シャネルのキーワード15 刺激的な街ニューヨーク。
シャネルを紐解く24のキーワード
シャネルが大切に守り続けている、卓越した職人技を集結させて作り上げるメティエダールコレクション。今回、古代エジプトからインスパイアされた最新の2018/19年 パリーニューヨーク メティエダールコレクションがニューヨークのメトロポリタン美術館で発表された。
フィナーレより。エジプト政府からアメリカ合衆国に寄贈され、1967年にメトロポリタン美術館に収蔵された歴史的建造物、デンドゥール神殿を舞台にコレクションが披露された。 © CHANEL
舞台は、美術館内に保存されているデンドゥール神殿。紀元前15年頃にローマ皇帝アウグストゥスにより建設されたこの神殿は、古代エジプトのシンボリックな建造物のひとつだ。この素晴らしいステージで発表された新作は、古代エジプトの要素とニューヨークのスピリットをミックスしたハイブリッドなコレクション。
Look2、9 © CHANEL
Look32、66 © CHANEL
Look71、82 © CHANEL
キーカラーは、ガブリエル・シャネルのお気に入りの色のひとつでもあるゴールド。輝くコールドから、ヴィンテージ風のゴールドまで、さまざまな発色で登場している。ルマリエの職人たちが手がける花細工に羽細工、マサロの靴、メゾン ミッシェルによるハット、さらにはモンテックスの刺繍と、シャネルが誇るクラフトマンシップとメゾンのコードが見事に融合した比類なき世界を披露した。
フィナーレに登場したカール・ラガーフェルド。 © CHANEL
Mot-clé 15 / シャネルのキーワード 15
ニューヨーク New York
ガブリエル・シャネルは、アメリカを“財を成す場所”と呼んだ。そして、それは彼女にとっても真実となる。1914年、アメリカの百貨店では、すでにシャネルが手がける帽子が人気を博しており、シャネルの描くデザイン画は、あっという間にニューヨークを拠点とする「ヴォーグ」や「ヴァニティフェア」などのモード雑誌のページを飾ることに。
その後の31年、初めてアメリカを訪れたガブリエル・シャネル。著名なプロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンから、彼の映画に登場する女優たちの衣装や私服を見立ててほしいとハリウッドに招待され、そのあとにニューヨークにも訪れたガブリエルは、そのエネルギッシュな空気感に魅了されたという。それから長い年月を経て、2005年にはメトロポリタン美術館で開催されたコスチューム インスティチュートでガブリエル・シャネルとカール・ラガーフェルドの作品を展示した大規模なシャネルの回顧展も開催された。
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METに集ったセレブリティたち。
今回のショーは、ニューヨークでの開催とあり、多くのハリウッドセレブリティも駆けつけた。モデルとしてランウェイを歩いたファレル・ウィリアムスに加え、ペネロペ・クルスやダイアン・クルーガー、ジャネール・モネイなど、豪華な顔ぶれが揃い、日本からは菊地凛子や中条あやみのほか、ニューヨーク在住のTAOの姿も。「手仕事によって生み出される見事な刺繍、テキスタイル、そしてジュエリー。まさにミュージアムに飾られてもいいほどの美しいものを見せてもらったわ」とは、ジュリアン・ムーア。
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA