編集KIMのシネマに片想い

フィガロとフランス映画と吉武美知子のコト。

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。
先の「吉武さんを語る会」ブログに続き、ここではフィガロと吉武さん、そしてKIMにとっての吉武さんとの思い出を語らせていただきます。

KIMが吉武美知子という名前を知ったのは、高校時代でした。80年代、新宿にシネマスクエアとうきゅうというミニシアターができたばかりで、その劇場作品のパンフレットが素晴らしかった! シナリオが収録されていて、後ろのほうに、パリの映画情報のコーナーがあったのです。そこに見つけた名前が、「吉武美知子」でした。映画の世界に憧れていたKIMにとって、とても会ってみたいパリに暮らす映画人。
そして90年代初期~中期のフィガロジャポンでは、フランスフォーカスという連載ページがあって、吉武さんがレギュラー寄稿してくれていました。初めて会った時は天にも昇る気分!でした。ただ、想像していた吉武美知子は長身・細身・気取った雰囲気のパリジェンヌ。実際の吉武さんはその笑顔で人の心をほっこりさせる小柄な女性でした。

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いちばんじっくり時間を過ごしたのはパリ特集で映画人を取材した時のこと。2000年のパリです。

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KIMはフランソワ・オゾンとルー・ドワイヨンに、気になるパリのアドレスを紹介してほしい、という難題を吉武さんにぶつけました……。
当時、オゾン監督と吉武さんは密に連絡を取っていたので、すぐに日取りは決まりました。ずいぶんと丁寧にオゾン監督は付き合ってくれ、パリのお寿司屋さんでランチをしてから取材へ。モスクでお茶するのが好き、ということで「ジェレミー(・レニエ)も誘ったよ!」と、ベルギー人俳優のジェレミーまで同席したスぺシャル撮影が実現。シネマテークや書店まで、計3軒を巡るパリ案内に。

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吉武さんのススメもあり、オゾン監督の初来日時には、アラーキーとの対談ページがフィガロジャポンで実現しました! 『サマードレス』 ●監督・脚本/フランソワ・オゾン ●出演/フレデリック・マンジュノ、ルシア・サンチェス、セバスチャン・シャルル ●1996年、フランス映画 ●15分 ●アンスティチュ・フランセ東京の追悼特集にて上映あり

困ったのはルーのほうでした。吉武さんは、ルーの連絡先を調べるために、父ジャック・ドワイヨンに電話をかけ、ルーの携帯電話番号をゲット。そして何度かけても気まぐれパリジェンヌから折り返しはなし。「KIM、どうする? このまま取材できなかったら、ページ落ちちゃうよね…‥」「だいじょうぶ、吉武さん! きっと連絡来ますよ」と待っていたら取材予定の前日にルーからやっと連絡が来ました。待ち合わせには遅れてきたけどパリジェンヌのご愛敬(吉武さんもパリジェンヌだし)。そして、ルーが連れてきた(そして私の彼と紹介された)ブルドッグが、本当に吉武さんによくなつきました。ロケバスで、吉武さんの顔のすぐ横に自分の顔を寄せてぶひぶひ鳴いてたのを見ながら、車窓の先にエッフェル塔――その光景をいまでも記憶しています。

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『パリ、ジュテーム』(2006年)というオムニバス映画では、パリの魅力をあますところなく紹介。諏訪監督のパートでは、吉武さんが活躍されていました。

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フランス映画特集では記事も書いていただきました。「なんといってもフランス女性たちに人気があるのは、ヴァンサン・カッセルなんだよね~」と吉武さんが言うので、ヴァンサンについて語っていただきました。

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ヴァンサン・カッセルのこの記事(2009年5月5日号)が好きだったので、2018年頭に、ヴァンサンについてある記事を書いていただいたのが、吉武さんのフィガロジャポンでの最後のお仕事となりました。プロデュース業で忙しいのに、どうしても吉武さんに書いてほしい!と駄々をこねて、無理に時間をいただいてしまいました。

最後にお会いしたのは2018年の8月7日です。「いま気になる日本人の映画作家は三宅唱だなあ(『きみの鳥はうたえる』)」と、よき映画作家探しをいつまでもしていた人です。映画の買い付けの仕事をしている友人は、今年のカンヌ映画祭でお茶したそうです。亡くなる数週間前まで、映画へのエネルギーが漲っていた人。蓮實さんが、「吉武美知子は死んでない」とおっしゃってましたが、本当にそのとおりです。

À bientôt, YOSHITAKE san !

『追悼・吉武美知子プロデューサー』~フランスと日本を繋ぎ続けた人~
2019年9月8日(日)13時30分~『TOKYO!』×ゲストトーク:堀越謙三

190829_『TOKYO!』_main.jpg©2008「TOKYO!」

2019年9月14日(土)17時~『ダゲレオタイプの女』×ゲストトーク:黒沢清
2019年9月15日(日)17時30分~『ライオンは今夜死ぬ』×ゲストトーク:諏訪敦彦
会場:国立映画アーカイブ・小ホール(東京・京橋)
https://pff.jp

『追悼特集 映画プロデューサー 吉武美知子~フランスと日本の映画作家たちの架け橋』
2019年9月19日(木)~29日(日)
会場:アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
上映作品:『ボーイ・ミーツ・ガール』『メーヌ・オセアン』『汚れた血』『音のない世界で』『おせっかいな天使』『サマードレス』『海をみる』『Tokyo Eyes』『ポーラX』『不完全なふたり』『ユキとニナ』『遭難者』『女っ気なし』『ホーリー・モーターズ』『汚れたダイヤモンド』

190829_08'-.jpg© LFPLes Films Pelléas / Savage Film / Frakas Productions / France 2 cinéma / Jouror Productions

『汚れたダイヤモンド』はプロデュース作品のカメラマンだったアルチュール・アラリが自らメガホンを取った監督作。
www.institutfrancais.jp/tokyo/agenda/cinema1909190929/

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