19世紀に気球が飛び立った建物にスポーツジムが。

PARIS DECO

パリ市内、個性的なスポーツクラブが次々と誕生している。コワーキングスペースが設けられていたり、サウンドセラピーが売りだったり……。10区にこの秋オープンしたLa Montgolfière(ラ・モンゴルフィエール)はソーシャル・スポーツ・クラブというコンセプトが風変わりの上、何よりもオープンした建物のパリならではの歴史がユニークである。

レピュブリック広場とサン・マルタン運河の中間を東西に走る、イヴ・トゥーディックという通り。ショッピングが楽しいボールペール通りとマルセイユ通りと交わるコーナーには、朝から行列ができる観光スポットのパン屋Du Pain et des idées(デュ・パン・エ・デジデ)があり、昨年は手刺繍ブローチがチャーミングなマコン&レスコワのブティックがオープンし……いまやこの通りが昔はどんなだったのか、想像するのはちょっと難しい。輸送に活用できるサン・マルタン運河が近いことから、19世紀半ばにはこの界隈には倉庫があちこちにできたらしい。

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ソーシャル・スポーツ・クラブであるラ・モンゴルフィエールの一室には、19世紀のものと思われるアールヌーヴォー調の壁紙が柱に残されている。

イヴ・トゥーディック通り25番地の中庭にできた、ソーシャル・スポーツ・クラブのラ・モンゴルフィエール。2014年にマルタン マルジェラがショーを開催したスペース、というとモード関係者は「ああ、あそこね」となるかもしれない。クラブの名前は熱気球を意味している。なぜスポーツと無縁の名前がついているのかというと、クラブを擁する建物に由来しているそうだ。現在のようなガラスと鉄骨のインダストリアル建築に変身したのは、国鉄の倉庫となった時代のこと。1850年の建築時は気球のためのテント地の製造工場で、18メートル高さのある吹き抜けの造りはいまも変わらないが、大きな違いがひとつある。当時は屋根が覆われていなかったのだ。最終組み立てが終わった気球は、覆われていない屋根から飛び立っていったという。当然雨対策も万全で、床はわずかながら傾斜があり雨水は中庭へと流れ出る仕組み。クラブの入り口部分で、いまもその傾斜は確認できる。まさに建物に歴史あり! だ。このように歴史を持つ建築物が長生きできるのは、地震がないパリの強みだろう。

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1850年の建物建築当時は屋根の中央部分にガラスはなく、オープンエア状態だった。

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エントランス。ドアのあるあたりに床の傾斜を見ることができる。

ラ・モンゴルフィエールの広々とした1階はカクテルバーやカフェが設けられ、ちょっとした寛ぎの空間となっている。このスペースを自宅のリビングルームあるいはオフィスという感じに、スポーツの前後にメンバーは時間を過ごしている。壁にはアート作品をかけて展覧会を行い、いずれはミニライブコンサートなども、と若きオーナーのルーベンとバジルは考えているそうだ。スポーツだけに限らず、このように社交の場でもあることからソーシャル・スポーツ・クラブと呼ぶのである。自然光が差し込む部屋では、筋トレや有酸素運動に気持ちよく励めそう……。メンバーとそのゲストオンリーの場というのが残念。

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奥にカクテルバーがある1階。スポーツを行うのは、吹き抜けスペースの周囲の2フロアだ。

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アート作品とスポーツが共存する。photos:Mariko OMURA

La Montgolfière
25, rue Yves Toudic
75001 Paris
営)月〜金 7:00〜23:00、土 9:00〜23:00、日 9:00〜20:00
年間メンバーフィー 1,800ユーロ(28歳以下 1,450ユーロ)
月払いメンバーフィー 155ユーロ(28歳以下 125ユーロ)
https://lamontgolfiereclub.com/
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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