個展開催中の本人に、26のアートな質問!【前編】

香取慎吾が描き出すのは、心の闇?

インタビュー

現在、豊洲のIHIステージアラウンド東京で開催中の香取慎吾によるアートエキシビション『サントリー オールフリー presents BOUM!BOUM!BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』。アート方面でも躍進を遂げる香取慎吾が、自身の内面を照らし出すディープな質問に答えます。

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フランス語で「ドキドキ」を意味する今回のメインオブジェ『BOUM! BOUM! BOUM!』の前で。

Q1.今回の初個展のタイトルがフランス語ですが(Boum Boum Boumは心臓の音を表すオノマトペ)、そこにはどんな想いが?

A1.僕の初の個展がパリのルーヴルだったから、その凱旋でもあるし、新作以外はすべてルーヴルで発表した作品なので。今回の展覧会は、ルーヴルの続きというよりは、進化系。それもあってタイトルにはフランス語を使いました。

Q2.冒頭のムービーにある「芸術は爆発だ!」という概念は、子どもの頃から意識していたものですか?

A2.いや、この部分は映像ディレクターの児玉裕一さんのアイデアです。実際にムービーを作る前には打ち合わせをしましたが、その後はもう児玉さんにお任せ。僕は児玉さんの世界観が大好きなので、児玉さんが創ってくれるということで、僕からはもう何ひとつありません、みたいな感じです。もちろん、完成したムービーを観て、僕なりに変えてほしい部分があったらお願いできるけど、変更を希望する箇所はひとつもなかったな。

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トラッドなグッチのジャケットに身を包んで撮影。

Q3.香取さんが絵を描き出したのはいつ頃ですか?

A3.みなさんと一緒ですよ。子どもの頃、勉強よりも教科書やノートの隅に落書きをするのが好きで、それがノートに収まらなくなり、机にも描くようになって広がっていった。そして、もっと大きなものに絵を描くようになりましたね。楽しいから描いていた。そしていまもその延長です。

Q4.大きな絵を描き始めた頃は、ダンボールの裏に描いていたそうですね?

A4.そうなんです。以前はキャンバスってものを知らなかったから。10年くらい前は紙とかに描いていたんだけど、もっと大きな絵が描きたくなって、そこでダンボールに描くようになりました。僕の中では、子どもの頃の落書きからいままで、すべて繋がっていて、絵を描くのは楽しいという気持ちがベースになってます。僕の想像を超えていたのは、今回、回転する劇場で国内初個展をすることになったということですかね。

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段ボールに描いていた頃の作品たち。

Q5.「個展を開くのが夢だった」とお話になっていましたが、具体的に“夢”として意識し始めたのは、いつ頃ですか?

A5.5〜6年前からですかね。10年くらい前から、ダンボールなどに大きな絵を描き始めていたけど、その頃から「いつか観てほしい」とは漠然と考えていたと思う。いまではキャンバスに描くことが多いですが、ダンボールもいいんですよ。またダンボールに描きたい欲望が高まっています。今回展覧会に出しているダンボールに描いた絵も、僕が保管していた時はくの字に曲がってしまっていて。スタッフたちがとてもきれいに伸ばしてくれました。

Q6.香取さんは、歌もダンスも絵も表現方法のひとつだと話していらっしゃいました。絵での感情表現は、ほかと異なるところはありますか?

A6.自己表現という部分は一緒ですが、絵はより自分のものという感覚があります。たとえば、歌に関しては詩を書いたことはあるけれど、曲も自分が作って、衣装も自分で縫って、振り付けも考えて、ということはしたことないんです。それに比べて、絵に関しては筆を入れた瞬間から完成するまで、僕ひとりの頭で創っているから、いちばん自分の中から全部出てくるものだと思う。

Q7.絵のテクニックみたいなものは、経験から身につけていったのでしょうか?

A7.そうですね。すごく簡単なことなのに、人から学んでない分、発見の連続でしたね。まずは下地を塗ってから絵を描けばいいってことも、経験から学びました(笑)。

Q8.カラフルな絵が多い中、ドクロなどをモチーフにしたダークな配色のものも目を引きました。香取さんの絵には、その時の感情が強く影響したりしているのでしょうか?

