「私はいつまでもパンクです」"女帝"ヴィヴィアン・ウエストウッドの生涯を振り返る。

Culture 2023.01.05

パンクファッションの第一人者として知られるイギリス人デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドが、2022年12月29日（木）、81歳で死去した。淡々としたファッション界に一石を投じ、衝撃を与えた女性の生涯を振り返る。

イギリスのデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドが2022年12月29日（木）、81歳で死去した。photography: Getty Images

イギリスのファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドが2022年12月29日（木）、南ロンドンのクラパムで家族に囲まれながら安らかに亡くなった。このニュースは、彼女の名を冠したファッションブランドがTwitterで発表したものだ。

“世界はヴィヴィアンのような人を必要としている”と、同ブランドはTwitter上で述べた。奇抜なデザインで知られ、「パンクの女帝」とも呼ばれる彼女は、昨年50年のキャリアを迎えた。夫でクリエイティブ・パートナーのアンドレアス・クロンターラー氏は、PAエージェンシーが発表した声明の中で、彼女に「最後まで仕事をし、彼女は私に多くのことを残してくれた。ありがとう、ダーリン」と賛辞を贈った。

29th December 2022.

Vivienne Westwood died today, peacefully and surrounded by her family, in Clapham, South London.

The world needs people like Vivienne to make a change for the better. pic.twitter.com/YQwVixYUrV
— Vivienne Westwood (@FollowWestwood) December 29, 2022

2022 年 12 月 29 日

ヴィヴィアン・ウエストウッドは本日、南ロンドンのクラパムで家族に囲まれ安らかに永眠しました。

世界はヴィヴィアンのような人々がより良い変化を起こすことを必要としています。

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神よ、パンクの女王を守りたまえ

雑誌「ヴァニティ・フェア」によると、1970年代初頭、英国ダービーシャー州の小さな村に住む20歳の彼女は、パートナーであるセックス・ピストルズのマネージャー、故マルコム・マクラーレンと店を開いたのが野心的な事業の始まりだったという。アンドロジナスな服、スローガンTシャツ、彼女のファッションの常識に挑戦する姿。質素な家庭に生まれた3人の子供の長女であった彼女は、「ピース＆ラブ」世代と決別し、エリザベス女王の顔をデザインした有名なTシャツをデザインした。「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」のヒットで世界的な成功を収めたセックス・ピストルズと親交があり、パンク界に定着した。

1981年にロンドンで最初のショーを行って以来、彼女のショーは次々と行われ、その名声は急上昇し、解放的で確固たるスタイルが知られるようになった。BDSM（緊縛、支配、服従、サドマゾヒズム）な衣装からは年々遠ざかっているものの、彼女のブランドは常に反抗的でトランスグレッシブであることに変わりはない。「今日もやっていることはパンクです。やはり不正に対して叫ぶこと、不快であっても考えさせること。そういう意味では、私はいつまでもパンクです」と、2014年に出版された伝記で彼女は共著者である友人のイアン・ケリーに語った。

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常に大胆な態度

2016年、彼女はブランドのアートディレクションを、25歳年下の夫であるオーストリア人のアンドレアス・クロンターラーに譲った。この変化は家の連続性を保つためだったと、当時は語っていた。

ヴィヴィアン・ウエストウッド2017-2018年秋冬ファッションショーで、アンドレアス・クロンターラーと共に挨拶するデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド。(パリ、2017年3月4日) photography: Getty Images

1992年に下着なしでバッキンガム宮殿を出るところを写真に撮られたように、彼女の大胆な態度は歴史に残るだろう。ヴィヴィアン・ウエストウッドは、女王から大英帝国勲章を授与されている一方、スカートをくるくる回してプライベートゾーンを公開したことでも知られる。

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環境への取り組み

ヴィヴィアン・ウエストウッドは超政治的なファッションデザイナーであることでも知られる。「自分のアイディアをしっかり守ることが喜びだ」と友人のイアン・ケリーに語った。彼女の戦いの中心にあるのは、環境に対する取り組みだ。2008年にはファッション業界に気候変動への配慮を呼びかけたパイオニアでもある。デザイナーとそのパートナーは、生地の端切れや売れ残りを調達してコレクションを制作している。「洋服ばかり買っていてはいけない」と、矛盾を指摘されながらも、消費者に呼びかけていた。彼女のもうひとつの大きな戦いは、ロンドンのエクアドル大使館で7年以上難民として過ごした後、2019年に逮捕されたウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジの弁護である。同年、彼女はパレードで「政府の腐敗と正義の死」を糾弾した。その1年後、彼女はロンドンの裁判所の前に巨大な檻の中に現れ、身柄引き渡しに抗議した。

「私は、自分の立場がどれだけ信用に足るかを知っているからこそ、いつも服装で自分の主張を伝えています」と、2016年にフランスで初めてオープンしたショップの傍らで、マダムフィガロのインタビューに答えた。

ヴィヴィアン・ウエストウッド、核兵器反対デモに参加。(2021年9月14日、ロンドン) photography: Getty Images

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賛辞が殺到

訃報を受けてから、公人たちがSNSで彼女を偲ぶ最後の言葉を発信している。元スパイスガールでファッションデザイナーのヴィクトリア・ベッカムは、インスタグラムのストーリーで、「伝説のデザイナーで活動家のレディ・ヴィヴィアン・ウエストウッドが亡くなったと聞いて、とても悲しい」と述べた。「この信じられないほど悲しい時に、私の思いは彼女の家族と共にあります」と付け加えた。「RIP、この事実を受け入れるのは辛い......」と、歌手のビリー・アイドルは述べた。

「偉大なるヴィヴィアン・ウエストウッドを偲ぶ。ユニークで輝かしく、妥協を許さない存在。ありがとう、ヴィヴ」とテレビ司会者のジョナサン・ロスは、twitterで反応した。政治の世界でも同様の反応が起こった。英国緑の党の代表であるキャロライン・ルーカスは、SNS上で、このデザイナーの環境保護の戦いを賞賛し、「伝説であり、大きなインスピレーションであり、素晴らしく創造的で、常に人々と地球のために献身的な運動家」であると述べた。

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【写真】パンク、官能的、挑発的、ヴィヴィアン・ウエストウッドのファッション

2022-2023年秋冬ファッションショーのクロージングセレモニーに登場したヴィヴィアン・ウエストウッドとベラ・ハディッド。(2022年3月5日、パリ)

photography: Getty

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ヴィヴィアン・ウエストウッドの2020-2021年秋冬ショーで、ベルトにナイフをぶら下げたウェディングドレス姿のベラ・ハディッド。（2020年2月29日、パリ）

photography: Getty

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ヴィヴィアン・ウエストウッドがデザインした数々のエンパイア・ドレスのうちのひとつ。2006年春夏のショーでは、すべてのモデルの顔に瘡蓋が施された。デザイナーであり、パンクのアンバサダーである彼女のメッセージ。

photography: Getty

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1994-1995年秋冬ショーにフェイクファーのコートとTバックで登場したカーラ・ブルーニ。（パリ）

photography: Getty

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ロンドン・ファッションウィーク（1994-1995年秋冬）のヴィヴィアン・ウエストウッドのショーでトップレスとコルセットを着用したケイト・モス。

photography: Getty

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ヴィヴィアン・ウエストウッドは、ジュリアン・アサンジの顔がプリントされたTシャツを見せ、「I am Julian Assange, one of the causes he supports the designer（私はジュリアン・アサンジ、デザイナーを支援する理由のひとつ」とメッセージを添えている。

photography: Getty

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