サウスロンドンの若き歌姫、ジョルジャ・スミス。

インタビュー

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コスモ・パイク、レックス・オレンジ・カウンティ、ラムズ、トム・ミッシュら、サウスロンドンを拠点に活動する新鋭たちが揃って来日し、可能性に満ちあふれたライブを見せた今年のサマーソニック。とりわけ現在21歳のR&Bシンガーソングライター、ジョルジャ・スミスは、強さと繊細さを同居させたボーカルと華と色気のある堂々たる佇まいで観客たちを魅了。過去と未来をソウルで繋ぐ新たなスターの輝きを印象付けた。

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サマーソニックの翌日、ホテルの一室に爽やかな笑顔で現れたジョルジャは、話し方が柔らかで、気品もあり。貫禄すら漂っていたステージとはまた異なるナチュラルな魅力にあふれた21歳だった。

――サマーソニックでの日本初公演。熱狂的な歓声を上げていた人の多くが、あなたと同世代と思しき若い女性たちでした。彼女たちはあなたのどういうところに共感しているのだと思いますか?

「歌詞に共感してくれているんだと思う。彼女たちが経験したり感じたりするようなことを私も経験して曲にしているから。あとは私が普通の女の子だからじゃないかしら。モデルみたいにそこまで痩せてるわけでもないし(笑)」

――出身はイギリスのウェスト・ミッドランズに位置するウォルソール。デビューシングル「Blue Lights」のMV(曲自体は2016年発表だが、アルバムリリースにあたって新しいビデオが制作され、今年の春に公開された)はそのウォルソールの町で暮らす男性たちの日常をリアルに捉え、歌詞ともリンクしたものでした。ウォルソールという町に生まれ育ったことは、あなたの創作にどのように影響していますか?

「サウスロンドンに住んで1年半くらい経つけど、それまでは生まれも育ちもウォルソールで、ほかの土地に住んだことがない。だからほかの場所と比べてウォルソールの影響を語ることはできないけど、その町で起きたこと、見てきたことを書いているわけだから、当然、環境による影響は大きいわ。クリエイティブな人も住んでいて、私の母はジュエリーデザイナーだし、写真家の友だちもいる。ただ、やっぱり小さな町だから、そこから出ていきたいという気持ちがパッションに繋がったりもするの。それがあったから自分もサウスロンドンに移ったわけだし、いまでもその気持ちを持ち続けているわ」

――町から出ていきたいと考えている人が多い?

「それは人によりけりで、みんなが町を出たいと思っているわけではない。母はウォルソールに生まれ育って、ロンドンにもニューヨークにもトルコにも住んだことがあるけど、ミュージシャンの父は一度も町を出なかった。私もいずれはウォルソールに戻りたいと思っているの」

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――ファーストアルバム『ロスト・アンド・ファウンド』は、あなたが16歳から約3年の間に書いた曲群によってできているそうですが、当初と最近で、歌詞の書き方は変わりましたか?

「初めの頃はそんなに恋愛経験もなかったから、他人を観察したり、誰かとの話から自分なりにイメージを膨らませて書いたりしていた。いまは恋愛含めていろんな経験をしているから、書けることも増えたわ。それは3年ちょっとの間で大きく変わったところ。ただ、書き方自体はそんなに変わっていない。以前もいまも、私はパーソナルな視点で歌詞を書いているの」

――最も影響を受けたミュージシャン、シンガーソングライターは誰ですか?

「エイミー・ワインハウス。彼女の書く歌詞は信頼できる。なぜなら彼女は本当に自分に起きたことと、本当に思っていることしか書かなかったから。自分の心を曝け出して書いていたでしょ。そこに嘘がないということが、私にはとても大事に思えるの」

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――エイミーとは違う部分もあるけれど、あなたの曲もペシミスティックだったりブルージー(憂いを帯びた)だったりするものが多いですよね。もともとそういう物事の捉え方をする性格だったのか、それとも何かきっかけがあってそうなったのか、どちらですか?

「どうしてか、悲しい曲を書くのが前から得意なのよ(笑)。明るく話している自分も本当の自分なんだけど、曲を書くとなると感傷的だったり悲観的だったりする自分が出てくるの」

――あなたもエイミーと同じように心の内を曝け出して歌詞を書いている。でも感情ばかりを直截的に書くのではなく、「Blue Lights」にしても「LIFEBOATS(FREESTYLE)」にしても非常にストーリーテリングの技法に長けている印象を持ちました。そのスキルはどのように磨いていったのですか?

「私は英文学を専攻していたから。本を読むのも好き。“Beautiful Little Fools”(2017年発表のEP曲。アルバムには未収録)は、“グレート・ギャツビー”(映画『華麗なるギャツビー』の原作。F・スコット・フィッツジェラルド作)からインスパイアされて書いたものよ。児童作家のジャクリーン・ウィルソンの本にも影響を受けた。彼女の本はどれも表紙がすごく可愛いの。だから私もまず表紙を描いて、そこから小説のように書こうとトライするんだけど、いつも“チャプター1”って書いたところから先に進まないの(苦笑)」

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――ファーストアルバムでサウンドに関して意識していたのは、どういったことですか?

「“ライブ”をキーワードにしてバンドやプロデューサーとスタジオに入ったわ。リアルでライブ感のある音、作り込みすぎない音にしたかった。あと、部屋の中で鳴っているような音。ソランジュのアルバムがそんな感じだったでしょ。なるべくナチュラルにしたかったの」

――デビューアルバムがヒットしたことで「次はオレにプロデュースさせろ」と手を挙げる大物プロデューサーもたくさん出てくるだろうと思われますが、誰にでも頼めるとしたら次は誰に手がけてほしいですか?

「来年になったら少し時間がとれるので新しい曲作りをしようと思っているんだけど、また自分のバンドメンバーたちと一緒に作りたい。お互いのいいところをわかっているからね。私はいまの仲間たちを信頼しているの。ビッグなプロダクションには興味ないわ」

――誰かとコラボレーションするのはどうですか?

「それはもちろん、できるならやってみたいわよ。フランク・オーシャンと一緒に曲を作ってみたい。あと、いつかシャーデーと一緒に何か作れたら最高ね。私が歌わなくてもいいの。誰かのために曲を書くということをやってみたいわ」

――先頃アレサ・フランクリンが亡くなりました。どんなことを考えましたか。

「子どもの頃、よく母がアレサのレコードをかけていたの。それから通っていたパフォーマンススクールで、アレサの歌っていた“I Say a Little Prayer”を歌ったりもした。だからもちろん悲しかったけど、でも彼女の残したレガシーはこれからもずっと残る。私たちが彼女の音楽と彼女のことを忘れなければいいんだって、私はそう思うの」

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――最後にファッションのこだわりを教えてください。

「母の作ったジュエリーはいつも身につけてるわ。服はヴィンテージが好き。新品より安く買えるし、かっこいいものがけっこう見つかるからね」

Interview et texte:JUNICHI UCHIMOTO

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