個展開催中の本人に、26のアートな質問!【後編】

香取慎吾、「僕はアイドル」の真意とは。

インタビュー

現在、香取慎吾による日本での初個展が、豊洲のIHIステージアラウンド東京にて開催中。昨年9月にはパリのルーヴルでも個展を開き、アーティストとしての地位を確立した香取だが、今回の内覧会では「僕はアイドルなので」とコメント。プライベートも垣間見えるディープな質問で、その真意を探ります。

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Q14.以前、ヤンチェ_オンテンバールで取材させていただいた時にもお話されてましたが、香取さんは服も本も捨てられないタチだそうで。作品も手元に置くとなると所有するものの数が増え続けるわけですよね?

A14.いまもう、本当に本気を出し始めまして、倉庫を探してます。ここに展示してあるものは全部、僕のもの。今回のために大きなオブジェも多く作ったし、東京ミッドタウン日比谷にある大きな絵も、この展覧会が終わったらすべて僕の元に戻ってくるんです。なので、本気になって倉庫を6月までに準備しますよ。
実は、初めは都内で探していたんですが、全然見つからなかった。それで今回の展覧会の図録のために、現代美術家の会田誠さんと対談させてもらった時に会田さんにご相談したんですよ。そしたら、それは都内から離れたほうが、いい倉庫がいっぱいあるから、とのアドバイスをいただきまして、やっと踏ん切りがつきました。よし、もう遠くに倉庫を借りる!と決心しました(笑)。

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今回の個展のために新たに制作した、大きなオブジェとともに。

Q15.この展覧会のために、膨大にある過去の作品から、展示するものを厳選されたわけですよね?

A15.いや、新作以外はルーヴルに飾ったものなので、その時のスペースに収まる量の作品を選んだって感じですかね。あと、香港で描かせてもらった壁画は持ってこられないから、レプリカを作りました。あれはかなり完成度が高いですよ。

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右手前が、香港の中環地区にある香取のストリートアートのレプリカ。

Q16.今回発表している作品は、購入可能ですか?

A16.売ってないです。僕の作品が人の手に渡り、誰かの家のリビングを彩る、いつの日かそんなこともあったらいいなとは思うけど、そうすると自分の手元から離れてしまうなぁと。

Q17.ご自宅のプライベート空間にも、ご自身の作品を飾られていますか?

A17.いちばんのプライベート空間である家には飾ってないです。いろいろなものと切り離した空間にしたいからだと思います。アトリエと呼んでいる場所には、飾ってありますよ。いちばん私的な住空間には、絵もそうだけど、仕事関係のものは一切置いてない。そのスペースに本棚はあるけれど、お芝居の時の台本とかも並べない。そこにはファッションの本が並んでいます。アトリエの本棚には、写真集や画集、洋書などアート関係の本が置いてあります。

Q18.ファッションについては、ヤンチェ_オンテンバールを始めてからは仕事にもなっていますが、むしろ仕事ではない部分もある、ということでしょうか。

A18.そうですね。ファッションは、僕にとって仕事と趣味の境界線が曖昧になっているもののひとつ。それでヤンチェ_オンテンバールを始めることにしたし。絵もそうかな。今回の個展はヤンチェと同じくらいのテンションで、仕事であり、自分の好きなこと、原動力でもあるって感じです。

Q19.香取さんはとても多作でいらっしゃいますが、忙しい日々、どのように絵を描く時間を確保されているのですか?

A19.そこもおもしろいと思うんだけど、絵の仕事って自分でスケジュールを決めないといけないんですよ。いつだってクリエイション意欲が湧いてくるわけじゃないし、それをマネージャーに管理してもらうわけにもいかない。だから、大阪や仙台のファンミーティングにも持っていって、ホテルとか楽屋で少しの時間でも作業を進めていた。それにすごく救われましたね。
で、仙台から帰ってきて、昨日と一昨日はこの会場(IHIステージアラウンド東京)にいたんですが、1日12時間くらいずっと描いていました。それも自分で時間の采配をしなくてはいけない。
たとえば、このオブジェの下地を塗ったら、乾くまでは続きの作業はできないんですよね。だから、その時間にほかのオブジェの色を塗って、前に色付けしたものの乾くのを待って、それから色を足していくみたいな。自分であれこれと組み合わせを考えながら進めていくのも楽しかった。
とはいえ、その工程をすべてひとりでやっているんじゃないんです。いまの僕には、優秀なブレインがいますから。ルーヴルの設営時から一緒に仕事をしている美術スタッフがいまして、いまは彼らがヤンチェ_オンテンバールのショップの内装も担当してくれています。
今回の個展全体も彼らがサポートしてくれているのですが、いまでは彼らのほうが僕より僕の絵に精通しているくらいでして。夜中に何かアイデアが閃いた時は、マネージャーを通すことなく、美術スタッフさんに直接連絡しています。そのほうが話も早いから。彼らはすべて頭に入っているから、僕のほうが話している時に混乱するくらい(笑)。
音楽やコンサートの仕事は、いつもずっと一緒にやってきているブレインがいるわけですよ。でもアートに関しては、これまでは僕がひとりでやっていて、ルーヴルから急に心強いブレインが手伝ってくれているので、それは本当に大きいし、心強い。

Q20.これまでアトリエで好きに絵を描いていた感じから、ブレインたちのサポートを受けて本格的な展覧会を開くようになったいま、ご自身で変わった部分はありますか?

