ル・コルビュジエが暮らした家を覗いてみませんか?

PARIS DECO

パリだけでなくフランス国内の複数箇所でル・コルビュジエ(1887〜1965)の建築物を見ることができる。その中で特別な存在は、パリ16区の集合住宅。というのも、その最上階のアパルトマン兼アトリエの2フロアで、1934年から亡くなるまで建築家自身が約30年間暮らし、絵を描いていたからだ。ブローニュの森、ローラン・ギャロスのテニス場、絶大な人気を誇る新生モリトール・プールなどの近くである。

180821-corbusier-01.jpg

アパルトマンは1972年に、建物は昨年、歴史的建造物に指定された。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

彼が亡くなった後、ル・コルビュジエ財団はかつて事務所のチーフだった建築家アンドレ・ヴォジャンスキーに仕事場としてこの2フロアを1973年に貸与。その約20年の間には改装がなされていた。それをル・コルビュジエが1965年に亡くなる前の状態に2年をかけて修復。そして、今年の6月からガイド付きで見学ができるようになった。修復を任されたのはフランソワ・シャティヨン。フランスの歴史的建造物の保護に心を傾けている建築家である。

180821-corbusier-02.jpg

アトリエのル・コルビュジエと絵画作品。©FLC-ADAGP photographe non identifié

180821-corbusier-03.jpg

下にほぼ同じアングルで撮影された現在の写真があるので比べてみよう。©FLC-ADAGP-Albin Sala

180821-corbusier-04.jpg

下のフロアの図面。©FLC-ADAGP PLAN ARCHIVE

広さは240平米。40代後半から亡くなるまでの約30年を過ごした場所で、同居人は妻のイヴォンヌ(1957年没)。彼のママが来た時に泊まれる小部屋もテラスの脇に用意されていた。入り口は8階(フランスの7エム・エタージュ)にあり、下のフロアはアトリエ、リビングルーム、ダイニングルーム、寝室、台所で構成されている。上のフロアはゲストルーム、ルーフガーデン。ガラスの仕切りによる恵まれた採光と回転式仕切りによる空間使いが特徴だ。ル・コルビュジエにとってのリュクスは空間なので、素材については陶のタイル、オークのベニヤ板、ガラスのレンガなどの入手しやすいものが選ばれている。見逃せないディテールも多く、建築ファンでなくても楽しめる。

180821-corbusier-05.jpg

下のフロアーのアトリエと反対側に位置するリビングルーム。 ©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

180821-corbusier-06.jpg

建物1階のエントランスホールから始まるル・コルビュジエ・ワールド

建物は2016年に世界遺産に登録されたル・コルビュジエの17の建築物のうちのひとつである。同じ16区にある彼の建築物La Maison Roche(ラ・メゾン・ロッシュ/10, square du Dr Blanche, 75106 Paris)と合わせて見学に行ってみよう。なお、アパルトマン・アトリエは8月24日までクローズ。また見学の時間帯は土曜日が5ツアー開催されるが、平日は午後だけのこともあるようなので予約時に確認を。

Appartement-atelier de Le Corbusier
24, rue Nungesser et Coli
75016 Paris
ガイド付き見学料金 10ユーロ(16区のMaison La Rocheとのセット料金は15ユーロ)。言語はフランス語、英語。
要予約。
tel:01 42 88 75 72またはreservation@fondationlecorbusier.fr

東と西から光が入るアトリエ。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

アトリエの脇のデスクコーナー。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

ダイニングスペース。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

あくまでも機能的なキッチン。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

寝室。正面の家具はその後ろのドアと一体化していて、ドアを開けるとベッドの向かい側に来ることになる仕組み。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

ベッドはとても高い。これは景色を眺めるためだった。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

ガラスのレンガを使った壁からの採光。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

上階のルーフガーデン。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

上階の居住空間。©FLC-ADAGP- Antoine Mercusot

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

RELATED CONTENTS

BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      WHAT'S NEW

      LATEST BLOG

      FIGARO Japon

      FIGARO Japon

      madameFIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。

      フィガロジャポン madame FIGARO.jp Error Page - 404

      Page Not FoundWe Couldn't Find That Page

      このページはご利用いただけません。
      リンクに問題があるか、ページが削除された可能性があります。