A8.もちろんそうです。僕の場合、この絵を描こうと思い筆を取ることはないです。たとえば風景画のように、「この景色を描きたいから……」ということはない。ほとんど頭の中にあるものだし、下描きもしない。こんな絵を描こう、この作品のタイトルはこうしよう、ということも考えてないですね。今回の展覧会にある作品のタイトルも後付けです。

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ところどころに見られる、ダークな色やモチーフ使いの作品。

Q9.世間が考える香取さんのイメージは、明るくて、いつも笑顔で前向きといったものだと思うのですが、描かれている絵ではダークなものもありますよね。心の中にある暗いものを絵にぶつけられているようにも見えるのですが。

A9.そうですね。あると思います、すごく。人から「この絵には闇がありますね」と言われたりすると、「これでもそうですか?」って思うこともあります。個展には出してなくて、僕の判断でこれはまずい、お見せできないと判断したものもありますから。将来的にはわかりませんが、いまは公開しないほうがいいかなと。

Q10.絵を描くことは香取さんにとって、ストレスを発散している部分もありますか?

A10.ストレスを発散しているというか、それだけじゃなくて内側にあるものをリリースしているのは確かです。描くことによって力を得るという、パワーチャージしている部分もあるんですよね。なので、ストレス発散というのは、半分正解ってところでしょうか。

Q11.何かを創作することは、香取さんにとって前進していくことなのでしょうか?

A11.それはそう。でも、それはアートに限らず、コンサートの演出をしている時もそうだし、アベマTVで月に一度、7.2時間の番組を作るためにも、スタッフと何度も打ち合わせを重ねるし。何かを創っていくことに関しては、すべて同じですよ。

Q12.今回、この個展を準備するうえで、特に楽しかったプロセスは?

A12.劇場に自分の絵が飾られ始めて、映像ディレクターの児玉裕一さんが手がけてくれたムービーも完成して、実際にモニターに映した時に、このタイミングで扉が開く。その時の照明やスモークの感じとか、その辺りを演出するのがとても楽しかったですね。個展というよりは、ショーを作っている感覚だったけど、いちばん近いのはアトラクションという言葉ですかね。自分ではおもしろいって思っているんだけど、周囲にあまり伝わっていない試みとして、今回、絵の前に白線を引いてないんですよ。

Q13.白線がないから、すごく近くまで作品に寄れて、触れてしまいそうだ!と思いました。どうして白線をなくしたんでしょうか?

A13.自分でも、「なんで僕は白線を引かないんだろう」と思ったりして(笑)。ルーヴルの時もそうしました。もし、白線を引いていたとしても僕は取り除いていたと思う。僕がこれまで行った美術館で、あんなに目の前で作品を観た経験はないな(笑)。ギャラリーとかならわかるけど、この規模で個展をやって白線を引かないって……。
それは、より近くで作品を観てほしいって気持ちもあるんですが、空間を全体的に捉えた時に、作品の前に白線があるのが嫌なんです。スモークや照明をこうしたい、に繋がる演出的な部分でもある。今回は空間も含めて作品だし、あれだけ絵やオブジェを飾ると、会場に相当量のラインが引かれることになる。それも嫌だったんです。逆に心配なのが、うっかり作品に触ってしまった人がへこんだ気持ちで帰ってほしくない。子どもが触っちゃっても、お母さんたちは怒らないでほしいです。

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どのアートの前にも白線がなく、間近で鑑賞することができる。

>>>つづきは(後半の記事)はこちら

『サントリー オールフリー presents
BOUM!BOUM!BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』


会期:開催中~2019年6月16日(日)
会場:IHIステージアラウンド東京(東京都江東区豊洲6-4-25)
開)10時、11時15分、12時30分、13時45分、15時、16時15分、17時30分、18時45分、20時 ※各回350名ずつ、120分間の入れ替え制。
休)4/2、16、5/7、21、6/4
料)一般¥3,500 ※長期公演のため、チケットは3期に分けて発売。
tel:0570-084-617(10時~20時)
http://boum3.com

photos:MASATO MORIYAMA (TRIVAL) , stylisme:KAYO HOSOMI, coiffure et maquillage:TATSUYA ISHIZAKI, texte:TOMOKO KAWAKAMI, 衣装協力:グッチ

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