最果タヒの詩から生まれた、リアルで繊細な恋愛映画。

Culture 2017.06.30

誰も聴かない歌のような恋が、生きづらい街に励ましを呼ぶ。
『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

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夜の渋谷は恋も愛も、まがい物めいて凡庸に見える。甘い言葉がそれを加速させる。だから、田舎出の看護師の美香は、「嫌い」を育み、憂鬱を抱きしめ、失望から噴き出す何かをいとおしむ。俊才・石井裕也は美香の台詞やモノローグに最果タヒの同名詩集の冴えた言葉を託し、一閃に街を断ち切るような即興的なロケ撮影の乾いた情緒とシンクロさせる。一度は「死ねばいいのに」と突き放す池松壮亮の慎二とのぎこちない恋愛は、生まれたてみたいに一瞬一瞬を呼吸している。

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
監督・脚本/石井裕也
2017年、日本映画 108分
配給/東京テアトル、リトルモア
新宿ピカデリーほか全国にて順次公開中
www.yozora-movie.com

*「フィガロジャポン」2017年7月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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