免疫力とは何か？を知って、いまをしなやかに生きる。【ココロとカラダの100年美容】

コロナを経ても私たちの生きる環境は変わらない。心と身体を健やかに保つためにすべきことは、食べて寝て運動する、生きる基本こそが大事なこと。ヘルスリテラシーを身につけ、自己治癒力を信じて、前向きに！ 風邪をひきやすい季節、改めて2020年の記事を再編集して掲載する。

免疫力とは何か?を知って、いまをしなやかに生きる。

近代の医療や健康の歴史を紐解くと、それはいつも多くの人を死にいたらしめる病気やウイルスとの闘いだった。人類はその闘いに治療薬やワクチンで勝利してきた。そして――若くても、体力があっても、アスリートでも、ワクチンを打っても罹るものは罹る、新型コロナウイルスを目の当たりにした私たち。病気になったら病院へ行って治せばいい、という意識は本気で改めるべき時が来ている。セルフメンテナンスを心がけ、"罹りにくい身体"そして"罹っても回復できる身体"に自分自身で整えておくことが命題に。よく寝て、正しく食べ、適度な運動をする。この基本に立ち返ることがマスト！

まず、身体をつくるのが毎日の食事。
「日本女性の1日の摂取カロリーは、終戦直後を下回っています。多くの女性が慢性的な栄養不足に陥っている可能性があり、特に貧血は大きな問題です」と話すのは、栄養コンサルタントの細川モモ。ダイエット法から免疫力アップの食品まで、ありとあらゆる情報がテレビやネットに氾濫する中、流行りに惑わされて偏った食事をしたり、自己流のファスティングをして栄養素が不足している人も多いのではないだろうか。ダイエットや体内デトックスよりも、栄養素をしっかり摂って吸収させることが最重要。腸には免疫細胞の約6〜7割がいるといわれているから、いい腸内環境を育てる食生活を心がけたい。

その栄養を全身に巡らせ、悪いものを排泄できる身体にする工夫も必要だ。そのひとつが、運動。
「リモートワークが増え、家にいる生活を続けていると、基本的身体能力は下がってしまいます。これまでは運動せずに健康体でいられた人でも、筋負荷をかけた運動が必要に」とパーソナルトレーナーのKAORUは言う。運動することは、メンタルへの好影響もあるし、血流や循環アップにもいい。毎晩の正しい入浴と併せて、体温を高く保てる、巡りのいい身体をキープしたい。

スタンフォード大学医学部精神科・西野精治教授は、睡眠の大切さを力説する。
「睡眠は身体を整復するもの。栄養やエクササイズの根本にあるもの、と言えます。睡眠中に免疫が増強されるというエビデンスもあり、睡眠不足の人は風邪の罹患率が高く、予防接種の効きがよくない、というデータも存在しています。適切な睡眠は、あらゆるリスクファクターを減らすためにも大変重要です」

睡眠時間が少なく、眠れない悩みを抱える人が多い日本人。1日の約1／3を占める睡眠時間を、いかに質を高めるかが未来の明暗を分けそうだ。

メンタルの問題も欠かせないテーマだろう。病は気から、ともいうように、漠然とした不安の中では心にも免疫力が必要だ。古くから伝わる統合医療のメインプレイヤー、アロマセラピーは、目まぐるしく変わる精神や体調のバランシングツールとして有効な手段。香りを嗅ぐことでのメンタルへの好影響はよく知られているとおりだが、抗ストレス作用、免疫力を高めるNK細胞の活性化なども確認されている。良質な精油を取り入れたライフスタイルで、自律神経や免疫力、ホルモンバランスをナチュラルに整えたい。

病は薬ではなく、人間が本来持っている自己治癒力で回復するもの。だから、食事、睡眠、運動――当たり前のことを正しくできるスキルが必要。そのためには、情報の洪水に踊らされないヘルスリテラシーを身につけることが最も重要だ。
「医学的にわかっていることはわかっている、わからないことはわからない。むやみに答えを求めていい加減な知識に振り回されるのがいちばんよくないですね」と、西野教授も話す。情報をアップデートし冷静に精査する。そしてたくさん笑って、よく食べて、よく眠る。そんなポジティブな姿勢で生きていけたらベスト。こうした行動はQOLの向上に繋がり、ひいては生活習慣病やがんなど"特効薬"のないあらゆる病気の予防にも繋がっていく可能性があるはずだから。自らの健康を自ら守る、新たな生活へといまこそ転換を。

---fadeinpager---

そもそも免疫とは?

