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「パリ変わらぬパリ、世界でいちばん美しい街」――
そんなパリへの愛情がいっぱい詰まった歌をタイトルにした、巨匠エリオット・アーウィット氏の写真展が、いまシャネル・ネクサス・ホールで開催中だ。
『PARIS. FRANCE. 1970』 © Elliott Erwitt / Magnum Photos
フランスを愛する両親のもとパリで生まれ、これまで数え切れないほどパリを訪れているアーウィット氏。第二次世界大戦直後から現在にいたるまで、まさに古きよきパリと新しいパリを記録し続けてきたなかから、60点ほどの作品を厳選。氏のウィットに富んだまなざしで捉えられたパリっ子や犬たち、街並みは、その空気や匂いまでも感じられそうなほど生き生きとしている。
展覧会に合わせて、アーウィット氏が来日。落ち着いた視線のなかに時折チャーミングでいたずら好きな輝きを見せながら、パリについて、作品について語ってくれた。
エリオット・アーウィット(Elliott Erwitt)
1928年、パリ生まれ。ミラノで幼少時代を過ごした後パリに戻り、39年に家族とアメリカに移住。LAで写真を、NYで映画を学んだ後、49年に写真家として活動開始。53年、25歳の若さでロバート・キャパに推薦されマグナム・フォトに参画。70年代からはドキュメンタリー映画やテレビ番組も手がける。ジャーナリスティックなエッセイからコマーシャル、ファッション撮影まで、幅広く活躍している。
――今回の展覧会のテーマは”パリ”ですね。アーウィットさんがこれまで何度も訪れているパリで、必ず立ち寄る場所はありますか?
「私はいつも同じホテルに泊まっているんだ。ふたつあって、ひとつは自分で宿泊費を払い、もうひとつはクライアントが払ってくれる。どっちがいいホテルかは想像に任せるよ(笑)。ひとつは私のオフィスに近く、もうひとつは、活気があって好きな6区にある」
――いまシャネル・ネクサス・ホールに展示されている作品は、写真集『Elliott Erwitt’s Paris』の中から選んだそうですね。どのような基準で選ばれましたか?
「今回は60点ほど展示しているけれど、写真集の中にはその2倍も3倍もの作品がある。写真集に載せた作品は全部好きだから、選ぶのに特に基準があったわけではない。あえて言えば、選んだ作品はその中でも代表的だと思ったものだ」

シャネル・ネクサス・ホールでの展示風景。 photo by Mariko Tagashira
――展覧会のタイトルは「パリ変わらぬパリ、世界で一番美しい街」という歌にちなんで付けられたとか。パリの”美しさ”とは、たとえばどのようなものだと思われますか。
「建築、光、セーヌ川・・・すべてが美しい。そして言葉も美しいね」
――5年前にこのシャネル・ネクサス・ホールで行った写真展のテーマは『パーソナルベスト パーソナルチョイス』でした。今回展示されているパリの写真のなかから、あえてベストを1枚選ぶとしたらどの作品でしょう?
「難しいね。自分の子どもたちのなかで誰がいちばん好きか、と聞かれるようなものだからね(笑)」
――最近パリを訪れたなかで、何か興味深いエピソードはありますか?
「とびきりおもしろいエピソードがあるよ! カメラを盗まれた。パリに行くときは十分気をつけなければいけないよ」
――私も財布を盗まれたことがあります。
「そうか、私たちには共通点があったね!」
『PARIS. FRANCE. 1989』 © Elliott Erwitt / Magnum Photos
――アーウィットさんはオフィシャルサイトでのインタビューで、日本も訪れるのが好きな国だとおっしゃっていましたね。
「もう何年も前から日本を訪れている。映画を撮ったこともあるんだ。訪ねたい友人がたくさんいるし、拠点にしているオフィスもある。日本の好きな点? まだスリに遭っていないこと(笑)。日本に来ると、毎回いろんな発見がある。私にとってはエキゾティックな国だ。それから、私は宝塚歌劇のファンなんだ。来日するといつも観にいくし、20年ほど前には宝塚音楽学校のドキュメンタリーも撮ったよ」
――そうなんですね。いま、宝塚歌劇でロバート・キャパさんをテーマにした作品が上演されているのはご存知ですか?
「知っているよ! でも残念ながら、東京公演は私が日本を発った後なんだ。(madameFIGARO.jp編集部が持参した公演プログラムを渡すと)これをくれるの? ありがとう、午後のすばらしい楽しみができたよ! でも主演の彼女は、キャパに似ていないね(笑)。宝塚歌劇を観たいし、4月には三越で展覧会もあるし、また日本に帰ってこなければいけないね」
――ぜひ、またいらしてください! 日本で会ってみたい人、訪れてみたい場所はありますか?
「私のすばらしい友人、濱谷浩さん(写真家。1960年にはマグナム・フォトの日本人初の寄稿写真家となった)。たくさんの時間を一緒に過ごし、いつも会うのを楽しみにしていた友人だ。彼はいま天国にいるから、会うのは難しいけれどね。場所なら、何度も訪れているけれど、京都。私の父の遺灰は京都にあるんだよ」
――ところで、アーウィットさんの杖に付いているものは何ですか?
「クラクションだよ。歩いているとき、人をよけたくなったら鳴らすんだ(笑)」
―エリオット アーウィットが見つめたパリ―』
開催中~2月29日(水)
シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
開)12時~20時
会期中無休
問い合わせ先:シャネル・ネクサス・ホール事務局 Tel. 03-3779-4001
http://www.chanel-ginza.com/
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/series/interview/post-1237.html