涼を纏うテーラリングで魅せた、スポーツマックスの2027年春夏コレクション。

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スポーツマックスは2026年9月25日、ミラノの歴史的建造物「パラッツォ・リッタ」にて2027年春夏コレクションを発表した。ヨーロッパを覆う記録的な熱波を背景に、来たる夏をしなやかに乗りこなすテーラリングを提案。ガラス職人が炉の熱を借りて形を生み出すように、灼けつく熱そのものを創造の力へと変換し、驚くほど軽い構造と繊細な透け感が探求された。シアーなテーラリング、透明なアクセサリー、透ける色を幾重にも重ねて生まれるグラデーション——あらゆるシルエットに軽やかさが息づき、涼を求める身体をそっと包み込む。

テーラリングには秋のスーツの記憶を残しながら、ピンストライプのヴォイルやトロピカルウールでその輪郭を軽やかに解きほぐす。開いたパネルが、まるで錯視のような表情を生む。ピンストライプのトラウザーズの下にはバミューダショーツをそっと忍ばせ、ビジネスウェアの端正さと、暑い季節にふさわしい解放感を両立させた。

構築的なジャケットには丸みを帯びた柔らかなラインのボトムスを合わせ、幾層にも重なる色彩がミルフィーユのような奥行きを描き出す。

ガラス越しに揺らめく水の真珠のような色彩を着想源に、水彩画を思わせるグレーやブルーから、宝石のように鮮やかな色へと広がっていく。エクリュ、オレンジ、ブラッシュピンクのシルクやヴィスコースのオーガンザが幾重にも重なり、繊細なグラデーションを紡ぐ。

アンティークのヴェネチアンレースのテーブルクロスは、刺繍ではなくプリントへと姿を変え、時を経たモチーフとして甦った。上から重ねたオーガンザのトレンチコートが、その表情をわずかに覗かせながら、同時に静かに覆い隠す。長いベルトやウエストバンドが、しなやかなシルエットのボリュームをまとめ上げ、風をはらむフォルムに輪郭を与えた。

レザーは、構造そのものを解きほぐすようなアプローチが試みられた。柔らかなナッパレザーやスエードは、装飾をそぎ落としたドレスやミニマルなボクサーショーツ、スリーブレスジャケットへ。コートには、身体に風をくぐらせる可変式のパネルを忍ばせた。

柔らかなドレープを描くデニムリヨセルや、スーツのラペルを胸元に平らに縫い付けたトロンプルイユのディテールも、夏のフォーマルウェアに新しい呼吸をもたらした。

構造には、建築からのまなざしも重ねられている。アコーディオンプリーツは、レッジョ・エミリア駅の内部構造をどこか思わせる。穴を開けたパネルにはカーテンのようにドローコードが通され、その「レール」がバギートラウザーズやドレスのウエストラインへと展開していく。シルクジョーゼットは金属の下でねじれ、流れるようなラインに。

テーラリング用の生地は、流麗なフォルムの輪郭にそっと接着され、そのシルエットを保った。ミニドレスのネックラインや変形タンクトップにはメタルフレームが忍び、イブニングウェアにシャープな構築性を宿す。ニットウェアはヴィンテージのスイムウェアとその表情豊かなジャカードに着想を得て、仕事帰りにそのままビーチへ向かうような自由な気分を添えた。

シューズとジュエリーもまた、透明感を貫いた。ファーをあしらったスライドサンダル、氷柱を思わせる装飾を纏ったパンプス、向こう側が透けて見えるハイブーツ——シグネチャーのハードウェアと、氷を思わせるディテールが、涼やかなアクセントを添える。

これからの夏に必要のないものをひとつずつ脱ぎ捨てるように、コレクションの終盤へ向けて重さや不透明さ、そして黒が静かに姿を消していく。あとに残るのは、軽やかでありながら機能的なワードローブだけ。透明なアクセサリーは、グラスの水に浮かぶ氷のような清涼感を纏う。スポーツマックスが追い求めたのは、来たる夏の暑さにしなやかに応える、限りなく軽く、それでいて揺るぎないテーラードな装いだった。

会場には、女優の北川景子の姿も。ドレープをたっぷりとたたえたマスキュリンなオールブラックスタイルで華を添えた。シアーな質感と程よい肌みせで軽やかな抜け感を演出し、クロコ型押しのラウンドクラッチとシルバーのさりげないアクセサリーが、装い全体に洗練のアクセントとなった。

  • photography: SportMax text: Akiko Mizuguchi