編集KIMのシネマに片想い

素晴らしき旅、シンガポール。

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。
1月にシンガポールに出張に行ってきました。目的は、シンガポールの庶民の味を取材してくること。そのきっかけは、フィガロジャポン本誌とFIGARO.jpで『活動寫眞館』の連載を手掛けてくれている俳優・映画監督の齊藤工さん主演の映画『家族のレシピ』の舞台がシンガポールであり、料理が人々の絆を深めるという物語の背景となったシンガポールに惹かれたからです。

とはいえ!
シンガポールという都市国家に明るくなかった私。韓国や香港、台湾、タイ、インドのように、たくさんの映画がつくられ日本で上映されるというわけでもないシンガポールを、まず感じるには……2018年、ハリウッドも含めて話題となった映画『クレイジー・リッチ!』も観てみることにしました。

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母親役のミシェル・ヨーは立ち姿がすっとしているさしがはアクションもできる女優。ニックは恋人のレイチェルを紹介。

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クレイジー・リッチたちとのお付き合いのために、クレイジー・リッチな友人から服装のアドバイスを受けるレイチェル。

原題は『Crazy Rich Asians』。ハリウッドでここまで徹底してアジア人俳優たちが起用された作品、ということで話題になりました。このことに関しては、FIGARO.jpの連載「TAO‘S NEW YORK NOTE」でNY在住の女優のTAOさんも書かれています。

私の萌えは、007でボンドガールまでつとめたミシェル・ヨーが出ていること(アクションシーンはないけれど‥‥)、そして1930年代のハリウッドを思わせるゴージャス感があること。それはラストのエンドロールのところで使われるアニメーションワークにまで貫かれています。また、シンガポールの地の利を生かして、バチェラーパーティが行われるリゾートのシーンは、東南アジアのジャングル感が満載。KIMは昔スキューバダイビングに凝っていたので、懐かしく思いました。
『クレイジー・リッチ!』のストーリーは、すごくシンプル。ニューヨークで経済学の教鞭をとるレイチェルがボーイフレンドの実家のあるシンガポールで、彼の友人の結婚式に出るため一緒に帰郷したら、その時初めて彼ニックが大金持ちと知り、シンガポールの家族や友人たちにいじめられながらも愛を叶える、というロマンティックラブコメディ。
ストーリーがシンプルでも、ふたりが置かれた状況を見せる演出は小ワザが利いてます。NYから乗る飛行機の席は家みたいな広さのファーストクラスだし、ニックの周りの友人たちは呆れるくらいの富裕層で、親の代からの資産を受け継ぎ、何か起きたらすぐにSNSで家族ともどもウワサする……。フツーの、それもシングルマザーとアメリカで暮らしていたレイチェルには、なんだか不気味な人たちに映るのです。

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ファッションに関してバカにされていたレイチェルだが、友人の結婚式シーンのドレス姿には称賛の視線が。

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思い思いのファッションで、バチェラーパーティに旅立つリッチたち。

KIMが想像していたシンガポールは、これほどリッチではなかったけれど、そんな彼らが遊び場にしているマリーナ・ベイ・サンズや、結婚披露宴のシーンに使われていたガーデンズ・バイ・ザ・ベイでは、シンガポール取材中に実際夜のウエディングパーティが行われていました。なので、風景としては、『家族のレシピ』よりもこちらのほうが、日本で世間的に知れ渡っているシンガポールの姿なのではないでしょうか。
チャイナドレス的な襟の高いドレスをすっと美しく着るニックの母親役ミシェル・ヨー(もちろん自分の息子とレイチェルとの恋愛に反対)が、レイチェルと麻雀をするシーンはとても綺麗でした。ちなみにこの場所はアンシャン・ヒルといって、夜遊びピープルには人気です。たくさんの個性的なバーや飲食店がひしめくエリアです。

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ガーデンズ・バイ・ザ・ベイは夜にショーを行っています。なぜだかテーブルにワインが置かれていて、買おうとしたら、今日のパーティのもので売るもんじゃない、と断られましたが(苦笑)

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マリーナ・ベイ・サンズ。ここに泊まりたいですよね――日本のCMでも屋上のプールが登場したことはみなさん記憶に新しいのでは? 夜には対岸から見て素晴らしい光のショーが行われています。

シンガポールはコンパクトな都市国家。だからこそ、先に映画などで知っておくと、ますます、あの場所だ!と、スクリーンで観て記憶に焼き付いたビジュアルが、目の前に広がった時に心が刺激されます。一致感が強いので、たとえばパリなどよりも、ツーリスト心にすとんと落ちるような気がしました。

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『クレイジー・リッチ!』
●監督/ジョン・M・チュウ 
●出演/コンスタンス・ウー、 ヘンリー・ゴールディング、 ミシェル・ヨー 
●2018年、アメリカ映画 
●本編121分 
●Blu-ray・DVD \4,309 発売:販売:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

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『家族のレシピ』。どうしてこの邦題になったのかはストーリーを辿れば明白です。が、原題『RAMEN TEH』には、シンガポールと日本のおいしいフュージョンという意味合いがあります。シンガポールのソウルフード「バクテー」と、日本の国民食「ラーメン」を合体させているのです。このレシピを追求し、完成させる群馬県高崎のラーメン屋の息子役が、斎藤工さん。ラーメン屋を営むお父さんと、亡くなったシンガポール人のお母さんの間に生まれた斎藤さん演じる真人が、お父さんの急死からシンガポールへ旅立ち、松田聖子さん演じるシンガポールのフードブロガー美樹に導かれ、郷土の味と出合い、自身のオリジナルレシピ、ラーメンテーを作り上げ、亡き母と、その実家の人々の離れた心を癒していきます。ハートフルな物語は素晴らしいのですが、私は観ていて、料理につい目が行ってしまいました(苦笑)。実際に、ベルリン国際映画祭はじめ世界のいくつかの映画祭で、キュリナリー・シネマというグルマンな映画にフォーカスした部門に招待され、観客に目だけでなく、舌においしい経験も提供してきたとのこと。
斎藤さんは、食のことも大事だけれど、日本がシンガポールという国にしてしまった過去の悲しい出来事にも目を向けてほしい、というメッセージを記者会見などでも語っています。
また、この作品はフランスからも出資されていて、昨年10月にはcinepanel.frのベストムービーに選ばれたそうです!

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映画前半の高崎のシーンでは、斎藤さんがラーメンを作っている。

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フードブロガー美樹役の松田聖子さんと斎藤さん演じる真人は、シンガポールの日常食を食べ歩く。

2月2日には、東京でもキュリナリーシネマイベントが開催され、『家族のレシピ』の料理監修および出演もなさったシンガポールのラーメンレストラン経営者・竹田敬介さんによる「ラーメンテイ」を食べられました。このイベントに関しては、FIGARO.jp内でレポートしますね。

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上はバクテーとラーメンの合体、ラーメンテー。下は実際に撮影が行われた、敬介さんのシンガポールのラーメン店。

2月20日に書店に並ぶ本誌4月号でも、シンガポールと『家族のレシピ』をテーマにしたページを作っています。そこではバクテーだけでなく、シンガポールのソウルフード、ハイナンチキンライスやラクサ、チリクラブなどの名店も、エリック・クー監督のおすすめ店などにしぼって紹介しました。この度の取材で出合ったのは、『クレイジー・リッチ!』とは真逆な世界! まさに庶民の生活の場でした。生鮮食品を扱うウエットマーケット、スパイスマーケット、ホーカー(屋台)センター……。活気あふれる市井の人たちの日常風景です。

斎藤工さんが、「料理を作ることは、映画を作ることと似ている」とコメントしていました。その言葉に深く共感しました。眺めて、集めて、考えて、工夫を凝らして、作り終わったら後片付けも大変。でも、生きているエネルギーを感じますよね、そういうアクションには。
ぜひ、スクリーンを観て、お腹をすかせてください。

『クレイジー・リッチ!』と『家族のレシピ』、こんな2作が2018年秋から19年春までの短い間にシンガポールを体感できる映画として日本に上陸したのは、シンガポール好きの日本人が増える、いいきっかけになるでしょう。
KIMがまさにそのひとりでした!

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『家族のレシピ』
●監督/エリック・クー 
●出演/斎藤工、マーク・リー、ジネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子 
●2018年、シンガポール・日本・フランス映画 
●89分 
●配給:エレファントハウス、ニッポン放送 
●3月9日より、シネマート新宿ほか全国にて公開
©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

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