ダニエル・ビュランとフィリップ・パレノを同時に体感!

PARIS DECO

現代アートの世界でギャラリスト、カメル・メヌールの名前が囁かれるようになってから、はや20年が流れた。ダニエル・ビュラン、クロード・レヴェックなど著名作家の作品だけでなく、カミーユ・アンロやモハメッド・ブルイサといった若手アーティストたちの作品も展示する。パリでは左岸のサンタンドレ・デザール通り47番地、ポン・ドゥ・ロディ通りの6番地、右岸のマティニョン通り28番地にギャラリーを構える彼。12月5日、ポン・ドゥ・ロディ通りの5番地に新しいスペースをオープンした。

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ポン・ヌフ橋に近いポン・ドゥ・ロディ通り、6番地のギャラリーの向かい、5番地にカメル・メヌールは新しいスペースをオープンした
Photo:archives kamel mennour © Daniel Buren, Adagp © Philippe Parreno, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

そこでの初の開催は、ダニエル・ビュランとフィリップ・パレノという国際的アートシーンで活躍する2人のアーティストによるジョイントエキシビションだ。外から見ると、ギャラリーの6つの横長のガラス窓が黄、赤、青で覆われ、扉が閉ざされているので訝しく思うのだが、これは中に入ればすぐに理解できる。

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フィリップ・パレノ(左)とダニエル・ビュラン。Photo:archives kamel mennour, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

ギャラリー内、窓にはシャッターが設けられていて、それが順次、不規則に開閉を繰り返すことで窓の色が現れ、消えてを繰り返す。シャッターの開き方も全開あり半開ありと一定していない。この空間には2面がストライプを描くミラーの柱が何本も設置され、また窓と窓の間の壁にも同じくミラーのストライプが。鏡のストライプにシャッターが開いて現れた色が映り、その色は別のミラーのストライプに映って……と刻々と表情を変えてゆく。見る者が静止していても位置を見失うような気がする。ましてやギャラリー内を移動すればインスタレーションも動くので、迷路に入り込んだような錯覚に陥る。ギャラリー内で変化に翻弄される時間はとても刺激的だ。裏手の小さなスペースにいたる道も、鏡の威力でまたも迷路。奥に滝のように水が流れる面があり、これが鏡の柱に映り込み清涼感と色を倍増させている。現実と非現実が混じり合う中に溺れ、抜け出せなくなるイン・シチュ・インスタレーションだ。

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扉を開けて入ったギャラリーの左手に待つ光景。''不思議な国の私’'となった気分でスペース内を歩いてみよう。Photo:archives kamel mennour © Daniel Buren, Adagp © Philippe Parreno, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

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鏡のストライプの幅はダニエル・ビュランの過去の作品と同様である。Photos:archives kamel mennour © Daniel Buren, Adagp © Philippe Parreno, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

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シャッターが開閉時、会場に機械的な音を響かせる。窓から差し込む外光の強さも表情作りに関係するインスタレーション。一期一会の出合いが無数にあるインスタレーションだ。Photo:archives kamel mennour © Daniel Buren, Adagp © Philippe Parreno, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

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奥の会場。Photo:archives kamel mennour © Daniel Buren, Adagp © Philippe Parreno, Courtesy the artists and kamel mennour, Paris/London

ここは美術館ではなくアートギャラリーなので、入場無料でフランスの二大現代アーティストが共作した作品を体感できる。視覚と感覚のこの貴重な経験、アートファンに限らず大勢に贈られるカメル・メヌールからのとてつもなく素晴らしいプレゼントだ。こちら5番地のギャラリーから出て100%現実世界に戻れたら、お向かい6番地の彼のギャラリーも訪れてみよう。

Daniel Buren – Philippe Parreno: Simultanément, travaux in situ et en mouvement
開催中〜2月27日(続行の可能性もあり)
kamel mennour
5, rue du Pont de Lodi 75006 Pais
開)11時〜19時
休)日、月
www.kamelmennour.

 

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon

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