シトウレイの東京見聞録

オリラジのあっちゃん、ブランド始めたってよ。

シトウレイの東京見聞録

「『一体ブランドって何だろう?』って思ったのがきっかけなんです」

オリエンタルラジオのあっちゃんが「男がラーメン二郎のように愛するブランドを作る(かつsupremeを超える)!」って宣言したのは昨年の秋。「幸福洗脳」という名前のそのブランドはあっという間にウェブショップを立ち上げて、その翌月は旗艦店をオープン。そのスピード感はめまぐるしくて、見ているこっちはワクワクせずにはいられない。後日私はお店に再度うかがって、あっちゃんと向かい合ったソファで話をする。 

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幸福洗脳のTシャツを着たあっちゃん。

「男って何?って考えた時、僕は死にたい生物なんだって思ったんです。女性はまわりと協力して家族を育むけれど、男はクオリティの低いモノを淘汰する殺し合う種、つまり生命に対して攻撃的なものを好む性質にあるというか」

「男が惚れる男って、たとえば煙草ひとつとっても軽めのものより、強いショートホープやわかばを吸ってる方がカッコよかったり、原付じゃなくてハーレーの方がすごいってなったり、ウイスキーをぐいっとあおるのに美学を感じたり。ラーメン二郎も身体によくないのわかってるけどつい行っちゃうし、ジロリアンなんて強烈なファンがいる。男の美学ってここだ、と!

もうひとつブランドって何だろうって考えた時、相棒や芸人の友達が、“BALENCIAGA”とか“supreme”とかロゴが書いてあるTシャツに高いお金を出して買ってたんです。そりゃ普通のTシャツより素材もいいのかもしれないけど、ここまで高い理由がわからなくって。ロゴの意味を聞いても『いや、よくわかんない(けどカッコよくない?)』って答えたやつが多かったんですね。つまりブランドって『なんかわかんないけどカッコいい』てことが要素としてあるんじゃないか、って思って」

ブランド名を作る時、ロゴは「英語じゃなくて日本語」、「意味がわからない単語ではなくて、誰が見ても意味がわかるもの」にしたいということは決まっていた。かつ、男が惚れる男の要素であるネガティブなもの、ワルな雰囲気のある単語と、相対する要素を掛け合わせた単語にしよう、と考えに考え抜いた結果、辿り着いたブランド名が「幸福洗脳」。

「『なんかわかんないけどカッコいい』ってそのミステリアスさが、ブランドの魅力を底上げすると思うんです。うちはTシャツの販売価格を¥10,000にしているんですけど、これって『なんかわかんないけど高い』設定をあえて狙っています。価格は可能性や自信の現れ。つまり『この値段にしてあるのは(自分にはわからないけど)意味があるんだろうな』て潜在的なポテンシャルをお客さんに感じてもらうことができる。もちろんブランドを「すごい」って感じてもらうには中身も重要ですよね。たとえば料理。北海道の料理と京都の料理を考えた時。北海道は素材に恵まれているから、シンプルな調理方法で素材そのままを味わうのが楽しい。京都を考えた時、決して素材に恵まれた土地柄でもないんです。なのに京料理というブランド化ができてる。これって何だろうって考えたら、それはディテールなんだって気が付いたんです。鱧でも細かく湯引きれてたり、添えた野菜にも細かく飾り切りが施されてたり、手間暇と時間がかかっている。人の気遣いというもの、それこそがつまり高級感なんだなって。『おもてなしで感動を与える』という千利休の言葉が僕は好きなんです。細部にまで気を遣っていることがおもてなし。つまり細部まで気を遣ってることが感動であって、『なんかすごい』につながっていく。なので、いまTシャツの細部にまで気を配った作り方に変えようとしてて」

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オーダーメイドの什器がならぶ小さな店内。

「もうひとつ。僕はクロムハーツがすごく好きなんですけど、何がカッコいいって什器がすごいんです。お店の什器とかめっちゃすごくて! で、気付いたのは「ブランドの見えない価値は周りにある」ってこと。あの什器がすごいからこそ、あそこの中に置いてあるものもよく見える。iPhoneを買って箱を開けた時、めっちゃテンション上がるじゃないですか。あの箱! iPhoneに触る前から、カッコよさがもうプンプンしてる!ってことで、幸福洗脳もお店の什器を全部変えて、パッケージの箱もTシャツが1mmのズレもなくピッタリ収まる箱に変えたり、いま、いろいろと模索しているところです」

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商品を買うと入れてくれる箱。デザインやロゴも、あっちゃんが考え抜いてデザインしたそう。

そうなのだ、驚いたのは、2週間くらい前にお店に行った時とまったく世界観が変わってたこと。店内は広くなり、重厚さを感じさせる什器があつらえてある。

疑問を感じたら、自分なりの答えを試行錯誤で見つけて、そのまま一気にアクションを起こす。いままで蓄えてきた衣食住学でのいろんな体験を頭の中で再集結させ、自分の頭で考えて、自分なりの答えを見つけにいく。あらゆる分野で見つけた(目の前に湧き出た疑問のヒントになる)要素を抽出し、フラットに考えるその視野は、ファッション業界というひとつのカテゴリーの中だけでいると出てこないであろう斬新なアイデアを生み出したり、ときにファッションやブランドの本質を見事に的確に押さえていたりする。そして何より、この行動力。

「僕の座右の銘に“just do it”があるんです。とにかく思いついたらすぐにやってみるって決めていて。誤解されがちなんですが、計画性があるわけではないんです」

トライには背中合わせのように、ときにエラーがついてくる。エラーになった時、壁に突き当たった時はどうしてるのだろう。第一、怖くないんだろうか。

「怖いっていう気持ちは、ないですねー。新しいことをゼロから始めるんだから、壁に突き当たるのは当たり前だと考えてるから。壁をどう乗り越えるかを考えるのが楽しいんです。あと僕、困ったら『助けて!』って言うようにしてるんです。そうするときっと誰かが助けてくれる」

楽観的と言えばそれまでだけど、ソレを裏付ける根拠と言えば、彼が培ってきた芸歴。表に出る立場の彼の一挙手一投足はファンにも(アンチファンにも)当然注目されているからこそ、助け船を出してくれる(もちろんときには冷やかしも受ける)のだろう。

いま、幸福洗脳は、スポンジが水を吸うように、赤ちゃんがものを覚えていくように、トライアンドエラーを高速回転で繰り返し、すごいスピードで成長している。

「売れそうにないものを高く売るとかって、これってサイコーにエンタメですよね」
自分自身をエンタメ化している人生は、最高にスリリングで目が離せない。

幸福洗脳 乃木坂東京
東京都港区南青山1-16-1
営)12時~19時

シトウレイ

「STYLE From TOKYO」(reishito.com)を軸に活躍中の日本を代表するストリートスタイルフォトグラファーであり、世界中が注目するファッションアイコン。広大なネットワークと軽妙なフットワークで、世界各地を飛び回っている。

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