世界最高のラグビー選手、ダン・カーターとタグ・ホイヤー。

インタビュー

ダン・カーター!
個人的には、世界最高のラグビー選手であるだけでなく、世界でいちばんイイ男なのではないかと思っている。
オールブラックスの背番号「10」、スタンドオフとしてラグビーワールドカップ(RWC)に4度出場し、2011年、15年大会ではオールブラックスの連覇に貢献した。
ニュージーランドでは最近、カーターのドキュメンタリー、『A Perfect 10』が映画館で公開されたほどのスーパースターだ。
そのダン・カーターが昨季から神戸製鋼にやってきて、名門チームをいきなり優勝に導いたからたまらない。
しかも、これだけのセレブなのに、気さくなのだ。インタビューは1年前に次いで、今回が2度目。握手をしながら挨拶すると、私が声を掛ける前に、
「やあ、久しぶり。あれ、ヘアスタイル変えたんじゃない?」
と話してくれたのだ!
まさにPerfect 10。
もう、ダンに夢中である。

191001-tag-02.jpg

オールブラックス史上最高の司令塔と言われるダン・カーター。激しいプレーとは裏腹に物腰は柔らかい。

日本では、9月20日の日本対ロシア戦を皮切りに、ラグビーワールドカップが開催中だ。
代表から引退したダンは今回、観客席からRWCを見ることになる。
「観客としてW杯を見るのは17歳の時、1999年以来のことだから、なんだか不思議な感じだね(笑)。もちろん、今回もオールブラックスのサポートをするよ」
ニュージーランドという国で、ラグビー、そしてオールブラックスは大きな意味を持つ。

「オールブラックスは、ニュージーランドでラグビーを愛する人たちにとって、尊敬を集める対象なんだ。そして選手自身が仲間を、コーチを、相手を、そしてレフェリーを尊敬する気持ちを忘れてはいけない。試合では、オールブラックスのラグビーは自由な精神の象徴であり(ダンは”free spirit”という言葉を使った)、ボールを大きく動かしてファンのみなさんが楽しんでもらえるゲームを披露する。だからこそ、世界でいちばんサポーターが多いチームなんだと自負しているよ」
ただしその分、代表の選手たちにかかるプレッシャーもハンパない。
「プレッシャーをどうハンドリングするか。それが選手たちに求められるものなんだ。今回、僕は自分の経験をもとにしてオールブラックスの選手たちのサポートができると思っている」
現役の代表選手にとっては、とても頼もしい先輩のサポートがついている。それも、ダンがオールブラックスの選手としてさまざまな経験をしてきたからだ。
「2007年の大会では、大本命と言われながら負けた。振り返ると、プレッシャーに対処できるメンタリティを準備できていなかったんだ。そして2011年はニュージーランドでRWCが開かれた。ずっとラグビーの強豪国として尊敬を集めながら、ことRWCに限っては第1回大会で優勝して以来、ずっと優勝から遠ざかっていたんだ。地元での大会、負けるわけにはいかなかった。ここで勝てなかったら、いつ勝てるんだ?というくらいにね。正直、選手たちにかかるプレッシャー、いや、重圧は相当なものだった。ただ、僕たちには2007年の経験があり、4年という歳月をかけてプレッシャーにどう対処するかを学んでいた」
2011年、オールブラックスは王座を奪回する。だが、決勝の舞台にダンはいなかった。
「練習中にケガをしてしまったんだ。全体練習が終わった後、自分だけ残ってプレースキックの練習をしていた時にね……。フランスとの決勝もスタンドで見ていた。もちろん、オールブラックスの選手としてサポートはしていたよ。どんな個人でも、チームより大きな存在はないんだ。でも、いまだから告白するけど……ドアが閉まって、誰も見ていないところでは、自分自身に怒りをぶつけていた。どうしてこんなことになったんだ! 自分にはもっとできることがあったんじゃないかってね」
ダンはとても、正直だ。
2012年には30歳を迎え、「ダン・カーターの時代は終わった」と言われたこともあったが、2015年大会ではクールなプレーを見せ、決勝では勝利を決定づけるドロップゴールを決めて、連覇を達成した。
Perfect 10が完成した瞬間だった。

191001-tag-03.jpg

インタビューではユーモアを交え、率直に思い出を語ってくれる。袖から覗くのは、タグ・ホイヤーのアイコニックなウォッチ「モナコ」。モダンなブルーのフェイスがよく似合う。

---fadeinpager---

プレッシャーをどうハンドリングするか?

これまで、RWCを戦ってきた経験から、ダンは今回のRWCでホスト国である日本の選手たちも、地元開催であるがゆえのプレッシャーを感じるだろうと話す。
「きっと、ジャパンの選手たちも、4年間をかけて重圧をハンドリングする準備をしてきたと思う。その成果をいかんなく発揮してほしいね。ホスト国が勝ち上がれば、RWCも絶対に盛り上がるから」
ダンがアンバサダーを務めるタグ・ホイヤーには、
“Don’t Crack Under Pressure”
というスローガンがある。
タグ・ホイヤーを愛したアスリートたち、アイルトン・セナ、レーサーに転身した俳優のスティーブ・マックイーン、そして香川真司にいたるまで、みんなプレッシャーと向き合ってきた。
ダンも同じだ。
「来年の春には38歳を迎えるんだ。きっと、世界でいちばん高齢のラグビー選手なんじゃないかな(笑)。でも、時計が秒針を1秒、1秒刻むように、年齢を重ねていくことは悪くない。フィジカル的には若い時の方が充実はしていたよ。でも、いまはプレッシャーをうまくハンドリングすることができるようになったし、何よりゲームを楽しむことができている。若い時よりもね」
そしてダンは目を輝かせながら、ラグビーの楽しさを話した。
「緑の芝生の上を走り、ボールを仲間へとパスをする。青空に向かってキックを蹴り、ボールを追う。ラグビーは本当に自由を満喫できるんだよ」
喜びは、プレッシャーに勝る。
ダン・カーターはそれを証明している。

191001-tag-01.jpg

プレッシャーに勝ってきた男だけが浮かべられる、穏やかな笑顔が印象的。

---fadeinpager---

190920-dan-tag-1.jpg

プレイ中のダン・カーター選手。「タグ・ホイヤーのアンバサダーを務めることは、魅力的なほかのアンバサダーたちとコミュニケーションも取れて刺激的なんだ」と話してくれた。2018年には、司令塔として活躍した背番号「10」にちなんで、ニュージーランドでダン・カーターモデルが限定10点登場した。

190920-dan-tag-2.jpg

タグ・ホイヤー アンバサダーに就任して3年。子どもたちとラグビーにまつわるチャリティイベントを行い、寄付金は自閉症の子どもたちへ届けている。

【関連記事】
新作時計 36mmで選ぶ、タグ・ホイヤー「カレラ レディ」。

初めてでも楽しめる! 2019年ラグビーワールドカップ。

texte:JUN IKUSHIMA, photos : RYOTARO HORIUCHI

RELATED CONTENTS

BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      WHAT'S NEW

      LATEST BLOG

      FIGARO Japon

      FIGARO Japon

      madameFIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。

      フィガロジャポン madame FIGARO.jp Error Page - 404

      Page Not FoundWe Couldn't Find That Page

      このページはご利用いただけません。
      リンクに問題があるか、ページが削除された可能性があります。