A20.以前は絵の具を取りに行く時間やもろもろの細かい工程もすべて自分で考えながら作業をしていたけれど、いまは僕がほかの作業に取り掛かると、それに必要な絵の具なども美術スタッフがさっと移動してくれるんです。本来、美術スタッフにそこまでお願いするのは……と思ったりもするんですが、彼らはすでに僕の感覚を理解してくれているので、次にどんな色が欲しいか言わないでもわかってくれる。
さらに、下のほうを塗っていて、そろそろ上に移動しようかな、と思ったタイミングで梯子が出てきたりするんですよ。本当に助かります。時間に換算するとわずかなものなのですが、その段取りを自分で考えないでよくなる結果、作品に関する思考が途切れないというか、僕は作品作りに没頭することができる。
ほかの芸術家の方についてはわからないけど、僕がいまご一緒している美術スタッフは、CMや映画でかつてともに仕事をしていた人たちで、アートといっても芸術畑の人とは違います。それもあっての個展なんだけど、ステージを作っているような感覚がシェアできたのだと思う。彼らのサポートがあったからこそ、僕自身すごく強い力を発揮できていると思います。

Q21.絵の具などの画材はご自分でオーダーされるんですか?

A21.そうですね。自分でも発注しますけど、最近では美術スタッフも手配してくれたりします。

Q22.ほかのお仕事をしている最中に「いま、絵が描きたい!」という衝動に襲われることはないですか?

A22.結構、そんな感じのことが多いです。それこそダンボールに描いた絵とかは、バラエティ番組を収録している合間に描いたり、お弁当が届いた箱に描いたり、完成しなくてもそのまま持って帰って続きを描く、みたいな。自分でもなんだかわからないけど頭に浮かんだものを描いているから、そこに吐き出さないと頭の中が破裂するんです。なので、現場にいても一度、頭の中から取り出しておいて、続きは後で、みたいな。

Q23.縁起の悪い話で恐縮なのですが、香取さんが亡くなった後に、いま公開されていない絵も誰かの手に渡る可能性があるわけですよね。そんなことを考えることもありますか?

A23.それも踏まえて、僕が言っている“パーフェクト・ビジネス・アイドル”って感じですかね。全部見せているようで、見せていない部分もあるからこそ、見ていておもしろい存在というか。それこそ、本当の僕というと、まだまだみなさんの知らない部分がいっぱいあるから。

Q24.今回披露された新作では、ご自身がテーマになっているものが多かったですが、自分の身体のパーツで気に入っている部分ってあったりしますか?

A24.遊び心で作ったんですよ。でも、後から思うに、たとえば僕の瞳の画像を拡大して、そこに絵を描いたんですが、あれを目の専門家が観ると何かがわかるんだろうな、なんて思うと楽しいなと。美容師さんが僕の髪の毛で作った作品を観ると、また違った専門的な感想が生まれるんだろうし。そういうのもおもしろいな、と思います。

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「口」をテーマにしたスペースに展示された作品。

Q25.そもそもなぜ、自分の身体を題材にしてみようと思ったんですか?

A25.僕は、自分自身がアートだと思っている部分はあります。長い間、アイドルをやってきて、いまもそうですが、自分が素材でモチーフというか。だけど、歌でもお芝居でも、ほかのところで引き出したくても出せないところを、僕自身が僕を使ったら引き出せる、みたいなね。

Q26.今回は、アイドルとしての香取慎吾を追いかけてきた人たちはもちろん、そうでない人たちでも楽しめる内容の展覧会になっていると思いました。そのあたりは、より多くの人に届くような内容に落とし込むなど、考慮されましたか?

A26.自分で言うのも何だけど、僕自身の“ブランド力”みたいな。香取慎吾が絵を描くのは知らなくても、展覧会に来たら香取慎吾のめっちゃ大きい歯型があって、「あ、これ香取慎吾の歯型なんだ!」と、そんな感じで楽しんでもらえたりするかなって。あと、僕の服を詰めて作った大きな壁とかは、ファッションが好きな人も「あ、これあそこのブランドのやつね」なんて言いながら観てもらえると思うし、いろいろな楽しみ方をしてもらえたらうれしいです。

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『サントリー オールフリー presents
BOUM!BOUM!BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』


会期:開催中~2019年6月16日(日)
会場:IHIステージアラウンド東京(東京都江東区豊洲6-4-25)
開)10時、11時15分、12時30分、13時45分、15時、16時15分、17時30分、18時45分、20時 ※各回350名ずつ、120分間の入れ替え制。
休)4/2、16、5/7、21、6/4
料)一般¥3,500 ※長期公演のため、チケットは3期に分けて発売。
tel:0570-084-617(10時~20時)
http://boum3.com

photos:MASATO MORIYAMA (TRIVAL), stylisme:KAYO HOSOMI, coiffure et maquillage:TATSUYA ISHIZAKI, texte:TOMOKO KAWAKAMI, 衣装協力:グッチ

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