ムッシュー・ジョルジュはスタイリッシュな大人のホテル。
PARIS DECO
シャンゼリゼ大通り、地下鉄ジョルジュ・サンク駅から徒歩3分という便利な立地にオープンした5ツ星ホテルMonsieur George(ムッシュー・ジョルジュ)。ここはアヌーシュカ・ヘンペルがデザインしたパリ初のホテルなのだ。ブティックホテルの先駆けとなったロンドンのホテルBlakes(ブレークス)を手がけ、一躍インテリアデザイン界のスターとなった彼女。それから40年以上が経ち、やっとパリでも彼女によるホテルが誕生したのである。
オスマニアン建築の個人邸宅だった建物がホテルに。
映画『女王陛下の007』にも出演し、女優として30年近く活動したアヌーシュカ・ヘンペル。
ニュージーランド生まれだが英国暮らしが長いアヌーシュカらしさは、ホテルのブリティッシュ・グリーンが印象的なロビーホールから早くも感じられる。客室は合計46室あり、最上階のスイートルームフロアの部屋は白でまとめられたフランクリンと呼ばれるタイプ。ウィンザー、チェカーの2つのタイプの部屋は一転して、ダークトーンでまとめられている。いずれにしてもシックでエレガント、そしてシンプルなインテリアだ。
床のグリーンのタイル、グリーンの天鵞絨の椅子……ソー・ブリティッシュ!! なロビー。
フランクリン・ルームは白い世界。photo:Benoit Linero
バスルーム。シンプルな中に上質感が漂う。photo:Benoit Linero
濃いグレーでまとめられたウィンザー・ルーム。photo:Benoit Linero
室内は自宅風の寛ぎを感じさせるちょっとしたディテールで満たされている。photo:Benoit Linero
地上階の中庭の奥にある2フロアからなるスイートルームは専用の庭付きで、気分はまるで一軒家の自宅にいるよう。都会のリトリート滞在を目指すカップルにおすすめだ。地下には、ヨガクラブとして有名なLe Tigre(ル・ティーグル)のスパがある。ハマム、ベーシックなマシンを備えたフィットネスルームも併設。なおヨガのレッスンは客室にて行われると聞くと、何やら贅沢なセレブ滞在ができそうな気がしてくる。
緑の庭を我が物顔にできるデュプレックスの別棟。ハネムーンにおすすめだ。photo:Benoit Linero
スパのル・ティーグル。パリの古い建築物の地下によくあるアーチ型の天井の下、静寂のマッサージ時間を。photo:Benoit Linero
---fadeinpager---
高級感漂う大人のためのホテルといった風情のムッシュー・ジョルジュ。ここに宿泊するのは、背伸びしてもまだ早いというのであれば、1階のレストランバーGalanga(ガランガ)でアヌーシュカのインテリアを堪能しよう。26歳のシェフが腕をふるうコンテンポラリー料理のレストランだ。アジアのスパイスが店名に付けられていることからも察せられるが、ココナッツミルク、ポン酢、味噌などといったアジアの調味料が生かされた料理がメニューに並ぶ。カクテル自慢のバーに加え、地下2階はワインバーだ。ここではハム類やチーズの盛り合わせとともに、ワインを。
ロビーの延長線上にあり、グリーンでまとめられたレストラン、ガランガ。photo:Benoit Linero
シェフのトマ・ダニゴ。photo:Benoit Linero
バー。photo:Benoit Linero
ムッシュー・ジョルジュはムッシュー・カデ、ムッシュー・エルデール、ムッシュー・サントーンジュというホテルをパリに有するオーナーによる4つ目のホテルである。建てられた場所のエスプリをリスペクトした名前をホテルに付けていて、ワシントン通りにあるこのホテルにはジョージ・ワシントンから名前を頂戴!というわけだ。気楽にパリ旅行ができるようになったら、ムッシュー・ジョルジュを訪れてみよう。
部屋によっては、エッフェル塔やサクレクール寺院の眺めが。photo:Benoit Linero
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。