「君主制のイメージを傷つけたことを許していない」和解を望むハリー王子に対するウィリアム皇太子の姿勢、王室専門家が解説。
10月20日(火)の「GQ」誌のインタビューで、ハリー王子は、父チャールズ3世や兄ウィリアム皇太子との対話を再開したいという希望を改めて表明した。しかし、複数の王室専門家は、こうした発言はリスクを伴う戦略だと指摘している。

激しい決裂を経て、長年にわたって会話が途絶え、互いに理解し合えない状態が続いた家族と、再び和解することは本当に可能なのだろうか。対話を始め、和解を呼びかけるだけで、両者の間に生じた深い溝を埋め、健全で穏やかな関係を新たに築き直すことができるのだろうか。2020年に「ザ・ファーム(英国王室)」を突然離脱して以来、ウィンザー家との関係が冷え切っているハリー王子は現在、途絶えていた対話を再開しようと、あらゆる手を尽くしている。カリフォルニアでの6年間にわたる事実上の亡命生活を経て、突然英国へ帰国したことで、王子の中には切迫した思いが芽生えたようだ。それは、父チャールズ3世と兄ウィリアム皇太子との関係を修復したいという願いである。ウィリアム皇太子は、2023年1月にハリー王子の回顧録『SPARE』が出版されて以来、弟とは一切言葉を交わしていない。将来の英国王となるウィリアム皇太子は、ハリー王子が王室の内情を公の場で暴露し、君主制のイメージを傷つけたことを、いまだに許せずにいるのだ。ハリー王子は著書の中で、とりわけ妻メーガン夫人に対する王室の冷たい態度や思いやりのなさを批判していた。
それから3年が経ったいまも、ハリー王子は、かつてウィリアム皇太子と分かち合っていた兄弟の絆を取り戻したいと願っている。当時、ふたりの絆は揺るぎないものに思われ、どんな嵐や危機にも耐えられるほど強いものだと考えられていた。ハリー王子は、2025年5月に応じた「BBC」のインタビューでも、父チャールズ3世と兄ウィリアム皇太子との和解を望む気持ちを明らかにしていた。そして今回もその思いは変わらず、8月末に英国へ帰国して以来、一度も顔を合わせていない家族に対し、改めて歩み寄る姿勢を示している。「世の中でも、私たち一人ひとりの人生でも、すでにさまざまな問題が起きています。だからこそ、家族の問題にまで頭を悩ませる必要はないと思います」10月20日(火)、ハリー王子は「GQ」誌の動画インタビューでこのように語った。その際、具体的な名前は挙げなかったものの、「一部の人々がうまくいくことを望んでいない」と嘆いた。つまり、3年間にわたる冷え切った関係を経て、ウィリアム皇太子との対話がようやく再開されることを望んでいない人々がいるという意味だ。「私は関係を修復したいと願っています。世界でさまざまなことが起きているいま、最も大切なのは和解することです。それこそが何よりも重要なのです」と、ハリー王子はさらに強調した。
和解には「双方の歩み寄り」が必要
理屈の上では、ハリー王子の言葉に異論を唱えるのは難しいだろう。王室であろうとなかろうと、家庭内の平和を望まない家族などいるだろうか。しかし、そうした平和を実現するには努力が必要であり、まずは関係が壊れてしまったことについて、自分自身にも責任の一端があると認めなければならない。英語圏のメディアでは、複数の王室専門家が、ハリー王子は「GQ」誌のインタビューで、家族を傷つけたことについて謝罪しておらず、和解に向けた具体的な解決策も示していないと指摘している。
英誌「ハロー!」に寄稿した英国人コラムニストのエミリー・ナッシュは、ハリー王子が「肝心な点を見誤っている」と指摘する。彼女によれば、ハリー王子は家族に対して過去のわだかまりを水に流すよう求める前に、まず信頼関係を修復する必要があるという。そのためには、この6年間に自分自身も過ちを犯してきたことを認め、今後、家族との私的な会話の内容を二度と公にしないと約束すべきだとしている。ナッシュ氏は、和解には「双方の歩み寄り」が必要であると、もっともな指摘をしている。つまり、家族がいつ過去のわだかまりを水に流し、前に進むべきかを、ハリー王子が一方的に決めることはできないということだ。
「ザ・デイリー・ビースト」のジャーナリスト、トム・サイクスも同様の見解を示しており、ウィリアム皇太子は、ハリー王子による今回の和解に向けた拙いアプローチに対して、おそらく「沈黙」を貫くだろうと指摘している。同氏は「ページ・シックス」で、「そもそも問題を引き起こした本人が、公の場で和解の必要性を訴えていることこそ、ウィリアム皇太子にとって到底受け入れがたいことなのです」と厳しく批判し、「和解の責任をウィリアム皇太子に押し付けることは、関係を修復するための最善の方法とは言えません」と語った。両者の間に依然として激しい緊張が続いており、ハリー王子がウィリアム皇太子に対して極めて慎重に振る舞わなければならない状況にあることは、別の出来事からも明らかだ。「GQ」誌のSNSでインタビュー動画が公開されてからわずか2時間後、ハリー王子のチームは公式声明を発表し、王子の発言には決して「ウィリアム皇太子を批判する意図はなかった」と釈明したのである。
トム・サイクスによれば、ハリー王子の発言は兄ウィリアム皇太子を「苛立たせる」可能性があるという。さらに、インタビューが公開されたタイミングも、王室側の反感を買っている。このインタビューが公開されたのは、チャールズ3世とカミラ王妃が、国賓として英国を訪れたオマーンのスルタン(君主)をウィンザー城で迎えていた、まさにその日だった。ハリー王子は、本人の主張とは裏腹に、今回も王室の公務から人々の関心をそらし、家族との確執に世間の注目を集める結果となった。
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Solene Delinger(madame.lefigaro.fr)
- translation: Hanae Yamaguchi