地域の文化の発信拠点・沖縄の読谷村立図書館は、旅の途中に立ち寄りたいスポット。

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那覇空港から車で北へおよそ1時間。東シナ海に突き出た半島に位置する読谷村は、土地の形が翼を広げた鳳に似ていることから「オオトリ」という呼び名で親しまれている。この村に2025年10月、読谷村立図書館がリニューアルオープンした。新たなコミュニティスポットと、村に残る手仕事を紹介する。

読谷村立図書館の内観
書棚の奥には光溢れる居心地の良いソファスペースが。中央のオブジェは、オオトリをモチーフにした流木の作品。

ローカルも旅行者も集う、居心地のよい図書館

南北に細長い読谷村。東シナ海に面した西側の海岸は残波ビーチやニライビーチ、メロディビーチなど美しい海岸線が続くエリアで、リゾートホテルなどが点在する。一方、内陸側の東エリアには年々移住者が増え続け、役場を中心にスポーツ施設や文化施設が建設中だ。“遊んで学べる”をテーマにした「ゆんラボ・未来館」内に移転リニューアルしたのが読谷村立図書館。エントランスを入ると、ロビーにはやちむんや雑貨、沖縄の古書をセレクトした展示販売コーナーがあり、スターバックスコーヒーのカウンターからは香ばしい匂いが漂ってくる。

ロビーには沖縄や読谷村をテーマにしたグッズや民藝品、貴重な古書を販売している。

奥へ進むと、広々とした家のような居心の良い空間に、人々がゆったり集えるカフェスペース、読書に没頭できる書斎のような空間、そして子どもたちの創造性を刺激する「こどもとしょかん」が続く。開館時間は朝10時から夜10時まで。6月23日の慰霊の日以外は年中無休だ。また次世代の読谷村の新しい文化と価値を創り出す拠点として、図書館機能に加え、各種イベントを開催。「はじめてのさんしん」「心を整えるマインドフルアート体験」「読谷緑市場」など地元の人も観光客も一緒になって楽しめる企画が目白押しだ。

沖縄の海をテーマにしたキッズスペース。雨の日でも思い切り体を動かして遊ぶことができる。

現在蔵書は13万冊だが、20年後には24万冊を目指しているという。沖縄の歴史や文化、自然に関する書籍も多数取り揃えているので、沖縄を深く知りたい人はもちろん、ワーケーションや子ども連れの旅行などにも立ち寄りたいスポットだ。

目の前の芝生スペースではマルシェも開催され、多くの人たちで賑わう。

手仕事のぬくもりを探して

沖縄で陶器や陶芸を意味する「やちむん」。読谷村には湧水、薪、粘土などやちむんに必要な資源が豊富にあったことから、古くから焼き物が作られてきた。戦後には人間国宝・金城次郎が読谷村に工房を移し、多くの陶工たちが開窯した。なかでも4人の陶工が共同で窯を築いた読谷山窯と読谷山焼・北窯は、「やちむんの里」内で見学することができる。土と風、太陽によって育まれたやちむんの温かみのある風合いは、日常的に使いやすいものが多いので、読谷を訪れたらぜひその風合いに触れてみてほしい。12〜2月には読谷村各地で陶器市も開かれるので、興味のある人はチェックしてみて。

読谷村にあるやちむんの里
現在では数少なくなった登窯。やちむんの里にある13連の登窯は、沖縄で最大規模を誇る。
沖縄の器、やちむん
おおらかな筆致と手に馴染みやすいぽってりとした風合いが特徴のやちむん。やちむんの里内にある北窯売店や、県内のセレクトショップなどで購入することができる。

琉球ガラスも沖縄を代表する工芸品のひとつ。青い海や水平線に沈む夕陽を映し取ったようなカラフルなガラス製品は、旅の思い出に買い求めたい。「RYUKYU GLASS WORKS海風」は海岸に面した商業施設「Gala青い海内」内にあるガラス工房。職人がガラスを吹く様子を見学したり、体験ワークショップでは形や色、模様を選んでオリジナルのグラスを作ることもできる。海風を感じながらガラス作りを体験することで、手仕事の魅力に触れられるだろう。併設のショップではオリジナルの技法を取り入れた種類豊富なガラス製品も販売しているので、お土産にもおすすめだ。

好きな形と色を決めたら、工房では専門の職人たちがていねいに教えてくれる。
水平線に沈む夕陽をイメージしたグラスは、手作りの風合いが魅力。

沖縄には数々の織物や植物染の技法が伝えられているが、読谷山花織もそのひとつ。琉球王朝時代に中国との朝貢貿易によって伝来したのがルーツと言われている。手で糸を縫い取るようにして花の紋様を作り上げる織物で、基本となる形は風車を模したカジマヤーバナ、お金の形のジンバナ、逆三角形のオージバナの3種類。これらを組み合わせることによって30種類もの幾何学模様が出来上がり、バラエティに富んだ色彩と独特の紋様が生まれる。天然素材で染色した糸によって鮮やかに浮き上がる花織は、ハレの日の着物やミンサーと呼ばれる細帯として親しまれているが、テーブルセンターや小物などにも応用されている。一つひとつの柄には意味があり、心を込めて織られてきた花織。一時は衰退していたが、現在は読谷村花織事業協同組合がその技を受け継いでいる。

伝統工芸センターでは花織の事業継承を行うほか、製品の販売も行っている。写真は読谷山花織事業協同組合の上原悦子副理事長。花織コースターの手織り体験も行っているので、興味のある人は問い合わせてみて(要予約)。
花織の柄には長寿祈願、商売繁盛、子孫繁栄などさまざまな意味がある。マースストラップ 各¥1,430

村に残る手仕事に触れ、地元の人たちが憩う図書館で郷土の知識を深める。読谷村ではそんなゆったりとした過ごし方をしてみたい。

読谷村立図書館
沖縄県中頭郡読谷村座喜味2901-1
開)10:00〜22:00
休)6月23日(慰霊の日)
https://yomitan-lib.jp/

やちむんの里 北釜売店
沖縄県読谷村座喜味2653-1
098-958-6488
営)9:30〜17:30
休)

読谷山花織事業協同組合
沖縄県読谷村字座喜味2974-2
098-958-4674
開)9:00〜17:00(月〜金)、10:00〜17:00(土、祝)
休)日
http://www.yomitanhanaori.com/

  • text:Junko Kubodera