連載【石井ゆかりの伝言コラム】第13回「冬至」&「年越し」

石井ゆかりの伝言コラム

第13回「冬至」&「年越し」

早いものでもう師走です。
星占い的には「冬至」は「太陽が山羊座に入る日」となります。山羊座のお誕生月の始まりが「冬至」なのです。夏至は1年でいちばん昼間が長い日ですが、冬至はその反対で、夜がいちばん長い日となります。日中降り注ぐ太陽の光がいちばん少ない日、というわけです。春分に始まる星占いの1年は、ここで最後のクォーターに入ります。春に始めたことが一つのピークに達し、ここからは、次の春分に向けて準備を始める、といったイメージもあります。

秋から冬は、星占い業界は繁忙期です。ファッション誌の多くが「来年の占い」の特集を組まれますし、最近ではラジオ番組に出させて頂いて、「来年は どんな年になりそうですか?」と聞かれることも多くなりました。
「年越し」は私たちの生活においてとても大きな節目で、たった一晩で世界が生まれ変わるような新鮮さが感じられます。実際、そこには「何もない」のですが、私たちは時間の節目をそこにおいて、時間の切り替えを体験します。あれはよく考えると、非常に不思議なことなのです。年越しの瞬間は、天文的な特別な現象は何もないのです。もしこれが冬至のタイミングなら、「星の節目」として理解できます。春分や秋分のように「夜と昼とが同じ時間」が年越しなら、どんなにわかりやすいでしょうか。でも、私たちが現状受け入れている「年末年始」は、星の動きとは、残念ながら(?)関係がないのです。

暦の根拠 である天体の運行とは、ほぼ関係がない「年越し」というイベント。星占いをやる立場から言えば、いささか物足りないのですが、最近ではかえって、天体の動きと無関係だからこそ、この「時間の節目」の凄みを感じるようになりました。そこには何もないのに、切ったり貼ったりすることのできないはずの時間を、国民のほぼすべてがそこで「切り分ける」ことができているのです。何の目立った自然現象もないのに、私たちの生活はそこでしっかり仕切られて、新しい希望や抱負を胸に抱き、「また今年も頑張ろう」と思えるのです。占いを信じることや、神仏を信じることよりも、この「時間の切り替えを確かに感じる」ことのほうがずっと神秘的だとは言えないでしょうか。

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年越し蕎麦や お節料理、お歳暮や年賀状、初詣など、年末年始に特有の習慣や儀式はたくさんあります。でも、年越しはそうした儀式だけでできているわけではありません。10月頃から「もうすぐ1年が終わっちゃうよ!」などと言い始め、11月には「やばい、もう一カ月ちょっとしかない」と焦り、年賀状のことを気にしだし、年末にさまざまの締め切りを設定して、仕事の一応のケリがつくように算段をし、年末年始は多くの人が休暇を取れることになっていて、みんなでそこに向かって意識を高めていくのです。
こんな盛大な「イベント」は、ほとんど他には考えられません。他の祝祭日なら「今日は休みだけど、何の日だったっけ?」などということが よくありますが、大晦日と元旦だけはだれも「今日は何の日だっけ?」とは決して言いません。お盆の時期をグーグルで検索する人はいても、年末年始を検索する人はいないのです。

本来、境目などないはずの「時間」に、これだけあざやかな境目を設定して、その「切り替わり」をこれほど新鮮に、真剣に生きる私たち。年末年始という「時間の節目」は、ある意味、「虚構」であるとも言えます。年末を独りぼっちで過ごす人や、いつもどおりの仕事をこなす人々は「年末年始だからって何の意味があるだろう」と怒りを感じることもあると思います。私も学生時代や、忙しかった会社員の頃には、年末年始といって休暇を取って楽しそうにしている人々を恨めしく眺めたこともありました。
年末年始という「時間の切り替え」。これが大変不思議なことだと、数年前から私は感じ入っているのです。人間は、自分で思うよりずっと創造的に生きていて、私たちが見ている世界は、自覚しているより遙かに、神秘とファンタジーにあふれているのではないでしょうか。

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石井ゆかり

ライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆。『12星座シリーズ』(WAVE出版刊)は120万部を超えるベストセラーに。『3年の星占い2018-2020』(全12冊)(文響社刊)も発売中。主宰ウェブサイトは「筋トレ」http://st.sakura.ne.jp/~iyukari

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