女性の心血管疾患のリスクが男性より高い？見逃されがちな「病気のサイン」とは。

フランス公衆衛生機関（Santé publique France）の最新報告によると、心血管疾患による女性の死亡者数は男性より多いという。循環器専門医であるクレール・ムニエ＝ヴェイエ教授は、その原因を説明し、予防の重要性を強調している。

フランス公衆衛生協会は3月4日（火）に発表した疫学特集号で、心血管疾患が依然として多くの人々、特に女性の死因となっていると警告した（1）。
クレール・ムニエ＝ヴェイエ教授は、長年にわたり女性の予防医学の改善に尽力してきた。2020年には、ティエリー・ドリオン氏と共に「Agir pour le cœur des femmes（女性の心臓のために行動を起こす協会）」を設立し、フランス全土を巡回する健診バス「バス・デュ・クール」を立ち上げた。このバスでは、循環器と婦人科の複合検診を提供している。「この報告書は、予防医学の重要性を改めて示しています。治療よりも予防が何より大切です」と語る彼女に、さらなるインタビューを試みた。

マダム・フィガロ（以下M）：心血管疾患にかかる女性が増えている理由は？
クレール・ムニエ＝ヴェイエ医師（以下C）：「心血管疾患は生活習慣病です。特に若い女性の喫煙率が上昇しており、喫煙は心臓発作の主要な危険因子となっています。また、運動不足の女性も増えています。例えば、1日30分の運動が推奨されていますが、女性の30%はウォーキングすらしていません。さらに、女性は診断が遅れがちです。私たちが診察する女性の3分の1は、自分が高血圧や高コレステロールであることを認識していません。」

Ｍ：なぜ診断が遅れるのでしょう？
Ｃ：「女性は自身の健康よりも家族を優先しがちです。80%が家族の健康を気遣う一方、75%が自身の診察を延期し、80%が自己判断で薬を服用しています。また、痛みに慣れているため、通常とは異なる痛みをストレスや腰痛のせいにし、受診を避ける傾向があります。実際、女性は男性よりも平均30分遅く救急サービスに連絡するのです。過去3〜6ヶ月前から前兆があったにもかかわらず、放置しているケースも少なくありません。」

Ｍ：フランス公衆衛生機構の報告書によると、女性に提供される医療にも男女間の格差があるとの指摘がありますが？
Ｃ：「医師と女性の間には、偏見が根強く残っています。未だに、心臓発作は主に男性の病気、骨粗しょう症や片頭痛は女性の病気という固定観念が未だに医療現場に根強く残っています。
そのため、そのため、救急医療サービス（EMS）を利用せずに通常の救急外来を受診した場合、治療が遅れることがあります。この遅れが、より重篤な心不全を引き起こすこともあるのです。」

Ｍ：女性はどのような症状に注意すべきでしょうか？
Ｃ：「胸の圧迫感、腕から顎にかけての痛み、10分以上続く痛みがある場合は、すぐに救急へ連絡してください。家族に心疾患のリスクがある場合は特に重要です。また、疲労感、息切れ、動悸、顎のほてり、肩甲骨周辺の痛みも要注意です。さらに、避妊法を選択する際や、婦人科検診を受ける際には、家族の病歴を確認することをお勧めします。」

M：心臓を健康に保つためにできることは？
C：「まず、禁煙が不可欠です。私は患者さんに『何の役にも立たないタバコを吸わないで』と伝えています。電子タバコに切り替えるのも一つの方法です。また、アルコール摂取を控え、塩分を減らし、果物や野菜を摂取することで動脈の健康を保てます。さらに、1日6時間以上の睡眠を確保し、日中の短時間の昼寝を取り入れ、適度な運動や社会的交流を心がけることが大切です。更年期および閉経期には、年に1回の血液検査を受け、45〜50歳の女性は家庭用血圧計で定期的に血圧を測定することをお勧めします。」

(1) 新しい公衆衛生速報では、2022年のフランスにおける心臓神経血管疾患とその危険因子の全体像が示されている。

From madameFIGARO.fr