パリ ともだちのアトリエ その2
パリのマルシェとレシピ。
夏らしい暑さの続くある日、訪ねたアトリエは、
ひんやりと心地良くせいせいとした空間。
音楽無しには、毎日が始まらない・・・というアトリエには、
気持ちが和むようなクラッシックが低く響いていました。
自作の器に盛られたアプリコットとさくらんぼと作品とお気に入りのアンティーク。
Clémentine Dupréさん、穏やかで美しい、才能溢れる人。
まだ会ったばかりなので、"ともだちの・・・"とするのは、はばかるけれど、
ともだちになりたいと思っている。
アトリエに行ってみたい! と思ったのは、彼女の第一印象がすこぶる良かったから。
先日お伝えした陶芸のExpoで、美しい作品とプレゼンテーション、そこだけ清々しい気が流れているのを見て・・・これは、なんだか"掃き溜めに鶴! "雑多な会場の中で際立っていたスタンド。
そして、彼女の落ち着き、楚々とした様子に"プリンセス"を感じて、とても心魅かれたのでした。
この日は、毎年7月上旬に開催される陶芸家のExpo, st-Sulpice 広場の
"Journées de la céramique "の為の作品作りの仕上げの最中でした。
器の肌に触れて、状態をチェックするクレモンティーヌさん。
素焼きをした後に釉薬を塗り、デッサンを施したもの。
最後の焼成の前に表面を滑らかに・・・窯入れの前の入念な作業。
ろくろの横に置かれた作品に目が入って、
「この底の無い器は、これからどう加工するの?」と尋ねると・・・
「こうやって、会場の壁にディスプレイするの・・・」と。
美しい新作が並ぶ。黒のベースに描いた模様は、
日々思いつくアイディアやデッサンを描きとめておいたもの。
「これは、作業中に偶然発見したテクニックなの!」と、
雫のようなディティールが、最も彼女らしい作品のひとつ。
ウインドウから毎日見る、行きかう子供やお年寄り、下町の人々の生活、しぐさ・・・
様々なものからインスピレーションが湧いて来る。
ギリシャを思わせる青と白の涼しげな一角。
整然とした机の上、お育ち伺えますね。
ブティックも兼ねたアトリエ。
側には、ご近所の人々が集う教会。
これからの予定を聞いてみると・・・
まず、8月から3ヵ月の間、福岡に住む陶芸家の友人とアトリエを交換して、作品作りを。
九州の滞在と東京では、自らの作品が扱われている青山のH.P.DECOを訪ねるのを楽しみにしているそう。
その様子は、"日本滞在日記"として、彼女のhpよりアップされる予定です。
その間、パリでは9月14日から、5人のアーティストと共にマレでExpoが開かれます。
Collection
4,rue de Thorigny 75003 Paris
tel 01 42 78 67 74
彼女がくれた1枚の紙。
そこには、学校を出てから2年前に、このアトリエを構えたこと、自分の作品に対する想い、日々の生活で起きる様々な出来事、些細な感動・それがもたらす計り知れない創造の大きさ・・・いろいろな気持ちが。そして、自分の夢だったアトリエを持つ事に協力してくれたご両親に感謝し、「結びの言葉として、みんなに言いたいのは"私は幸せです"ということ」。
好きな事に打ち込む姿、この静かな情熱や純粋な心もち、ひたむきさ・・・いや、こういうの忘れていたな、と思いました。
"育ちの良い者は、幸いである"アトリエのドアを閉めながら、ふと聖書のこんな一節が浮んできました。
これから、もっともっと素敵な作品を見せてもらえるのを楽しみにしています。
彼女のアトリエ
ATELIER VITRINE
Clémentine Dupré
21 ,rue Etienne Dolet 75020 Paris
www.clementinedupre.com