シャネルの扉 #19
シャネルが愛した“読むこと”についての展覧会。
Toc Toc Chanel
November 9, 20162007年のモスクワを皮切りに、上海やソウル、パリで開催されてきた展覧会プロジェクトCULTURE CHANELは、さまざまなアングルからガブリエル・シャネルの人生と、彼女が作り上げたブランドの歴史を見つめるもの。その7つめの展覧会となる『The woman who reads 読む女』がヴェネツィアで幕を開けた。
キュレーションを手がけるジャン=ルイ・フロマンは、「シャネルは紙とインクで書くことはなかったが、生地や形や色で描いた」という哲学者ロラン・バルトの文章にインスパイアされ、シャネルの蔵書を軸にした展覧会を作り上げた。
「私たちがたどる人生はちっぽけだが、夢を描けば人生は素晴らしくなる」と彼女自身がメモに残しているように、シャネルはたくさんの本を読み、夢を見て、クリエーションの原動力とした。展覧会では、パリのアパルトマンに残された蔵書や数々の美術品とともに、彼女と出会い、交流した同時代の作家や芸術家の作品も展示。バレエや映画の衣装に協力し、友情を結んだコクトー、ディアギレフとの出会いとロシア・バレエ、ダダやシュルレアリスムの芸術運動とシャネルの美意識の共通点などが解き明かされ、今からちょうど100年前に30歳だった彼女の、時代とのかかわりが浮かび上がる。さらに、ライオンやコメット、修道女の服など、ガブリエル・シャネルを読み解くアイコンとともに展示される現代のクリエーションは、彼女のDNAが今に脈々と受け継がれていることを物語る。
また、開催地ヴェネツィアは、恋人だったボーイ・カペルが急死した直後、親友ミシア・セールに連れられて訪れたシャネルゆかりの地。自らの生れ星座に通じる有翼のライオンをシンボルとする町で、彼女はビザンチン帝国やロシアに通じる東方文化の香りに開眼した。この町でCULTURE CHANELの展覧会が行われるのは、運命のなせる業なのかもしれない。
Celebrities
展覧会に魅了されたセレブリティたち。
9月15日の夕暮れ、ヴェネツィアの町にはドレスアップした男女が集い、次々に、『読む女』展の会場カ ペーザロ国際現代美術館を目指した。オープニングのソワレには、シャネルに縁の深いセレブリティが次々に船を乗りつけ、エレガントな装いを披露。キーラ・ナイトレイを筆頭に、アナ・ムグラリスや、おひざ元イタリアのルイザ・ラニエリ、アレッサンドラ・マストロナルディなどがフラッシュを浴びた。「アートが互いに影響し合った時代。服は思想である、という考え方が生まれたのね」と語るのはアンヌ・ベレスト。キャロリーヌ・ドゥ・メグレは、「心にしみたのは、ココ・シャネルに宛てた、ボーイ・カペルの手帳。とてもロマンティック!」。それぞれの視点で、展覧会に魅了されたよう。
CULTURE CHANEL『The woman who reads 読む女』
期間:開催中〜2017年1月8日(日)
会場:カ ペーザロ国際現代美術館(イタリア・ヴェネチア)
Santa Croce 2076, 30135 Venice
Tel. 39-041-27-00-370
開館時間:10時〜17時
閉館日:月、12月25日、1月1日
料金:一般10ユーロ
education@fmcvenezia.it
http://culture.chanel.com/