免疫系とは、外敵から身体を守る防御システムのこと。外から侵入した細菌やウイルス、体内で発生したがん細胞などは、免疫細胞である白血球（T細胞やNK細胞などのリンパ球、マクロファージなどの食細胞など）が体内でせっせと撃退している。血管やリンパを通じて全身に運ばれる免疫細胞は、体温が下がり血行が悪くなると攻撃力もスピードもダウン。入浴や運動で深部体温を上げることが免疫力を高めることに繋がる。睡眠や笑いが免疫細胞の働きを活発にするというデータも。逆にストレスホルモンは、免疫細胞の働きを抑制してしまう。また、人によっては免疫機能が亢進して、花粉症などのアレルギー反応や自己免疫疾患が起こることもある。"免疫力アップ"のためにあれこれしすぎず、ストレスフリーに楽しく生きるべし！

---fadeinpager---

ビタミンD3の働きに注目。

外に出ない生活と徹底したUVケアで不足するビタミンD。「北欧ではサプリの摂取が推奨され、アメリカやインドでは食品に添加されている栄養素。食品からの摂取とは別に直射日光を浴びることで肌で生成される特殊なビタミンです。骨の健康を保つほか、免疫に関与して、風邪やインフルエンザの発症リスクを半減させるなど多様な役割が明らかに。新型コロナウイルスで重症化した人は血中ビタミンD濃度が低い、という報告も。1日30分を目安に顔以外を日光に当てることが大切です」（細川）。絶対日焼けをしたくない人や、活性型のビタミンD3に変換しにくくなる高齢者は、1日40㎍を上限にサプリメントで補充を。まずは魚、レバー、卵、干しシイタケなどの食品摂取を心がけて。

乳化型ビタミンD3を配合し、体内への吸収を効率化。日照の少ない生活やビタミン不足を感じる生活をサポート。1日1粒。ビタミンD 30粒 ￥390／ファンケル

歯と骨を同時ケア。口内と腸の悪玉菌の抑制&免疫を助けるロイテリ菌にD3をプラス。プロテクティス ビタミンD入り 30錠 ￥3,564／バイオガイアジャパン

---fadeinpager---

ミトコンドリアを活性化する。

人間本来が持つパワーを高めるために、最近注目されているのがミトコンドリア。ほとんどの細胞の中に存在し、エネルギーの産生工場といわれるミトコンドリアは、あらゆる人体行動に必要なエネルギー「ATP」を作り出す根幹たる器官。加齢やストレスで減少したり、機能低下が起きてしまうと、せっかくの血液中の栄養素も正常に行き渡らなかったり、運動をしても心臓に十分なエネルギーが送られず息切れしてしまう......ということも。ミトコンドリア活性には、ウォーキングなどの有酸素運動、ビタミンB1をはじめとするビタミンB群を含む食品やサプリメントも有効。細胞内からパワーをチャージして。

米発酵由来成分がミトコンドリアを活性化。アミノ酸&クエン酸配合で運動時の持久力もアップ。バテン 100ml ￥432／福光屋

疲労感やスタミナ不足など、見えない老化を感じる人に。ビタミンB1やL-カルニチンを配合。ミトコンサプリ 01 エナジーサポート 120粒 ￥4,320／メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ

---fadeinpager---

守りの最前線＝肌のバリア機能。

除菌ソープで手を洗い、アルコールで手指消毒をすることが習慣化してしまったが......。「高性能な合成界面活性剤を含むソープ類は、肌を守る常在菌まで殺菌してしまい、肌の天然プロテクト成分である角質層を壊してしまう恐れがあります」と警鐘を鳴らすのは、小星重治体温免疫力研究所会長の小星重治。一日に何度も除菌ソープでゴシゴシ手を洗っていると、皮脂膜という天然バリアがどんどん減っていく。もし使うなら硫酸フリーの洗浄成分や植物アルコールなど負担の少ない成分への切り替えを。美容面では"肌免疫"を司るLPS（リポポリサッカライド）も注目の成分。体内の免疫細胞、マクロファージを活性化することが最近の研究で明らかに。肌バリア&免疫を健やかにキープして、肌荒れや刺激による炎症、アレルギー疾患などが起きにくいよう整えておきたい。

for Hand

硫酸フリーの洗浄成分を使用。スワティー ハンド ケア ウォッシュ アニス ブルーミング イン マウンテンズ 200ml ￥2,090／モノセンス

サトウキビ由来の発酵エタノールでアルコール濃度76%の除菌力を実現。落合ハーブ園のオーガニックカミツレ水など、植物成分にもこだわりが。マテリアプリマ アルコールクリーンミスト 200ml ￥3,300／チェントトレンタ

---fadeinpager---

for Face

肌のバリア機能を高めるフコイダンやヒト型セラミドを配合。トラブル肌対応のクリニック発の保湿水。ドクターメディオン クラスティブウォーター 80ml￥4,950／メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ

自然由来のパントエア菌LPSで、正常なターンオーバーや細胞修復を自らできる肌に。フィトリフト オールインワンジェル 50g ￥5,060／Jコンテンツ

＊「フィガロジャポン」2020年8月号より抜粋