パフェ日記 #04 和光のメロンパフェ、上から撮るか? 横から撮るか?
Gourmet 2017.08.18
パフェが大好きなエディターが、いま食べるべきパフェを厳選して紹介する短期集中連載「パフェ日記」。第4回では、おいしいのはもちろん、最高にフォトジェニックな「和光アネックス ティーサロン」のパフェたちをご紹介。
8月16日
8月に入ってからの東京は雨続き。少し肌寒くもあって、今年はいつもより早く夏が終わってしまいそうです。でもこの週末は神宮外苑の花火大会。東京では週末ごとにあちこちで花火大会が続きますが、神宮が終わればそれもおしまい。とは書いたものの、人ごみを嫌って会場に足を運ばない出不精な性格なので、見晴らしのいい友人の家で大きな花火を何発か眺めたあとは涼しい部屋でビールを飲んでいることでしょう。
花火といえば近ごろ電車の広告で懐かしいタイトルを目にします。岩井俊二監督のテレビドラマ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。劇場でも公開された名作が、アニメーションになってリメイクされるようです。このタイトルを見ながら、パフェもそうかもと思ったのは「和光アネックス ティーサロン」のメロンパフェを写真に撮ろうとすると、上か横か、どちらから撮ればいいのか悩むからです。
個人的に夏になると食べたくなるパフェの筆頭が、この和光のメロンパフェ。丸くくり抜かれた赤い果肉と青い果肉が交互に置かれて円を描き、中心にはココナッツのアイスクリーム。皮を使ってグラスの縁に差し込まれるなど古典的なパフェにも登場頻度の高いメロンですが、このように丸くくり抜かれている店は他に知りません。飾りではなく味に主眼をおいているので、よく熟した瑞々しいメロンの果肉が楽しめるのです。さっぱりとしたココナッツのシャーベットとメロンの相性がいいことも驚きでした。
ただこのグラスを上から覗いた角度のかわいさから、思わず写真も俯瞰で撮りたくなってしまう。けれど写真を見てわかるように、側面のグラニテのきれいなグリーンも捨て難い。ここで「和光のパフェ、上から撮るか?横から撮るか?」問題が勃発します。メロンパフェに限った話ではありません。同じく夏だけ楽しめる白桃パフェ、定番のチョコレートパフェ、そして秋に登場するマロンパフェ。クリームのあいだにローストナッツが浮かぶチョコレートパフェでもメロンパフェと同じ悩みが生まれます。和光のパフェは困ったことに上からも横からも美しいのです。花火ほど早く消えてしまうことも人混みに流されることもないけれど、のんびりしていると溶けてしまう。夏が訪れるたびに悩まされる課題ですが、この夏も解消されることはなさそうです。
夏らしいさっぱりとした果実味を楽しめるメロンパフェの頂部は、丸くくり抜かれたオレンジとグリーンの果肉という2種類のメロンとさっぱりとしていながらクリーミーなココナッツシャーベットが乗る。果肉を支える生クリームの層、実はココナッツシャーベットの下だけはココナッツの生クリームが敷かれているという心憎い仕掛け。白ワインを加えて爽やかな風味をしっかり活かしたメロンのグラニテ、バニラのアイスクリームと生クリームの層の下にはシロップであえたメロンの果肉が。今年は9月30日まで。「メロンパフェ」¥1,944
繊細に重ねられた桃のスライスが、下に隠されたバニラのアイスクリームに支えられて美しく円を描く。その下はメロンと同じくさわやかな夏らしいグラニテと桃のシャーベットを重ね、クリームを挟んだ底にシロップであえた濃密でみずみずしい桃のコンポートが。今年は8月25日で終了となるのでぜひお店に急いで。「白桃パフェ」¥2,268
花びらのように薄く削り出されたチョコレート、生クリームと混ぜ合わせられたチョコレートクリームとチョコレートのアイスクリームというカカオのパーセンテージが異なる3種類のチョコレートを贅沢に使ったパフェ。中空になった部分はローストしてキャラメリゼした松の実、アーモンドスライス、ピスタチオ、くるみとサブレのフレークが。もう一度チョコレートを楽しんだあとにはソテーしたバナナピューレの入ったバナナのアイスクリームでチョコレートの余韻を楽しんで。「チョコレートパフェ」¥1,944
東京都中央区銀座4-4-8 和光アネックス2階
tel:03-5250-3100
営)10:30〜19:00 L.O.(月〜土) 10:30〜18:30L.O.(日、祝)
無休
https://wako.co.jp
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photos : TORU KOMETANI, réalisation : YOSHINAO YAMADA