シャネルのキーワード10 革新的な女性用シューズ。
シャネルを紐解く24のキーワード
カール・ラガーフェルドが幼い頃に住んでいた家から眺めた、秋色に染まった森の風景をインスピレーションソースにして完成した18/19年秋冬 プレタポルテ コレクション。そのオータムカラーに彩られたロング&リーンなシルエットを仕上げるためにデザインされたのがゴールドのサイハイブーツやブーティ、そしてダービーシューズだ。
木の樹皮を彷彿とさせるオキサイドゴールドやブロンズカラーのレザーのロングブーツには、とても柔らかいゴートスキンを使用。脚にぴったりと沿う細身のシルエットに仕上がっている。さらにマニッシュなデザインのレースアップダービーシューズにも鈍く輝くゴールドのレザーや艶めくブラックパテントをミックスして、モダンな印象に。アイコニックなレースアップシューズもシャネルらしいバイカラーでアップデートした。今冬は、ローヒールでアクティブに履けるエレガントな最新のシューズで、軽やかなスタイルを楽しみたい。
©CHANEL
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Mot-clé 10 / シャネルのキーワード 10
バイカラーシューズ Bicolor Shoes
女性のボディとマインドを解放する斬新なデザインやアイテムを多数生み出したガブリエル・シャネル。1957年に発表された伸縮性のある素材を用いたベージュと黒のバイカラーのバックストラップシューズも、その時代のファッションの常識を覆す画期的なアイテムだった。この驚くほど快適な履き心地のバイカラーシューズには、ふたつの特徴があった。ひとつは、ベージュのアッパーに黒いトゥを合わせたこと、そしてもうひとつは、伸縮性のあるサイドストラップを付けたことだ。黒でややスクエア気味のつま先は、足先を小さく見せてくれ、ベージュは肌に溶け込み、足を長く見せる効果がある、とシャネルのオートクチュールのシューズを手がける靴職人、マサロ氏は分析する。
しばしばメンズファッションにものづくりのヒントを求めたシャネル。このシューズの細いストラップも男性用のレジャーシューズから着想したともいわれている。シャネルは、「コーディネートの仕上げに上品さを醸し出すアイテムです。いい靴を履いている女性に、決して醜い女性はいません」と繰り返し語っていた。さらに「4足の靴があれば、世界中を旅行できるわ」との名言も残す。スーツからイブニングウエアまで、あらゆるワードローブにマッチするストラップシューズを発表し、モード界に革命を起こした女性こそ、ガブリエル・シャネルなのだ。
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA