの女性たちによって刺繍が施されたアフリカの布地(ロゴス)のクッションやバッグは、パリジェンヌたちの間でここのところ人気が沸騰している。オーナーのオンディーヌ・サグリオと彼女の母親が、自分たちが生まれたセネガルにアトリエを構えたのは20年前。手に職がつけられるようにと現地の女性たちに刺繍を教えて、スタートした事業だ。大学で専攻したのは現代文学だが、布選びから刺繍のアイデアなどをブランドのアーティスティック・ディレクターとして担当しているのがオンディーヌである。

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サオのクッション。布のモチーフとメッセージ刺繍の組み合わせはオンディーヌが考えている。

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自宅でのクッション活用度はとても高い。娘リザの部屋のベッドの上においてあるのは、ボンポワンとのコラボレーションによるクッション。布はリバティを使用している。

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豆電球を飾り、家族やゲストと楽しむ中庭のテラス。ここでもクッションが素敵なアクセントとなっている。

13歳のパブロと9歳のリザ、そしてご主人の4人で10区に暮らす彼女。パブロが生まれてすぐに、広いスペースを求めてここに引っ越してきたのだ。

「家族が暮らせる十分なスペースが得られて、かつ価格も高すぎずという場所を探した結果、この10区に来たの。でも最近はボボ地区化して、この辺りもけっこう価格が上がってるわ。アフリカ生まれの私には、この界隈はいろいろ動きがあってとっても興味深いのよ。社会階層も人種もいろいろミックスされていて、そして周囲には美味しいレストランがとてもたくさん。高級店もあれば手頃な店もあるけれど、どこも本当に美味しい。近くにある屋内市場は便利というだけでなく、建物がとてもきれい。それに雰囲気もいいの」

建物の1階を占める彼女のアパルトマンは、かつて保育所だったという場所。仕切りも何もなくだだっ広いだけのスペースだった。そこにキッチンを作り、寝室を作り……。天井が高くて快適ということも、ここに決めた理由のひとつだそうだ。広いテラスがあり、その隣にパブロとリザの部屋が別棟のように続くという作りになっている。

「息子はいま自分でインテリアを決めたがっていて、私は手を出せないの。趣味の悪いポスターとか貼るので、最初は私もノン、ノン!だったけれど、13歳なのだからいまは彼のしたいようにさせているわ。彼の部屋と違って、娘のリザの部屋はとってもガーリーよ」

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リザの部屋。友人が泊まれるように2段ベッドが置かれ、上下ともリバティのクッションでパウダーピンクにまとめられている。

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勉強机の上のチェリーのランプは照明アーティストのゾエ・リュモーによる。ダイニングスペースの壁にも彼女の作品が。こちらはオンディーヌが大好きなエッフェル塔だ。

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110平米のアパルトマンは、アフリカの品とヴィンテージのミックスというインテリア。家具は新品がひとつもないという。多くはヴィッド・グルニエと呼ばれるガレージセールで購入している。通りで捨てられていた、という家具もある。

「ヴィッド・グルニエでは好きな品がみつかるし、それに金額も安いし……。今年の春にノルマンディー地方のトゥルーヴィルに漁師の家を購入したのだけど、インテリアはパリのこの家より、もっともっとヴィッド・グルニエよ。家のある周辺だけで探していて、食器戸棚は35ユーロ、テーブルは15ユーロ、椅子が4脚で9ユーロ……。私は50年代のヴィンテージが好き。ヴィッド・グルニエではちょっと傷があっても気に入った品だから買うのよ。それにインテリアに無駄な出費はしたくないし。もちろん、サオのクッションは別荘にもたくさん置くわ。自分がしていることが好きなのだから、家にあるのは当たり前でしょう」

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食器棚はヴィッド・グルニエにて。その脇の壁にエッフェル塔のレリーフがついたアスティエ・ド・ヴィラットのお皿を掛けている。天井のランプは近所のブロカント屋でみつけた。食卓の赤と上手にマッチしている。

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アフリカの布で張り替えた椅子。ライティング・ビューローはヴィッド・グルニエにて。

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50年代のヴィンテージ家具とアフリカの家具が見事なハーモニーを奏でるリビングルーム。

色が大好き、という彼女は自宅用には主にグリーンと赤の布を選ぶ。1年のうち4〜5カ月を仕事のためにセネガルで過ごす彼女。明るいセネガルからパリに戻ると待っているのは灰色の街なので、帰宅して色のあふれる空間に迎えられると少しだけアフリカを感じることができ、ホッとする。そんな彼女にも色のない、ミニマルな時代があった。長男が生まれる前のこと。和風のインテリアが好みで、物がほとんどなく、ベージュ、白、黒でまとめたアパルトマンに暮らしていた。でも、あまりにも物悲しく、そういった中で暮らすのに耐えられなくなってしまったという。

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テラスに面した場所にバカンスのコーナーが作りたい、と椰子の木のパネルをアフリカから持ち帰った。ここは主にグリーンでまとめている。右の子どもの写真は、長女が子ども服のモデルを務めた時のもの。

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ヴィッド・グルニエで見つけたカラフルなテーブルと椅子が家族のダイニングテーブルだ。ヴェネチアン・グラスの鏡が好きで自宅にもいくつか掛けている。

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キッチンはスプーンの柄に至るまで赤い色でまとめられて、陽気な雰囲気だ。

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サオのブティックでも扱っている器やガラスにハンドペイントされたお皿を愛用。

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仕事が忙しく、彼女が自宅でのんびりできる時間は多くない。9月にはアフリカの家具をメインにした2つ目のブティックをオープンする予定なので、なおさらである。といっても、子どもたちの学校が休みの水曜日は彼女も彼らと一緒に時間を過ごすことに決めている。読書好きの彼女。自宅で一番のお気に入りは、三方から光の入るリビングのソファで本を読む事だそうだ。空間としてビジュアル的に気に入っているのは寝室で、ここも読書を楽しむ場所である。お料理は彼女いわく“ぜんぜんダメ”なので、キッチンで時間を過ごすことはほとんどないとか。

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一家団欒の場所でもあるリビング。左の椅子はクッションをアフリカの布で作り直した。右はナイジェリアで手作りされるビーズの椅子。CSAOの新しいブティックではこうした家具を扱う。

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リビングルームでは、手にとりやすい場所にアフリカの布ワックス(ロゴス)とドミノペーパーのモチーフの本が置かれている。

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寝室。読書好きなオンディーヌらしく書棚を本が埋めている。右の18世紀のマホガニーの家具は祖母から譲られたという貴重な品。彼女の引越し先には必ず一緒に。

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寝室と床続きに広々としたバスルームがある。ここにもヴィンテージの家具を置いている。

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バスルームの一角では、ハンドペイントが魅力のブリキの物入れとクラシックな家具がシックに調和。

「暮らし始めて12年。そろそろ、この家も少し工事をしてリフレッシュしようと思ってるのよ。基本的に白い壁は白に。でもリビングの一面だけを例えば黄色にしてみようかと……。それから寝室の壁。ベッドヘッド側の壁は壁紙にしようと考えているの。おそらく大好きなウィリアム・モリスの壁紙になるでしょうね」

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愛猫レオと寛ぐオンディーヌ。大学卒業後、写真を学んだ彼女はサオのショップカードの写真やインスタグラムの写真を自分で撮影している。

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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